時計を手にするきっかけなんて、いろいろあっていいじゃない! カルチャーな腕時計たち Vol.12 アイスクロスとファーブル・ルーバ

去る2020年2月15日、神奈川県横浜市の臨港パーク特設会場で開催された「レッドブル・アイスクロス・ワールドチャンピオンシップ 横浜 2020」。日本では2018年以来2度目の開催となったが、当日は約7000人の観客が詰めかけ、スリリングなレース展開に会場は大いに盛り上がった。そしてこの大会のオフィシャル・タイムキーパーを務めたのが、スイスの時計ブランド、ファーブル・ルーバである。

スリリングなレース展開が楽しめる「レッドブル・アイスクロス」

「アイスクロス」とはあまり耳慣れない競技名だが、これはアイスホッケーやダウンヒルスキー、スノーボードクロスの要素を取り入れたエクストリームスポーツ。選手はアイスホッケーのプロテクターを着用し、最高時速約80kmものスピードでヘアピンカーブやバンクコーナー、連続したバンプなどの障害物を乗り越えながら全長約700m(今大会は全長350m)の氷の特設コースを滑り降りるものだ。

日本では今回が2度目の開催となったが、その歴史は約20年にもおよび、初開催は2001年。当初は「Red Bull Crashed Ice」としてスタートし、2007年には同大会がシリーズ化。その後ATSX(All Terrain Skate Cross)連盟主催の世界選手権となり、名称も「レッドブル・アイスクロス・ワールドチャンピオンシップ」と変えて今日まで続いている。

横浜大会のコースは長さ350mで高低差は22m。スタートランプの目の前は高さ12m、最大傾斜39.4度のコースが待ち構え、スタート直後からスピーディかつ激しいバトルが繰り広げられる。Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

大会はコースの難易度と獲得できるポイントによってATSX250、ATSX500、ATSX1000の3つにカテゴリーが分けられており、横浜で行われたのはトップカテゴリーに位置付けられるATSX100。4名が一斉にスタートし、各レースの上位2名が次のヒートにコマを進めながら優勝者を決めるというごくシンプルなルールだが、前述のようなスピードと難易度の高いコース設計により、転倒や選手同士が接触するようなアクシデントも多く、ゆえにスリリングなレース展開を楽しめるというわけだ。

コースの途中にはヘアピンカーブやバンクコーナーなどが設けられており、転倒やそれに伴う選手同士の接触などの激しいレースが展開されるのもアイスクロスの見どころ。Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

ファーブル・ルーバとアスリート(=挑戦者)とのつながり

この大会におけるオフィシャルタイムキーパーを務めたのが、1737年にスイスのル・ロックルで創業したファーブル・ルーバ。「時の王」をコンセプトに掲げ、ここ日本では2019年に放送された『仮面ライダー ジオウ』や現在放送中の『仮面ライダー ゼロワン』の劇中に登場していることでも知られるブランドだ。

ファーブル・ルーバ
レイダー・シーキング
各24万2000円

大会のオフィシャルウォッチとして選ばれたのが「レイダー・シーキング」。大型のクッションケースにノッチが刻まれたベゼル、スクエアのアプライドインデックスの組み合わせが、レトロフューチャーな雰囲気を醸し出す。自動巻き。SSケース、30気圧防水、ケース径41.0mm。

ファーブル・ルーバがアイスクロスをスポンサードした理由には、新たな時計ファンを獲得していこうという狙いがあるようだ。しかし、過去を遡ってみれば今回のアクションはごく自然な流れとも言える。

1962年、ファーブル・ルーバは高度と気圧の測定を可能とした“アネロイド気圧計”搭載の機械式時計「ビバーク」を発表。イタリアの登山家ヴァルテル・ボナッティはこの時計を着けてグランド・ジョラスにあるウィンパー峰の北壁や、最短ルートでのマッターホルン北壁の登頂に成功し、スイスの登山家ミシェル・ダルブレーが1963年に初のアイガー単独登頂に成功したときにはファーブル・ルーバの時計を身につけていた。また、1975年に女性で世界初のエベレスト登頂を成し遂げた田部井淳子も「ビバーク」を使用している。

このような歴史的事実に加え、ファーブル・ルーバは「フロンティアへの挑戦」というスローガンを掲げて多くの探検家やアスリートたちを長年にわたってサポートしてきた。ここ数年に目を向けても、フリーダイバーへのサポートを継続的に行っているほか、2020年2月にはパルクール・アスリートとのタイアップも発表するなど、多彩なスポーツとのコラボレートを積極展開している。さまざまなジャンルの挑戦者たちとともに歩んできた事実を踏まえれば、今回のスポンサードもうなずける。

男子はカナダのキャメロン・ナーズ(中央)が優勝。2位はカナダのカイル・クロソール(左)、3位は人気を獲得しているカナダのスティーブン・コックスという順位で幕を閉じた。(写真上)Andreas Schaad/Red Bull Content Pool (写真下)Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

今回の「レッドブル・アイスクロス・ワールドチャンピオンシップ 横浜 2020」だが、男子はアメリカのキャメロン・ナーズ、女子はカナダのマキシー・プランテが優勝を果たした。特に男子の決勝戦終盤は2016年、2017年、2019年と3度のチャンピオンに輝いているナーズと、2012年のチャンピオンであるカナダのカイル・クロソールとの一騎討ちに。ほぼ同時のゴールとなったが、わずかにブレードがフィニッシュラインを越えたためナーズが勝利を収める、白熱したレースとなった。

会場にはファーブル・ルーバのブースが設置されており、すべてのレース終了後、ブースでは時計を興味深く眺める来場者の姿も。この熱いレースとともに、ファーブル・ルーバの存在も彼らの目には焼きついたことだろう。

問スイスプライムブランズ●03-4360-8669
http://favre-leuba.com/jp/