カメラやドローン、ケータイも装着可能? 5G時代だからこそ“合体式スマホ”が欲しい

スマホの新機種が出たからといって、そのたびに買い替えるのは大変だ。とはいえ最新スマホはカメラ機能などがパワーアップしており、買って1年もしないうちに新機種購入を検討してしまう人も多いだろう。だがスマホの機能を後からパワーアップできたらどんなに便利だろうか?合体モジュールを買って自分のスマホを強化できる、合体スマホがこれから必須になるかもしれない。

背面を有効活用し、5Gも利用できる

スマホに取り付けるケースには様々なものがあるが、それらの中にはスマホ機能をパワーアップできるケースもある。たとえば「SELFLY」はケースに収納できるドローンだ。取り外せば手軽にセルフィーを撮影する空中カメラに早変わりするのである。対応するスマホはiPhoneやGalaxyなど一部の機種に限られるが、ケースを付けていればいつでもドローンも持ち運べるという、なかなか面白いアイデアを実現した製品だ。日本でも入手できるので気になる人はぜひ使ってみよう。

このようにスマホの背面はスマホを強化するアクセサリを取り付ける場所としても優れている。ならばそれを規格化して様々なモジュールを自在に交換できるようにと考えられた「合体式スマホ」はこれまで何製品が発売されている。その中でも一番成功したのはモトローラの「Moto mods」と呼ばれるモジュールを利用できるスマホ「moto z」シリーズだ。

モトローラはこれまで様々なMoto modsを提供してきた。2020年の今になって注目を集めているのが「5G Mods」というモジュールだ。2020年は日本でも5Gサービスが開始される予定だが、5Gスマホの価格は高い。だがモトローラのスマホ「z4」「z3」「z2 Force」の利用者ならば、5G Modsを350ドル(約3万8千円)で買い、自分のスマホの背面に数着するだけで5Gスマホに変身させることができるのだ。z2 Forceなら中古が2万円程度で買えるので、モジュールと合わせ5万円台で5Gが使えるスマホを入手できる。対応するキャリアはアメリカのベライゾンだけだが、ぜひ世界中の5Gサービス国に対象を広げてほしいものだ。

あとからスマホを5Gに対応させる「5G Mods」。

このように合体式スマホは後から最新技術に対応させることもできる。モトローラの「Moto mods」は2016年に発売されたスマホ「moto z」の登場以来、3年にわたって様々な合体モジュールが発売された。単純な背面に取り付ける着せ替えカバーから、360度カメラやプリンターと言ったマルチメディア用途、さらには脈拍や血中酸素濃度まで量れる本格的な医療用モッズも登場した。背面に電子ペーパーディスプレイを追加できる「DigiFrameMod」のようにクラウドファンディングで資金調達に失敗し製品化されなかったものもあるが、ベースのスマホを後付けで機能拡張できるアイデアに多くの企業が注目した。

残念ながら製品化はされなかった「DigiFrameMod」。

モトローラはMoto mods発表時に3年間の互換性を確約した。この手の合体製品は1世代だけで使えなくなることが多いが、モトローラはフラッグシップモデルを新しく出すたびに互換性を保ってきたのだ。初代のzと最新モデルz4を比べると、ディスプレイサイズが5.5インチ→6.4インチと約1インチも大型化されているが、縦横比を16:9→19.5:9と縦方向に伸ばすことですべてのMoto modsモジュールをそのまま使えるようにしている。

マイナーメーカーには飛び道具が必要か

Moto modsが使えるモトローラのスマートフォンの最新モデルは、順当にいけば今年春に「z5」として登場予定だ。しかしモトローラの公約の「Moto mods互換性」の3年が過ぎたこともあり、z5は発売にならない可能性が高い。そもそもすでに発売された多くのMoto modsも今となっては性能が低い。2016年の発表時に大きな話題になった、ハッセルブラッドのカメラを使った「ハッセルブラッド トゥルーズーム」も、カメラ画素数も1200万画素に過ぎない。光学ズーム10倍は目を惹くものの、2019年に発売になったファーウェイの「P30 Pro」やOPPOの「Reno」がハイブリッドながら10倍ズームカメラを搭載している。3年の間にスマホの技術は大きく進化しており、Moto modsの性能を抜き去ってしまった。

とはいえ3年前から将来の5Gを見据えた合体モジュールの設計をしていた点は先見の目があったといえよう。数多くのMoto modsはもはや製品としての魅力に欠けるものが多くなってしまったが、5G Modsだけはあと1-2年は現役で使うことができそうだ。

発売時は大きな話題になったハッセルブラッド トゥルーズーム。

現在、合体式スマホといえる製品としてはASUSのゲーミングスマホ「ROG Phone」「ROG Phone II」がある。ゲームマシンとしての拡張性を考えてゲームパッドやディスプレイをあとから外付けできるのだ。同様に中国Nubiaのゲーミングスマホ「Red Magic 3」も拡張ドッキングステーションを用意している。だがこれらは普通のスマホではなく、ゲームのためならお金をいくらつぎ込んでも構わないという特定ユーザー向けのスマホだからこそ、様々なオプションを提供でいるのである。

合体スマホの集大成ともいえるROG Phone II。

では一般ユーザー向けにはモトローラ以外から合体スマホは出てこないのだろうか。実はこの分野も中国メーカーが頑張っている。Doogeeの「S95 Pro」はスマホ背面に外付けスピーカーかバッテリーモジュールを取り付けできる。しかもこの2つの合体モジュールは本体とセット売りもされるのだ。つまりS95 Proを買い、あとからわざわざお金を払って使うかどうかわからないモジュールを買いそろえる必要が無いのである。

DoogeeのS95 Proは2つの合体モジュールがセット販売。

合体式スマホは技術的に優れていても、実はユーザーが「モジュールを買ってくれない」弱点があるのだ。2016年に登場したLGの合体式スマホ「G5」は本体価格が高かったうえに、「カメラグリップ」「ハイファイ音源」という、普段無くても困らないような合体モジュールが2つ登場した。だがこれらはほとんど売れず、合体式にしたG5のメリットをアピールすることができなかった。しかもモジュールが2つだけでは「次は何を買おう」といった楽しみも提供できない。その点Doogeeは購入者に最初から合体モジュールを2つ提供することで、「今日はどれをつけようか」という楽しさを買ったその日から提供できているのである。

バッテリーモジュールは有用
5G時代に合体スマホは必要

iPhoneはだれもが使っているスマホだが、実は純正の合体式バッテリーケースが販売されている。これも一つの「合体式モジュール」と言えるだろう。モバイルバッテリーなら汎用性があるものの、本体と別に持ち運ばなくて貼らないし、ケーブルも必要だ。カバー方式なら他の機種に買い替えたときに使えないものの、一体化して持ち運べるメリットもある。

他にも合体式スマホがあった。2017年に発売されたアルカテルの「A5 LED」は背面に装着できるバッテリーカバーが用意された。ところがメーカーが大々的に売り出したのは、背面をきらびやかに飾る「LEDイルミネーションカバー」で、ゲームなどにアプリに応じて様々なエフェクトで光ったり、SNSの通知を色で知らせる製品だった。そのためバッテリーカバーの存在はあまり知られず、発売予定だった「スピーカー+バッテリーカバー」も登場せず、合体式のメリットが知られぬまま消えてしまった。この失敗はマーケティングのミスによるところが大きい。

背面をLEDライト化できるアルカテルA5 LED

さて、スマホ全盛時代となり、音声通話を行うのは仕事で取引先と急ぎの連絡を取り合うビジネスパーソンくらいかもしれない。しかし「通話しながらスマホの画面を見たい」なんて人もいるだろう。いまから数年前になるが、中国ではiPhoneの背面に取り付けるカバー式の携帯電話なんてものが売られていた。もちろん取り外して単体の携帯電話として使うこともできる。残念ながら2020年になりこれらの製品は消滅してしまったが、いまだからこそ類似の製品の需要はあるかもしれない。日本でもカードサイズ携帯電話が出てきたが、それをスマホのケースにはめ込んで背面に搭載するアイデアはどうだろうか。

中国で一時期流行ったiPhoneケース型の携帯電話。

合体式のスマホと言えば、LGの「G8 X ThinQ」はカバーでスマホの画面を2画面化できる製品だ。このアイデアをどんなスマホでも使えるようにと考えられた製品が「CastAway」で、クラウドファンディングで資金調達に成功し現在生産が進められている。このCastAwayが面白いのは、スマホに取り付ければ2画面スマホとなり、とりはずせばCastAwayが独立して動くスマホになるのだ。正確にはChrome OSが動く小型タブレットであり通話はできないが、スマホを2台持つような使い方ができるのは面白い。

スマホ2画面化ケースのcastAway。切り離しても使える。

こうしてみると、スマホを物理的に拡張するソリューションというものはいろいろなものが出ており、合体式スマホも定期的にスマホメーカーから登場しているのだ。今後5Gが始まりVRやARの利用などが進めば、スマホの使い方も変わっていくだろう。合体型スマホも新しいアイデアの製品がこれから出てくることを期待したい。