冷蔵庫や炊飯器も登場! 家電も続々出し続けるシャオミの狙いとは?

スマホメーカー各社はスマホの機能アップに余念がない。それは1億画素カメラスマホで日本に上陸したシャオミも同じだ。同社は日本に炊飯器までだけではなく炊飯器まで日本に投入したが、他にもたくさんの家電を販売している。しかもそれらはすべてスマホアプリで操作できるのだ。

シャオミの炊飯器を開発したのは日本人!?

シャオミが日本でスマホの発表会を行った時、9999円(税別)の炊飯器も出すと聞いて多くの日本人は「中国製の格安家電も売るのか」と思っただろう。だが、アイリスオーヤマがシンプルデザインの中国製・低価格家電を日本で多数展開していることからわかるように、中国製の家電は粗悪品のレベルを卒業している。実際に中国の家電量販店で中国メーカーの家電を触ってみると、どれも日本でそのまま使えそうなものばかりだ。

シャオミの炊飯器は設計に日本人が関わっている。三洋電機でヒット商品「おどり炊き」シリーズを開発した内藤毅氏がこの炊飯器をプロデュースしているのである。そうであればご飯の炊き具合も十分納得できるものだろう。そもそも米に対するこだわりが強い日本に炊飯器を出すのだから、シャオミとしてもよほどの自信が無ければ売りだせないはずだ。シャオミの炊飯器は見た目だけではなく中身もしっかりしているのである。

日本人が設計にかかわったシャオミの炊飯器。

シャオミの家電は調理関連からリビングルーム向けなど一通りのモノが揃っている。空気清浄機やエアコンはスマホで温度コントロールができるし、フィルターの詰まり具合も通知してくれる。水の浄水器はそれこそフィルターの警告通知しかスマホ連携されないが、カートリッジの交換時期をきちんと教えてくれるわけだ。

キッチン向けなら電子レンジや圧力釜、そして冷蔵庫までシャオミは販売している。もちろんこれらはみなスマホで操作できる。スマホ連携冷蔵庫はサムスンやシーメンスが扉を開けるたびに庫内の写真を撮影してスマホに送ったり、扉に取り付けた大型ディスプレイに様々な情報を表示できる製品を販売している。だが、高性能故に価格は高くなかなか普及していない。シャオミの冷蔵庫ならスマホでできることは庫内温度の管理くらいだが、160リットルの小型タイプでも価格は1万5000円程度と安い。

シャオミは冷蔵庫も出している。

自走式掃除機は室内のマップのどこを掃除したかをアプリでグラフィカルに表示してくれるし、扇風機は運転設定を自在にスマホで設定可能だ。自宅のソファーに座ってくつろぎながら家電をすべてコントロールできるのはシャオミの製品ならではだ。

家電はスマホで操作できるのが当たり前

日本メーカーが事実上敗退してしまったスマホ市場とは異なり、家電はまだまだ日本メーカーの技術力が強い。調理家電なら数多くの高性能炊飯器が日本では販売されているし、シャープの「ヘルシオ」シリーズは日本に来た中国人観光客にとって、ポスト炊飯器と言える人気製品になっている。そのシャープは2019年12月に一人暮らし世帯もターゲットにしたシンプルな調理家電「PLAINLY」シリーズも発表しており、小回りが利く動きも見せた。

しかしそれら日本のヒット家電や最新モデルは、スマホ連携の面でシャオミに大きく後れを取っている。ヘルシオは上位モデルがスマホとつながるようになっているが、本体には大きいディスプレイがあり、スマホ無しでも操作できる。しかしシャオミの家電にはディスプレイは無く、本体だけでの操作は簡単なことしかできない。つまりスマホが無いとフルに使いこなせないのだ。

家電は単体で操作でき、「スマホが無くても使える」のが当たり前。しかしシャオミは「誰もがスマホを持っているのだから、スマホで何でもできる」スマート家電を作り上げたのだ。そもそも今の若者たちはスマホ無しでは生きていけないほどだ。そんな若者向けの家電こそスマホで操作できることが当たり前でなくてはおかしくないだろうか。

Mi Homeアプリですべての家電がつながる。

シャオミの家電が優れているのは「スマホで操作できる」だけではなく、すべてのスマート家電が同じアプリ「Mi Home」でコントロールできる点だ。家電ごとに別々のアプリを入れるのではなく、すべてがMi Homeにつながるのだ。しかもMi Homeにはスマートウォッチやスマートスピーカーもつながる。おわかりだろうか? つまりスピーカーに話しかけて家電をコントロールできるわけである(スピーカーは日本発売時期は未定、現在は中国語のみ対応)。

さらには最新のシャオミの家電は直接音声操作が可能になった。扇風機に向かって「風力を弱くして」と話しかければいいというわけだ。もはやリモコンはもちろんのこと、スマホが無くても操作できてしまうのである。なお、もちろんだがこれらの家電はすべてWi-FiやBluetoothでスマホやインターネットにつながっている。「家電を買ったらまずWi-Fiをつなぐ」中国ではこれがあたりまえになりつつあるのだ。

音声で操作できるシャオミの扇風機。

シャオミの家電は白で統一された本体カラーも特徴だ。最近は黒やグレイなどモノトーンのバリエーションも増やしている。ベーシックな色合いだが、どんなインテリアにも合うようデザインもシンプルに設計されている。前述したように細かい操作はスマホで行うため、操作パネルも極力廃止されている。なおさらすっきりしたデザインになっているのだ。このあたりは無印良品の家電にも似ているが、無印良品の家電はスマホにはつながらない。無印良品が提供するのは「シンプルライフ」だろうが、シャオミが提案しているのは「スマートライフ」なのである。

シャオミの家電はシンプルなデザインのものが多い。

筆者の友人(香港在住)のマンションは、シャオミの家電であふれかえっている。彼が最初に買ったのはWi-Fi内蔵のシャオミのスマート体重計だった。体重や体脂肪の変化をスマホのアプリで日々確認できるのだ。その後家電を買い替えるうちにシャオミの製品に置き換えていった結果、今では家じゅうがシャオミの製品であふれかえっているのである。

家電が売れればスマホファンも増えるという戦略

彼の使っているスマホはOnePlus、ちょっとマニアックだがハイスペックスマホ好きとしては外せない製品だ。シャオミの家電はMi Homeアプリが入ればシャオミ以外のスマホでも操作できるのである。そしてこのMi HomeはiPhone向けのアプリも出ている。つまりiPhoneユーザーでもシャオミの家電を使うことができるのだ。

アップルもスマート家電関連のソリューションとして「Home Kit」を出している。だがHome Kitに対応した家電はアップルは開発しておらず、他の家電メーカーに頼っている。Home Kitが発表されたときは「これで家電がすべてiPhoneで操作できる」と、夢物語が現実になると思われた。しかしHome Kit対応家電はほとんど増えていないのが実情だ。

そのHome Kitが苦戦する中で、シャオミは生活に必要な家電を次々とリリース。iPhoneユーザーも気が付けば家の中の家電はシャオミになっていた、なんてケースも多いだろう。

中国の若い夫婦がシャオミの店で家電をiPhoneで操作していた。

シャオミとしてはできればスマホも自社製品を使ってほしいだろう。しかしシャオミの家電を買ってもらえれば、シャオミの店へユーザーを誘導する足掛かりにもなるし、シャオミの製品にも興味を持ってもらえるようになる。しかもシャオミの家電は「安くて高性能」、つまりシャオミのスマホの成功体験そのままに製品種類も増やしているのだ。低価格な家電は中国で山のように売られているし、スマホ連携できる高性能なスマート家電は大手家電メーカーが次々と新製品を出している。しかし価格は高い。

今後シャオミの家電のラインナップが増えてくれば、新学期シーズンに「一人暮らし応援セール」なんてものも可能になる。そして「セットを買えばスマホも無料」なんてキャンペーンも十分できるだろう。これまでの家電セールはあくまでも「まとめ買いがお得」なだけだった。しかしシャオミの場合は「すべてがつながるスマートライフ」を提供してくれるのだ。しかもスマホがタダでもらえたら飛びつく客が殺到しそうだ。

デスク周りのライトなど、シャオミの家電は幅広い製品を揃えている

ただし、家電はスマホ以上にアフターサービスが必要な製品であるし、店の保管や配送コストもかかる。そのため中国以外の国ではシャオミの家電はすべての製品が販売されていない。せっかくのスマートな製品が海外で買えないのは残念なことだ。多少価格は高くなっても、現地ディーラーと組むなりして家電販売をグローバルに広げれば、いずれシャオミは家電メーカーとしても認知されるようになるだろう。

スマート家電を大々的に展開する前、シャオミはTV市場にも進出した。もちろんインターネット接続を備えたスマートTVで、大画面かつ価格の安さであっという間に中国外にも進出。新興国でも人気の製品だ。シャオミのTVは中国とインドでシェアトップであり、グローバルでもサムスン、LG、TCLに次ぐ4位に躍り出た(2019年上半期、AVC Revo調査)。

TVではソニーなどを抜き世界シェア4位に躍り出たシャオミ。

数年もしたら、日本人がこぞってシャオミの炊飯器を買い、そしてシャオミの家電を買いそろえ、家電量販店にはパナソニックやシャープと並んでシャオミの家電が売っている、そんな時代がくるかもしれないのだ。「中国の家電なんて使いたくない」という人もいるかもしれないが、「スマホとつながらない家電なんて使えない」と考える人がこれから増えてくるはず。中国メーカーだから、なんて色眼鏡で見てはいけないのである。