声を聴く。声を届ける。その目的に限るならハイコスパ・一者三様の在宅ヘッドホン・ヘッドセット選び No.3

No.1で紹介したのは純粋なヘッドホン。No.2で取り上げたのはゲーミングヘッドセット。最終回となるNo.3では、ピュアなヘッドセットをピックアップ。しかもUSBでデジタル接続する、DAC内蔵内蔵タイプながら実勢価格が5000円を切っているという実用性のみを追求したモデルです。世界中のコールセンターで長らく使われてきた「PC 8 USB」は、いわばその道のプロフェッショナルに認められた名機です。これをテレカンで使ったら、さあ、どんな印象を受けるでしょうか。

コールセンターという特殊な現場で求められるモノ

収納時、脱着時はマイクブームを跳ね上げておくことができる。

就業時間の多くを、電話によるカスタマーとのやりとりが占めるコールセンター。その現場において欠かせないアイテムの1つのヘッドセットがあります。彼らが使うヘッドセットを調べたところ、その多くは軽量で扱いやすい有線タイプということがわかりました。

過去にテレアポ業務をしていた友人に尋ねてみると、理由はなんといっても通話効率とのこと。コールシステムの操作や資料の表示など、業務中は常に両手でPCのキーボードとマウスを使うために受話器という選択肢はない。また音響のクオリティは不要で、大きく、重いヘッドセットは負担となるだけ。小さくて軽くてブームマイクがついていたらだいたいOKとのことでした。

使用時はマイクブームを適切な位置まで下げる。

近年はAirPodsのような完全ワイヤレスイヤホンを使う人も出てきたそうですが、「電波が途切れて相手の声が聞こえなくなってしまったときのことを考えると、主流にはならないだろう」。「音楽を聞くわけじゃないから、片耳のワイヤレスイヤホン・ヘッドセットみたいに通話時の安定性に特化したモデルが出てきたら話は別だろう」とも。

その上で、在宅勤務中にテレカンの必要があり、新たにヘッドセットを用意するとしたらどんなモデルがいいかと聞いてみたら「USB接続の両耳ヘッドセットがいい」。なぜでしょうか?

その答えは「両耳タイプのほうが相手の声がよく聞こえるんだよね。名前や住所など、聞き間違いが許されない情報を口頭で聴くなら、片耳タイプだと不安が残る。もともと片耳タイプは他のスタッフとコミュニケーションするときに便利なものなので、1人での在宅ワークだと不要かなって。またヘッドセットをPCと接続する際にマイクとヘッドホン、2系統のケーブルを挿すよりは、USBケーブル1本で挿せるタイプのほうが間違いがなくていい」んですって。なるほどなあ。

ライトウェイトな通話専用機の1つがPC 8 USB

チープなヘッドバンドだが、軽さは正義だ。頭頂への負担が低く、時に装着していることを忘れたほど快適だった。

ゼンハイザーの「PC 8 USB」はこの条件を満たすヘッドセットの1つ。USB Type-Aのコネクタ、ミュートスイッチ、ボリューム、可動式マイクブームをいう装備を持ちながら、84gと軽量な両耳ヘッドセットです。気になるお値段ですが、僕は4950円で購入しました。

2011年にリリースされたモデルですが、現在もまだ大人気のモデル。つい先日に新型の「PC 8.2 USB」がリリースされたために、もしかしたらディスコンとなるかもしれませんが、もし入手できるなら買っておくべきヘッドセットです。

作りは価格なりのもの。ハウジングは固定式ですし、ヘッドバンドも長さしか調整できません。マイクアームも上下にしか動きませんし。

しかし使ってみると、コンパクト&ライトウェイトだから気にならなくなるんですよ。小ぶりのハウジング&イヤーパッドはメガネを押さえつけることがないのでこめかみが痛くなりませんし、プラスチックだけで作られたヘッドバンドも頭頂部に負担をかけない。在宅用だし髪型が崩れることは気にならないけど、長時間装着していても重さをさほど感じなくても住むというのはありがたい。

ノイズ感なし。5000円より高いマイク使ってると感じてくる

小さなマイクカプセルが使われているようだが、声の音質は上々だ。

別の友人から「PC 8 USBのマイク品質、いいよ」と聞いてはいたのですが、これは確かにハイクオリティ。マイク用のノイズキャンセリング付きのモデルなのですが、PCの録音ツールを使って確かめてみると、たしかに声しか記録されていません。実用的ではないくらいにまでボリュームを上げないと、周囲の環境音を確認できませんでした。

ノイズキャンセリングがあることで、音声入力時の精度も高い。音声による文字起こし、いままで使ってきたヘッドセットのなかでもトップクラスに高精度でした。

マイクブームの外側には、ノイズをキャッチするためのマイクが備わっている。

またマイクのパーツだけではなく、DACやアンプの品質もいいのではと感じます。なにせホワイトノイズもないんだもの。正しく、クリア。音が低域に寄ることもなく、膨らむこともなく、高域がシャリつくわけでもない。ストレートに聴きやすい音です。

張りがあって滑舌がよく聞こえてくるから、なんだか5000円以上のボーカルマイクを使っているんじゃないか、とも感じてきますよ。このヘッドセットより高いマイクを。

音楽じゃなければ人も声もクリアに聴こえる

コントローラはボリウムと、ミュートスイッチのみ。シンプルな作りだ。

音質面も悪くはありません。いくつもの楽器音や複数のボーカルの声が重なる「音楽」を鳴らすと、さすがに分解能不足で音がダマになって聞こえてくるのですが、会話であればなんら問題なし。複数の人が参加するテレカンであっても、同時に喋るのはだいたい1人。その人の声は明瞭感たっぷりに聞き取れます。

接続端子はUSB Type-A。PCに挿せば、自動的にセッティングされる。

オンラインでの会議時間が決まっている方、音楽も楽しみたいけど自宅でスピーカーが使える人なら、コレでいいかもしれない。No.1で紹介したK240 STUDIO-Y3と合わせて買っちゃうというのもいいかもしれない。

SENNHEISER
PC 8 USB
実勢価格:4950円

Point.1 有線ヘッドホン
Point.2 密閉型
Point.3 マイクあり・USB接続

公式サイト