知られざる完全食「なめろう」を極める。遊びだからガチでやる。

なめろうという料理はすごい

なにがすごいかというと、ほぼ完全食なのだ。

完全食についてWikipediaを紐解くと、「健康を維持するために必要な栄養をすべて含んだ食品、あるいは食事」とある。

なめろうは味噌と薬味と魚を混ぜて包丁で細かく叩いたもので、つまり魚(動物性たんぱく質)、味噌(植物性たん白質)、薬味(野菜)がバランスよく合体している。

一般的なレシピで作成した場合でも、タンパク質:炭水化物:脂質のバランスが5:1:1で、ダイエット中でも無理なく取り入れられる安定の栄養バランス

しかも味噌と魚だから、白米との相性は言うに及ばず、炭水化物も同時に摂取可能だし、お茶漬けにすれば体調がいまいちなときだってさらさらといけてしまう。

そのうえ、火も使わない。

漁師が船の上でつくるくらいだから、材料と包丁さえあればアウトドアでだって作れてしまうお手軽サバイバル食(たぶん)。

日本古来の発酵食品である味噌は、流行りの腸活だって楽々クリア。

健康志向の老若男女や、筋活に励むアスリートにもぴったりだ。

こんな完璧な一皿があるだろうか。

そんななめろうを極めんとする会が、食通集まる家呑みにてひっそりと開催されたのでレポートしてみよう。

まずはおさらい

なめろうとは、アジやサンマ、イワシなど主に青魚の上に、薬味と味噌をのせてそのまままな板の上などで 包丁を使って細かく叩いた料理。

房総半島沿岸が発祥といわれる郷土料理で、名前の由来は、皿を舐めとるほどおいしいから、細かく包丁でたたいた時に粘り気があるさまを指しているからなど諸説ある。

また漁師が漁の際に船のうえで作っていたことから「沖鱠」(おきなます)と呼ばれることもある。

ちなみになめろうを鉄板や網などで焼いたものをさんが焼き(もしくはさんが)といい、千葉では創作郷土料理プロジェクトとして「千葉さんが」も最近スタートした。

買い出したモノ

味噌6種

茅野の里(長野県) 米味噌、白系、こし 塩分 約 11.9%、糀歩合 約8割、熟成期間約50日以上
越中 富山(富山県) 米味噌、白系、粒 塩分 約 11.7%、糀歩合 約10割、熟成期間約60日〜90日
味噌蔵 珠玉(長野県) 米味噌、赤系、こし 塩分 約 11.9%、糀歩合 約8割、熟成期間約120日
寒仕込 秋田(秋田県) 米味噌、赤系、こし 塩分 約 12.5%、糀歩合 約11割、熟成期間約 540日
麦のかほり(熊本県) 麦味噌、赤系、粒 塩分 約 10%、糀歩合 約20割、熟成期間約60日
伊予のみそ(愛媛県) 麦味噌、白系、こし 塩分 約 8.5%、糀歩合 約200割、熟成期間約30日

味わいマップつき。

魚4種

青魚2種、白身魚1種、貝1種とした。

上:豊後水道真鯵 なめろうといえばやはり鯵!

中左:松前エゾ大サザエ

中右:淡路活真鯛

下:鹿児島糸引きアジ とりあえずなめろうにしてみようというチャレンジ枠。魚体のクセが強い。

組み合わせはまさに無限大

とりあえず種類豊富に材料を調達したわけだが、ここで重要なことに気づいた。

味噌6種×魚4種=なめろう24種

そう、胃袋の容量が持たないのだ!

これは盲点だった・・・ というわけで、すべてをマトリクスする調査はあきらめ、参加者の心の赴くままランダムに作られたなめろうを以下に紹介しよう。

なお、基本的な分量は魚:ネギ(薬味):味噌=3:1:1である。目分量ともいう。

まずはオーソドックスな鯵のなめろう。基本の味として、味噌は調理担当がスーパーで購入した長崎みそを使用した。

豊後水道真鯵×長崎みそ

まさに王道。

叩き具合はペースト状にする派とぶつ切り派で好みが分かれるが、ここでは調理担当お勧めのぶつ切りにて。

さざえ×寒仕込秋田

さざえは肝を茹でて、身は生のまま。コリコリした歯ごたえが楽しい。

淡路活真鯛×伊予のみそ

大変に上品な味わい。粒度も大きめなのであまりなめろう感はない。

鹿児島糸引きアジ(ハラミ)×茅野の里

ハラミの脂加減はしっかり系味噌と相性がいいようだ。

鹿児島糸引きアジ(背)× 麦のかほり
鹿児島糸引きアジ(背)× 茅野の里

いわゆる食べ比べだが、評価はそれぞれ。

どちらかというと味噌の味が勝たないほうが、なめろう感が強くなるようだ。

なめろうの可能性は無限大

個人的には味噌は甘めのもの、細かめに叩いて少し粘り気があるものがなめろうらしく口に合った。例えば、食べ比べだったら麦のかほりの方が好きだ。

しかし、参加者によっては粒度が大きいものが食べ応えがあってよい、寒仕込秋田の辛みが日本酒にあう、味噌の粒粒があるほうが味わい深い、などという感想も出ており、好みによるのかもしれない。

サザエの噛み応えは噛んでいるだけでうれしくなるし、鯛の白身の上品さはなめろうにするとより際立つように思えた。

合わせる酒によってもその味わいはくるくると表情を変えていく。

今回は10種類以上を用意したが、この味ならこの日本酒が合うはずだ、と興が乗るについれて続々と瓶が空いていき、はて、酒とは蒸発するものだったのか?と首を傾げるほど。

はっきり言えることは、なめろうの可能性は無限大だということだ。

この会、まだまだ続きそうである。

本日の学び

・なめろうは青魚限定の料理ではない。
・味噌との組み合わせでレシピは無限大。
・粒度によってもレシピは無限大。
・なめろうを食す際には日本酒は必須。
・なめろうは完全食。

執筆:小林聖(https://di-cite.blogspot.com