時計を手にするきっかけなんて、いろいろあっていいじゃない! カルチャーな腕時計たち Vol.10 ジェームズ・ボンドとオメガ

これまで、映画の劇中に登場した時計は数え切れないほどあるが、強烈なまでにその存在感を示し続けているブランドはそうないだろう。映画『007』シリーズに登場する、オメガ「シーマスター」。それは、単に登場人物の個性やポジションを表現するプロップとしてのみではない、ときに物語の行方を左右する重要な役割をも担い、俳優陣とともに作品を盛り上げてきた、シリーズに不可欠な存在である。

「シーマスター」こそ、ボンドの装備品

英国の秘密情報機関のひとつ、通称MI6(Military Intelligence Section 6)。ここに所属する諜報部員、コードネーム007ことジェームズ・ボンドを主人公とするのが『007』だ。同シリーズは1953年にスタートしたイアン・フレミングの小説を原作として1962年に映画化。ボンド役はショーン・コネリーに始まり、ジョージ・レーゼンビー、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナンと続き、2006年公開の『007 カジノ・ロワイヤル』以降はダニエル・クレイグが演じている。

映画はこれまで24作品が公開されてきたが、一連の作品のなかでボンドの手首を飾り、任務遂行のために必要な時間を示し、ときに危機を脱するための秘密兵器として活躍してきたのが腕時計だ。この“ボンド・ウォッチ”は第1作の『007 ドクター・ノオ』ですでに登場し、このときはフレミングの原作にならいロレックスが使用された。その後は、セイコーやブライトリング、ハミルトンの時計が“支給”されてきたが、1995年公開の『007 ゴールデンアイ』でオメガが登場。以後、2015年公開の『007 スペクター』まで、オメガ「シーマスター」がMI6の制式装備品となっている。

第21作『007 カジノ・ロワイヤル』より6代目ボンド役を務めるダニエル・クレイグ。@gregwilliamsphotography

「シーマスター」と言えば、オメガのみならず、腕時計を代表するマスターピースのひとつ。1948年に誕生し、1957年には200m以上の防水性能を実現した「シーマスター 300」を発表。以後、多くのプロフェッショナルダイバーたちを支えてきたダイバーズウォッチの傑作だ。

しかし、なぜ「シーマスター」だったのか。そこには『007 ゴールデンアイ』から『007 カジノ・ロワイヤル』まで衣装デザインを担当したリンディ・ヘミングの提案があったからだという。

ヘミングは当時「世界に名だたる海軍の軍人であり、ダイバーであり、用心深い紳士である海軍中佐のボンドなら、この時計を着用するはずだと確信していた」とコメント。さらに「私の父は英国空軍に所属していましたが、海軍の軍人たちとも親しく、そのなかのひとりが家に来ていたことを覚えています。彼がいつも着けていたのがオメガで、まるで海軍専用のようなスポーティなデザインに私は魅了されていました。重要なのはディテールへのこだわりです。だからこそ、ピアース・ブロスナンが演じる新しいボンド像を作るにあたっては、早い段階から打ち合わせを重ね、オメガの採用を主張した」のだという。

実際、1932年にオメガはブランド初の防水腕時計「マリーン」を発表して以降、防水性能を追求。第二次世界大戦が勃発すると、オメガはねじ込み式の裏蓋を採用したラウンド型の腕時計を英国軍に大量供給している。また、1957年発表の「シーマスター 300」は世界中の海軍ダイバーに支給されたが、それから10年後の1967年に発表された第2世代モデルは英国防省に納入。これらの事実を鑑みれば、英国海軍中佐であるボンドが「シーマスター」を着用することは必然といえるだろう。

オメガ
シーマスター ダイバー300M 007 エディション
108万9000円(左)、95万7000円(右)

メッシュブレスレット・モデル(左)と、ストライプ柄のNATOストラップ・モデル(右)の2種類がラインナップ。ケース素材は共通でグレード2チタンを採用しており、軽快な装着感を実現している。しかも両モデルとも限定ではなく、定番モデルとして2020年2月より発売される予定。自動巻き、Cal.8806、パワーリザーブ約55時間。Tiケース、300m防水、ケース径42mm。

ダニエル・クレイグの意見が反映された新たなボンド・ウォッチ

2020年4月、ついにシリーズ第25作目となる最新作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』が公開される。これに先駆け、去る2019年12月に、オメガは劇中で使用される新しいボンド・ウォッチを発表した。それが「シーマスター ダイバー300M 007 エディション」だ。デザインにはダニエル・クレイグをはじめ、映画制作陣のアイデアが活かされており、とりわけ大きな影響を与えたのが、ダニエル・クレイグとのやりとりだったという。

2019年12月、ニューヨークで最新モデルが初めて披露された。会場には(左から)オメガ社長兼CEOのレイナルド・アッシェリマン、映画プロデューサーのバーバラ・ブロッコリ、俳優のダニエル・クレイグ、映画プロデューサーのマイケル・G・ウィルソンが姿を見せた。

「デザインについてオメガとやり取りをするなかで、ミリタリー(軍隊)を背景に持つ007のような男性にとっては、軽量化された時計がキーポイントになるという結論に達しました。また、時計に個性的なエッジを効かせるために、ヴィンテージ風のデザインとカラーも提案しています。完成形を見たときはその素晴らしさに驚きました」

ダニエル・クレイグがこのようにコメントしているとおり、新しいボンド・ウォッチは、ミリタリーの装備品を意識したディテールが盛り込まれている。ケースとメッシュブレスレットには強度が高く、軽量なグレード2のチタンを採用。過酷な任務を遂行する諜報部員にとっては最適なマテリアルといえよう。しかも、ダイアルとベゼルリングには“トロピカル”ブラウンのアルミニウムを用い、徹底して軽量化が図られている点も特筆だ。

ダイビングスケールと時分針、秒針先端、インデックスにはヴィンテージ調のスーパールミノヴァを塗布し、クラシカルかつミリタリールックなデザインに。グレード2チタンのカラーとも絶妙なマッチングを見せている。

デザイン面では“トロピカル”ブラウンカラーのほか、ベゼルに施されたダイビングスケールと時分針、インデックスに、それぞれヴィンテージ風のスーパールミノヴァを塗布することで、クラシカルなルックスを実現。しかも、ケースバックには本物の軍用時計に着想を得た数字を記す“本気の遊び心”もうかがえる。

もちろん、ムーブメントにはMETAS(スイス連邦計量・認定局)より認定を受けたマスター クロノメーター キャリバー8806を搭載。高精度はもちろん1万5000ガウスの耐磁性能を誇っているのだから、エージェントにとっては今まで以上に心強い装備品となっているはずだ。

ケースバックには軍用時計をイメージしていくつかの数字を刻印。「0552」は海軍所属のコードナンバー、「923 7697」はダイバーズウォッチの意、「A」はねじ込み式のリューズを示すコード、「007」はボンドのコードネーム、そして最後にシリーズ第1作目の公開年である「62」が記されている。

この新たなボンド・ウォッチに対し、映画のプロデューサーであるマイケル・G・ウィルソンとバーバラ・ブロッコリは「ボンドが持つミリタリー経験は、007という役にとって必要不可欠な要素。オメガのこの新しい時計のデザインにそのような要素が反映され、映画の世界観と見事に一致した」とコメント。英国海軍中佐であるボンドが身につけるべき「シーマスター」は、この「シーマスター ダイバー300M 007 エディション」によって、MI6の諜報部員が着用するにふさわしい装備品へとさらに昇華したのである。

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