中国でも変態スマホ端末メーカーとしてお墨付き!? 日本でほぼ知られていないヌビアが変態すぎておもしろい

日本で知られていないスマホメーカーはまだまだ世界中にある。中国のヌビア(Nubia)も日本で細々とスマホを販売しているが、その名前を知っている人はいないだろう。過去には腕時計型スマホや両面スマホなど、ちょと変態的端末も出していたヌビアが、大きく変わろうとしている。

ゲーマーのためのカッコいいスマホ
中身もパワフルなnubia Play

ヌビアの最新スマホ「nubia Play」はその外観だけでも大きな特徴を持つゲーマー向けのパワフルな製品だ。スマホの心臓部であるSoC(統合チップセット)こそミッドハイレンジ向けとなるSnapdragon 765Gの搭載に留まっているが、画面の書き換え速度はスマホ業界でトップの144Hz。つまり画面をスクロールしたりゲーム中のキャラの動きが恐ろしくスムースなのだ。ちなみにこの速度はiPhone最新モデルの倍以上。つまりそれだけなめらかな画面表示が可能なのである。

ヌビアの最新スマホはゲーミング対応のnubia Play。

本体は側面にタッチセンサーを搭載。つまりnubia Playを横向きに持ち、左右の人差し指を側面にかけてタッチボタンとして使うことができる。ゲームプレイには必須の機能だろう。しかも本体内部は水冷管やカーボンを利用した冷却システムを搭載。長時間ゲームをしていても本体が過熱して動作が不安定になることもない。そして5100mAhの巨大なバッテリーのおかげで長時間の利用も可能。ゲームを頻繁にプレイする場合でも30Wの急速充電に対応するため充電時間も短い。通信方式はもちろん5Gに対応。有線の光回線と変わらぬギガビットの高速で対戦ゲームもスムースに行えるのだ。

実はヌビアのゲームスマホはこれが最初の製品ではない。すでに2018年から「Red Maic」というブランドでゲーミング端末を展開している。SoCの大手、クアルコムが半年ごとにCPUやモデムの性能を高めるのにあわせ、Red Magicも新機種を次々と送り出してきたのである。Red Magicはその名の通り赤いボディーが特徴で、背面中央のLEDライトが光り、また空冷ファンを搭載しているのでゲームでスマホ本体が過熱するとファンが回転して強制的に冷やしてくれるという本格的なゲームマシンだ。最新モデル「Red Magic 5G」はその名の通り5Gに対応、SoCはSnapdragon 865を搭載する。

まるでノートPCのように空冷ファンを搭載するRed Magic。

ゲーミングスマホはまだ日本ではあまり知られていない存在だが、すでに複数のメーカーが市場に参入している。PCメーカーASUSの「ROG Phone」は合体式モジュールでポータブルゲームマシンを凌ぐ操作性を得られる点で一部の層に人気の製品だ。また格安スマホのシャオミの関連会社が手掛ける「Black Shark」も価格と性能バランスに優れたゲームスマホだ。どちらの製品も背面に埋め込まれたLEDが光るなど、ゲーミングスマホはとにかく派手さが特徴の一つになっている。

豊富なアタッチメントもあるBlack Shark 3。もはやスマホとは思えない外観になる。

nubia Playの背面はLEDライトこそ埋め込まれていないものの「X」のデザインをモチーフにした暗色&ネオンカラーのハイブリッド仕上げはサイバー空間へこれから入り込んでいくようなちょっとした近未来感を味わえる。最近のスマホの背面デザインは様々なものがあるが、nubia Playは今までに見たことのないデザインではないだろうか。

nubia Playの背面デザイン。とにかくカッコいい。

夢に破れた変態スマホたち
意気込みだけは評価したい

ヌビアはもともとスマホメーカーのZTEから分離した会社だ。ZTEのスマホは日本でも販売されたことがあるが、あまり記憶に残るようなものは出していない。ソフトバンクから出てきた据え置き型プロジェクター内蔵のAndorid端末や、ドコモから出た2画面折りたたみスマホ「AXON M」など、ちょっと変わった端末も手掛けてきた。しかしZTEのスマホのイメージはどちらかといえば「地味」であり、目立った製品は少ない。

2画面折りたたみスマホAXON MはZTE唯一の目立った製品だった。

そこでZTEのブランドイメージを変えるべく、ヌビアとして分離しハイスペックなカメラを搭載したスマホを次々に出していった。長時間シャッターで星空が写せるスマホは当時はヌビアしかなかったくらいだ。さらにディスプレイ左右のベゼルを無くし、その側面のガラス部分をタッチセンサーにするという先進的な機能を持ったスマホも出していた。中国ではヌビアは特徴的なモデル展開で一定の認知度を誇っていたのだ。

しかし大手メーカーが次々と新製品を出し機能アップを図る中で、ヌビアも差別化が難しくなっていった。そこで2018年秋に出してきたのが表も裏もディスプレイの「nubia X」だ。表がカラー、裏面がモノクロ(電子ペーパー)というスマホはハイセンスやロシアのヨタ(Yota)が出していたが、両面カラーというスマホはnubia Xが世界初だ。

世界初、表も裏もカラー画面のnubia X。

また、2019年2月には腕時計型のスマホ「nubia α」も発表。4インチの細長いディスプレイを腕に巻くデザインでカメラも内蔵。スマートウォッチでは役不足、スマートフォンでは大きすぎるという人向けの製品だ。腕に巻けばほぼすべてのことができるという、Apple Watchですらできなかったことを実現できるウェアラブルデバイスとして大きな注目を集めた。

腕時計型スマホのnubia α。

だが2020年、これらの両面スマホや腕時計スマホの話をどこかで聞くだろうか? 結果としてこれらのスマホはキワモノの域を出ることはできず、市場で話題を取ったのは一種だけに終わってしまった。カラー+モノクロの両面スマホは2012年に初登場したが、それ以降の製品は全く売れていない。つまり両面スマホの需要は市場に無く、両面をカラー化してもそれを求める消費者は不在だったのだ。

そして今やスマートウォッチに機能を求めるユーザーは少なく、正方形型よりも円形のアナログ腕時計と同じデザインに回帰が進んでいる。つまりヌビアのこの2つの製品は新しいユーザー層を開拓できず、ニッチ層向けの製品に終わってしまったのだ。

ロゴ変更で生まれ変わる
ゲーミングスマホの次に期待

ヌビアは2020年4月にロゴの変更を行った。今までのロゴは「nubia」の文字を点と円をモチーフにしたラインで表していた。しかしこのロゴを見てヌビア、と読める人は中国でも少ないだろう。ましてやヌビアはオンライン販売を中心としているので、このロゴを街中で見かけることは少ない。ゲーミングスマホに特化する意味合いも込め、新しいロゴはだれでも読みやすく親しみやすいものにしている。

上の旧ロゴをヌビアと読める人は少ないだろう。下が2020年からの新ロゴ。

2020年のヌビアはRed Magic 5Gとnubia Playという2つの5Gゲーミングスマホで中国のみならず、グローバル展開を図る予定だ。日本でも代理店(YST)がヌビアのスマホをアマゾンで販売していることから、これらの5Gスマホが日本で販売される可能性も高い。外出先でも高速ネット回線で対戦ゲームをしたいユーザーはヌビアの製品に興味がわくことだろう。

とはいえゲーミングスマホだけで今後も末永く事業を展開していけるかどうかは不透明だ。他社のスマホもスペックはかなり高く、画面表示の高速化も年々進んでいる。たとえばサムスンは2019年の新製品でゲームの「Fotnite」と提携、スマホ版Fotniteはまず最初にGalaxyに対応した。ゲーミングスマホと謳わないスマホでも、各社の最上位モデルは十分パワフルなのだ。

またゲーム&ライフスタイルメーカーのRazerが満を持して投入した世界初のゲーミングスマホ「Razer Phone」は2機種を出しただけで市場から撤退してしまった。RazerのPCでPCゲームをプレイするユーザーにとって、Razer Phoneのスペックはスマホとしては高くてもゲームマシンとしては低すぎたのだ。つまり今後PCゲームの性能が高まっていくにつれ、ゲーミングスマホに対するユーザーの要求も今まで以上に高まっていく。ゲーミングスマホを出すということは、常に最新のハードウェアを提供していかねばならない。

2機種で終わったRazer Phone。ゲームユーザーの要求は高い。

あと数年はゲーミングスマホ中心の展開でヌビアも市場で一定の存在感を示せるだろう。しかしいずれ他のメーカーもゲーム強化のスマホを出してくるはずだ。ゲーム対応の次にどんなスマホを開発し、しかも他社と差別化していくのか。新生ヌビアの挑戦は今始まったばかりなのである。