30周年を迎えた「FF」音楽をプレイバック。記念コンサート「Distant Worlds」にみる、ターニングポイントとなった3つの名曲

2017年12月に生誕30周年を迎えたファイナルファンタジー(FF)シリーズ。このアニバーサリーイヤーの祝祭として、オーケストラコンサート「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY JIRITSU/而立」が行われた。「Distant Worlds」は世界各国を回り約150公演を積み重ねてきたFFのコンサートで、こちらも2007年の初演から10年の節目でもある。

FF音楽の父こと、作曲家の植松伸夫さん(写真右から1番目)が開演時の挨拶に登場。「これは決して堅苦しいコンサートではありません!」と宣言したほか、コンサートタイトルの「而立」とは中国の思想家・孔子が人の30年をこう呼んだことから名づけたと説明。スペシャルゲストとして、イラストレーターの天野喜孝さん(写真右から2番目)、スクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋祐さん(写真右から3番目)も登壇。

このコンサートでは『ファイナルファンタジー』(第1作)から直近の『ファイナルファンタジーXV』まで膨大な楽曲からオールタイムベストと言える選曲で生演奏が行われた。FFのこれまでの30年をたっぷりと振り返った本公演の中でも、今回は25年来のFFファンである筆者が“歴史的ターニングポイント”と感じた3曲を選び、取り上げてみたいと思う。

コンサートのステージ上には巨大なスクリーンが用意され、演奏中の楽曲にまつわる各FF作品のシーンやムービーが常に流されていた。大迫力の演奏とともにこの映像を観ていると記憶が次々によみがえり、思い入れがある作品は涙なしに見られないほどだ。(写真は「Choosing Hope【FINAL FANTASY XV】」を歌う鈴木瑛美子さん)

その1 ビッグブリッヂの死闘 【FINAL FANTASY V】

『ファイナルファンタジーV オリジナル・サウンド・ヴァージョン』(音楽:植松伸夫)※CDは筆者私物

今回のコンサートで「プレリュード」に次いで真っ先に演奏された「ビッグブリッヂの死闘」。『ファイナルファンタジーV』(1992年発売)の名物キャラ・ギルガメッシュとの戦闘時に毎回流れるナンバーだ。こちらはFF音楽における“キャラの立ったバトル曲”の先駆け。『V』では通常のボスバトルテーマ=「バトル2」がオーケストラ編成で“危機”的なものを表現しているのに対し、「ビッグブリッヂの死闘」ではロックバンド編成で爽快感あふれるバトルが描かれ好対照に。特にオルガン速弾きのイントロは一発で印象に残るもので、いまだ聴くたびに滾るという人も少なくないだろう。FFのコンサートに行けばほぼ毎回演奏されていることから、数あるバトルテーマの中でも特別な存在として確立したことは間違いなく、FFの音楽史でも大きなトピックと言える。

その2 オペラ~マリアとドラクゥ 【FINAL FANTASY VI】

『ファイナルファンタジーVI オリジナル・サウンド・ヴァージョン』(音楽:植松伸夫)※CDは筆者私物

常にハード(ゲーム機)性能の限界と戦ってきたFFだが、そういう意味で事件だったのが『ファイナルファンタジーVI』(1994年発売)におけるオペラ劇場。人気女優・マリアとうりふたつだった女騎士のセリスが、マリアに変装してオペラに出演・歌唱するというエピソードだ。序曲から大団円まで作りこまれたオペラ楽曲(BGM)はただでさえ壮大だが、画面に歌詞を表示しながら、歌唱部分を“ウォ~~”“ハァ~~”といった、ソリストの音声らしい電子音で表現したところに当時かなりインパクトがあった。スーパーファミコン時代の本作ではまだ音声をそのまま再生することはできず、電子音の力技でオペラを表現したのだ。音声のサンプリングはまさに次作『ファイナルファンタジーVII』で実現している(ラストバトルテーマ「片翼の天使」の“セフィロス!”コーラスが有名)ことから、『VI』のオペラはその前兆となる印象的なできごとだった。

「Distant Worlds」コンサートでは、マリアやドラクゥの歌唱を本物のソリストが圧倒的歌唱力で再現した。

その3 オープニング~爆破ミッション 【FINAL FANTASY VII】

『ファイナルファンタジーVII オリジナル・サウンドトラック』(音楽:植松伸夫)※CDは筆者私物

映像と音楽の演出で泣かせるRPGであるFFを、まったく別の次元へと導いた『ファイナルファンタジーVII』(1997年発売)。美しいCGや映画のようなカメラワーク、そして場面場面に寄り添う音楽の効果もあり「超大作・FF」のイメージを世間に定着させる一作となった。今回のコンサートでも『VII』の楽曲がもっとも多く演奏されており、シリーズ中でも屈指の存在感を示している。本作の冒頭、ヒロイン・エアリスがたたずむスラム街の片隅から魔晄都市・ミッドガルの全景へとズームアウトする大迫力の映像、ドン!と入ってくる“FINAL FANTASY VII”のロゴ。さらにそのままBGMはメドレー形式で続き、プレイヤーが挑む最初のミッションへ……。このオープニングシーンは、FFの歴史10年目で迎えた革命的なターニングポイントだった。

2018年は“FFVII”縛りの吹奏楽コンサートが開催決定

このように、1曲ごとにプレイヤーたちが深く思い入れのある名曲の数々が演奏された「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY JIRITSU/而立」。『ファイナルファンタジーXI』以降、植松伸夫さん以外の作曲家が手がけた楽曲も網羅し、すばらしいコンサートとなった。

オールタイムベストを聴いたら、次はぜひ“各作品縛り”のコンサートが聴いてみたい……。そんなことを思っていたら、2018年開催予定の吹奏楽コンサート「BRA★BRA」(FINAL FANTASY BRASS de BRAVO)がなんと『ファイナルファンタジーVII』縛りのメニューになるとのこと。これは是が非でも行かなければ!


FINAL FANTASY 30th Anniversary
Distant Worlds: music from FINAL FANTASY JIRITSU/而立
2017年12月10日・東京公演(東京国際フォーラム ホールA)

指揮:Arnie Roth(アーニー・ロス)
オーケストラ:新日本フィルハーモニー交響楽団
ソリスト:鈴木瑛美子 / 太田悦世 / 渡邉具晃 / 押見春喜 / 郡正夫
コーラス:Tokyo Art Academy Singers

セットリスト
(第一部)
1.プレリュード 【FINAL FANTASY シリーズ】
2.ビッグブリッヂの死闘 【FINAL FANTASY V】
3.勝利のファンファーレ 【FINAL FANTASY シリーズ】
4.星降る峡谷 【FINAL FANTASY VII】
5.独りじゃない 【FINAL FANTASY IX】
6.The Oath 【FINAL FANTASY VIII】
7.剣の一閃 【FINAL FANTASY XII】
8.Heavensward 【FINAL FANTASY XIV】
9.ファングのテーマ 【FINAL FANTASY XIII】
10.Choosing Hope 【FINAL FANTASY XV】
ソリスト:鈴木瑛美子
11.Liberi Fatali 【FINAL FANTASY VIII】

(第二部)
12.オープニング~爆破ミッション 【FINAL FANTASY VII】
13.愛のテーマ 【FINAL FANTASY IV】
14.Sword Song バトルメドレー 【FINAL FANTASY XI】
15.APOCALYPSIS NOCTIS 【FINAL FANTASY XV】
16.ザナルカンドにて 【FINAL FANTASY X】
17.オペラ~マリアとドラクゥ 【FINAL FANTASY VI】
ソリスト:太田悦世 / 渡邉具晃 / 押見春喜 ナレーター:郡正夫
18.FFメインテーマ 【FINAL FANTASY シリーズ】

(アンコール)
19.エアリスのテーマ 【FINAL FANTASY VII】
20.片翼の天使 【FINAL FANTASY VII】

 

関連サイト

ファイナルファンタジー30周年記念ポータルサイト