やっちまったな…。ドイツ・シーメンスのトンデモ携帯「XELIBRI」のクセがすごい

今月のヘンタイ端末はこれだ!


シーメンス
XELIBRI(全16モデル)
販売価格(当時):4万円前後

ファッションアクセとして打ち出すもたった2シーズンで製造は打ち切り!

世界には知られざるスマホやケータイがごまんとある。筆者の千台を超えるコレクションから、「こんな端末見たことない!」と思えるヘンタイ系端末をここでは紹介していこう。記念すべき1回目は、ドイツのシーメンスが2003年に販売したトンデモナイ形のケータイ『XELIBRI(ゼリブリ)』シリーズだ。

シーメンスといえば家電から工業用機械までを手掛けるお堅いイメージの総合電機メーカー。その企業イメージ通り、かつて同社の出していたケータイも質実剛健なデザインのものが多かった。それをなぜか打ち崩そうと開発したのが、このゼリブリである。シリーズ1と2の二回に分け、それぞれ4製品ずつ、合計8機種を発売。モデル名は「1」から「8」まで。各色2色ずつで全16モデルがリリースされた。

その外観は写真からも分かるように、ひとクセもふたクセもある。パッと見、ケータイとは思えぬ風貌をしている。中でも一番まともなケータイのように見えるのは「1」「7」。2つの円の中央にハの字にキーを並べた「1」は、どことなく昆虫の腹部を思い起こさせる。普通のケータイに見える「7」は本体全体がクリップになっており、洋服などにこのまま掛けられるようになっている。使わないときはポケットなどに止めて、“見せケータイ”するのだ。

丸みを帯びた「2」は、数字キーが本体の左右に並んでいる。「4」はハートのような形で、こちらも数字キーの並びは独特だ。どちらも裏側にはやはりクリップがついており、この2モデルも常に見せることを意識。アクセサリとして使うことも提案した。

一見するだけで目立つ「6」はコンパクト型。開けば画面の回りが鏡になっており、本当にコンパクトとしても使える。長方形の「5」はストラップを付けられ、本体下部を外すと数字キーが現れる。

そしてどう見てもケータイに見えない「3」は、付属のネックストラップを付けて首からぶら下げて使う。このストラップには通話キーがついており、電話がかかってきたときはストラップのボタンを押して着信できるのだ。ひょうたん型の「8」は本体に引っ掛けるようなストラップが付いており、こちらも首からぶら下げて使える。この2機種は数字キーが無いため、本体中央の十字方向キーを上下左右に動かして、数字を選び電話番号を入力する。電話をかけるより、受けることが多い“モテ女子”向けなのだろう。

ゼリブリは今までのケータイの概念を打ち破るファッションアイテムとして、ブティックなどでも販売された。複数買ってその日の気分や服装に合わせて持っていくケータイをセレクトする、なんて姿をシーメンスは期待したのだろう。しかし、価格は4万円前後。まだスマホが登場していない当時でもかなり高価。ゼリブリを数台買うくらいなら、若者たちはブランド服やカバン、さらには遊びにお金を費やしたようだ。

その証拠にコンセプトは優れていたものの、結局2シーズンで製造は打ち切られてしまったのだ。末期は1台数千円で投げ売りされ、筆者も数年かけ全16モデルのコンプリートに成功した。右も左も似たようなスマホばかりの現代。ゼリブリのような飛んだデザイン端末の復活を期待したい。

山根康宏(やまねやすひろ):香港在住の携帯電話研究家・ジャーナリスト。世界の携帯電話事情を追い求め、1年の約半分を海外で過ごす。携帯電話1500台、SIMカード500枚以上を所有するコレクターでもある。

『デジモノステーション』2018年1月号より抜粋。