クリエイティブ・ディレクター金谷勉の偏愛的逸品 -Traditional Crafts-

デジモノステーションに関わる識者やスタッフ陣はモノへのこだわりは人一倍強い。なぜ彼らは数多あるものからそれらの逸品を選んで使っているのだろうか? そこには目利きとして、どうしても譲れない想いや選ぶに至ったストーリーがそれぞれある。表面的な価格などに左右されず、選ぶべき人に選ばれた逸品。真に「安くていいもの」とは、彼らのように永きに渡り、これしかないと愛し、使い続けられるからこそ生み出されるのだ。ここに登場する逸品たちのように、ぜひ読者諸兄にも自分だけの偏愛的逸品を見つけてほしい。

GenreTraditional Crafts

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    金谷 勉

    Occupation :

    クリエイティブ・ディレクター

    1971年生まれ。デザイン会社「セメントプロデュースデザイン」代表取締役社長。全国各地の町工場や職人との協業プロジェクト「みんなの地域産業協業活動」では、500を超える工場や職人たちとの情報連携を推進。近著に『小さな企業が生き残る』(日経BP)。

職人たちに誂えてもらった
質実剛健で、一生付き合えるもの

身の回りにあるものを見渡してみると、いくつかの共通点があります。まずは質実剛健であること。それによって、一緒に長く生きてくれそうで、使い込むほどに経年変化するもの。これらが僕がモノ選びをするうえで気にしているポイントかもしれません。仕事柄、日本全国の町工場や職人の方たちと接する機会が多いので、お気に入りの愛用品となると、工芸品が多い。役得かもしれませんが、自分好みのものを誂えてもらうことも多いです。

シルバーの名刺入れは、東京都墨田区で錺(かざり)金具を作る職人・塩澤さんに誂えてもらったもの。名刺交換の時に塩澤さんがお持ちだった名刺ケースに一目惚れして、その場で自分のものもオーダーさせていただきました。鏨(たがね)と呼ばれる金属を打つ道具を使った技術で、手仕事とは思えない吉祥文様の細やかさと打ち込みの美しさに惚れ込みました。決め手は純銀製だったこと。2017年に購入してからずっと愛用していますが、いい感じに味が出てきました。

もうひとつ、最近購入した名刺ケースで気に入っているのが、丹波漆塗りのもの。今年の2月に開催された「Kyoto Crafts Exhibition “DIALOGUE”」という見本市で見つけたものなんですが、あまりの色気に衝動買いしてしまいました。日本で流通する漆の90%は中国産なのですが、これは京都では貴重な丹波漆を使っているんです。また、仕上げが一閑(いっかん)塗りという和紙と漆を合わせた技法なので、個体差のある表情に惹かれました。独特の和紙の風合いをベースに漆をトッピングした表情は、着物のときにもよく馴染んでくれます。

晩酌のお供として愛用しているのが、錫でできたぐい呑。埼玉県川口市にある錫製品の製造販売をやっている錫光(すずこう)さんに「誂えてほしい」とお願いする機会に出会い、2017年の夏に購入しました。錫を鋳造して、槌目(つちめ)を打ち込む手仕事にこだわる職人さんなのですが、無理を言って僕の大好きな迷彩柄をデザインしていただきました。打ち分けるのが大変難しいのですが、見事に再現され、その美しさに驚きました。

マネークリップは僕の店「コトモノミチ」でも扱っている錺之(かざりの)のものを、自分用に誂えてもらったものです。以前からマネークリップを使っていたのですが、気に入った素材に出会っていなかったので、経年変化する真鍮でオーダー。槌目の表情が美しく、1年使ったことで、擦れてきていい味になってきました。この先も使い込むのが楽しみですね。

  • No.50
  • Product Name :丹波漆塗り名刺ケースType: 名刺ケース
    Brand: やくの木と漆の館
    Price: 3万円
  • No.51
  • Product Name :純銀製名刺入れType: 名刺ケース
    Brand: かざり工房しおざわ
    Price: 10万円(オーダー価格)
  • No.52
  • Product Name :迷彩ぐい呑Type: 酒器
    Brand: 錫光
    Price: 9900円 ※正規品の場合
  • No.53
  • Product Name :錺之マネークリップType: マネークリップ
    Brand: KAZARINO
    Price: 9900円 ※正規品の場合
  • photo下城英悟(GREEN HOUSE)
  • design一ノ瀬基行(LO&MARM)