最先端の年賀状はこの書体で!? アドビの最新フォント『貂明朝(てんみんちょう)』

Photoshopなどのクリエイティブソフトで知られるアドビ システムズ(Adobe)は、新たな明朝体フォント『貂明朝』(てんみんちょう=Ten Mincho)の提供を開始した。

「可愛らしくも妖しい」をテーマにデザインされたこの書体は、明朝体でありながらボリュームある横画と丸みのあるフォルムが特徴。主にディスプレイや見出しとしての用途を想定しているという。さっそく2018年の年賀状に使いたい、と考える熱心なアドビユーザーもいることだろう。

伝統的な明朝体を新たなバランス感覚で再構築

『貂明朝』のデザインには「鳥獣戯画」や「浄瑠璃」といった日本の伝統的なイメージと、筆の蛇行する動きなど手書きの味わいが融合され、全体的には丸みを持たせた印象に仕上げられている。また「てん」の形状や「はらい」の長さにも徹底的にこだわってデザインされ、仮名よりもデザインが難航したという漢字では「うろこ」を大きくするために1000字ものデザインを作りなおすという苦労もあったのだそう。

タイプデザイナーの西塚涼子氏(上写真中央)いわく「明朝体のデザインはバランスを良くすれば自然にかっこよくなる反面、バランスを崩すとただのヘタ文字になる」とのこと。この言葉からも、伝統的な明朝体にかわいらしさをプラスする困難さをうかがい知ることができる。

欧文フォントも日本側からのリクエストを反映

また日本側からのリクエストを受け、同シリーズの欧文書体となる『Ten Oldstyle』の記号類および約物も、日本語になじむデザインに統一されている。日本語と欧文が混在する和欧混植において、統一感ある文字組みができそうだ。

この『貂明朝』がサポートする文字は、最新の常用漢字・人名用漢字を含む漢字が約6500文字、イタリック体を含むラテン文字が約2100文字、そしてかな・シンボル・約物などが約500文字だ。ちなみにここには、「かわいくてあやしい」というニュアンスをアドビ社内で説明するために西塚氏が描いたという「貂」のキャラクターも収録されていて、異体字として入力可能になっている。

ちなみにこのキャラクターはイベント「Adobe MAX Japan」の会場で缶バッジなどとして見ることもできた。

『貂明朝』はアドビの「Typekit」にてすでに提供開始されており、同サービスならびに「Adobe Creative Cloud」の有償ユーザーならすぐに使い始めることができる。ボリューム感のある書体のため、長文の文字組みにはいささか不向きな印象だが、年賀状やクリスマスカードなどでさっそく試してみたい。

関連サイト

「貂明朝」は日本語フォントの新たな領域へ(Adobe CJK Type Blog)