デザインにも音質にも妥協したくないランナーにおすすめの完全無線イヤホン

今月テストしたギア

スウェーデン・ストックホルムに本社を置くYEVO Labsの完全ワイヤレスイヤホン。高性能バランスドアーマチュア・ドライバーを1基搭載。優れた中高域とタイトな低域を歪みなくクリアに再生する。近距離磁気誘導による左右イヤホン間の音声伝送技術を採用。

YEVO Labs
YEVO1
実勢価格:2万9840円

SPEC イヤホンバッテリー容量:60mA  フル充電:45分、充電ケースバッテリー容量:600mA フル充電:1.5時間 カラー:オニキスブラック、アイボリーホワイト、ジェットブラック

完全ワイヤレスの最新進化型は懐に余裕のあるランナー向け

これまで数々の完全ワイヤレスイヤホンをランニングシーンでトライしてきた。そんななか突如登場したのがYEVO Labsの『YEVO1』である。筆者は今年8月に渋谷で行われたメディア向けイベントで初めて実機に触り、スウェーデンのブランドがリリースしたプロダクトらしいシンプルなデザイン、低音から高音までバランスのとれた音質の良さを体感した。しかしながらイヤループが付いていない完全ワイヤレスのデザインは、「自分の耳の穴の形状には合わないだろう」と内心思っていた。

それは以前本連載でも報告したが、アップルの『AirPods』を装着して走ったときに、走り始めはいいのだが、汗をかいてくると耳の穴から頻繁に滑り落ちそうになると感じたからだ。側溝などに落ちて無くしてしまうのが怖くなって、途中で外してポケットに入れてしまったからである。

10月のとある午後に実際にトライする機会を得た。『YEVO1』を付けて走ったのは神宮外苑周辺。皇居周りと並び、都内では〝ランナーのメッカ〟として知られている場所だ。『YEVO1』は細身のスライド式ケースから取り出し、最初にスマートフォンとBluetooth接続設定してしまえば、以降は耳に装着しただけで自動接続される。

この点は『AirPods』と同じ。実際に装着してみると『AirPods』などのインナーイヤー型なのに対し、『YEVO1』はカナル型だが、それよりさらに耳の奥の方まで押し込まれるタイプと言いたくなるぐらいだ。個人的にはカナル型のほうがランナーにとって相性が良く、二世代目のiPod時代から付属のイヤホンは使用せず、ソニーやオーディオテクニカのカナル型を購入して使っていた。それだけに『YEVO1』の装着感はかなり安心感がある。

カナル型の形状であり、フィット感は抜群。今回の6kmランでは脱落の心配は全くなかった。おそらく夏季のように発汗量の多い季節のランニングだったとしても問題ないと思われる。

実際に走り始めてもフィット感が高く、脱落の心配は感じない。これはある程度汗をかいた4㎞以降や振動が大きくなる下り坂の走行時でも同じで、日課である6㎞ランを終えるまで一度も落ちそうだとか、ポケットに入れようかな? といった心配をすることはなかった。

さらにこの『YEVO1』が優秀なのは、そのクリアな音質。クセのない音質であらゆるジャンルの曲とも相性が良いだろう。それと曲の一時停止や音量の調整は、本体をタップするだけでできる点も素晴らしい。スマートフォン本体やイヤホンのコードにあるボタンなどを操作することなく、簡単に位置停止や音量調整を行うことができるのである。

iOS/Android向けに、YEVO専用アプリも用意。イヤホンのバッテリー残量表示、低音のブースト調整、左右の音量バランス調整などが可能。さらに機能の追加も予定している。

筆者はこれまで「音楽を聴きながらよりも風の音や波の音を聞きながら走るほうがイイ!」と思っていたが、今回『YEVO1』を使用して、「The Rocky Story」という映画「ROCKY」シリーズの歴代サントラを収録したアルバムを聴きながら走ったが、赤坂御所周辺の急坂でもテンション高めの楽曲のおかげで、これまでになく快適に坂を走ることができたのは、音楽の効能以外の何物でもないと思った。そしてランニングと音楽を結びつけるのに、このイヤホンの操作性の高さは手助けしてくれていると思った。

バッテリーチャージャー機能を備えたスライド式のケースは600mAのバッテリーを内蔵。約1時間のフル充電を最大5回できる。再生時間は約3~4時間、通話時間は約3時間となるようだ。

このように高い評価を与えることができる『YEVO1』だが、あえてマイナス点があるとすればその価格。以前と比較するとBluetooth接続のイヤホンの価格はかなり安くなっているので、そのような状況での3万円近いプライスはやはり高いと言わざるをえない。

しかしながら実際に使ってみて、その優れた機能性、質感の高さ、デザイン性の高さなどを考慮すれば、その価値は充分にある。『YEVO1』は「懐に余裕のあるランナー」「デザインにも音質にも妥協したくないランナー」「普段使いからランニングシーンまでひとつのイヤホンをシームレスに使いたいランナー」にオススメしたい逸品である

南井正弘(みないまさひろ):フリーライター、ランニングポータルサイト『Runners Pulse』編集長。某スポーツシューズブランドでプロダクト担当を10年務める。かつて、伝説的クイズ番組『カルトQ』(フジテレビ系)のスニーカー部門チャンピオンにも輝く。ほぼ毎日のランを欠かさないファンランナー。

『デジモノステーション』2018年1月号より抜粋。