伊藤嘉明が
本気の人にだけ伝える戦うヒント 
人生万事振り切るが価値! Returns

今月のヒント
英語力は
最低限で構わない!
中学英語は学んでいるので
あと大切なのは
積極的に学ぶ姿勢だけだ。

情報収集力に差がつく時代

 私はタイで生まれ育ち社会人の第一歩はタイでスタートした。職場はタイ人ばかりだったが、言語に不自由はないだろうと言葉のことは気にしていなかった。しかし、数日で啞然とすることになる。タイ語が通じないのだ。子どもの頃からタイ人とのコミュニケーションは大丈夫のはずなのだ。だが、仕事になるとまったく違った。ビジネス用語、経済用語が一切わからない。相当落ち込んだし、仕事に支障も出たため、自分のダメさ加減を呪った。その後焦って必死に勉強した経験がある。

最近は日本企業でも英語を公用語にする会社が出て来ているが、今後この状況は進みこそすれ、後退することはないだろう。日本企業と海外企業の提携はもちろん、買収なんて珍しくはない。いつのまにか上司が全員外国人になっていることさえある。現にそうなっているケースを探すのは難しくない。日本企業、特にメーカーはその売上の多くを海外に求めてきた。企業規模は小さくても、海外で認められている日本企業は多い。それにもかかわらず、日本では英語を苦手とする人が多い。グローバル企業でも英語ができない人がたくさんいるし、「関係する部署の人だけでいいでしょう」と考えている人もいる。

 しかし情報収集の点でも英語ができるかどうかの差は大きい。同じニュースでも海外とは捉え方が違ったり、海外の方が情報量が桁違いに多い。専門的な情報になると英語でしかニュースがないこともある。新型コロナウィルス関連の情報量の差が最近ではわかりやすいケースだろう。英語ができないだけで、情報収集力に大きな差がついてしまうのだ。

習うよりもどんどん使うこと

 コンビニで流暢な日本語を話す外国人店員たちはどうやって日本語を学んだのだろうか。大学で学んだかもしれないし、日本に来るために必死に勉強したかもしれない。案外多いのが、日本に来てから必死に実地で身につけたというケースだ。日本の大学には多くの留学生が来ているが、彼らは留学生専門寮よりも、日本人学生と共同の寮を好む傾向があるそうだ。現地の大学で学んだ日本語は、頑張っても日本の中学3年生の英語レベルに近いそうだ。それが寮に入って、日本人学生と話そうとしていく内に数ヵ月でペラペラになる。日本人留学生も日本人ばかりの寮に入るのではなく、現地の家庭にホームステイしたり、現地の人と同じ寮に入ると見違えるように英語が上達する。東南アジアを旅行してみるといい。屋台から「これヤスイヨー」「オニイサン、コレ、ミテッテ」と声をかけてくる。きっと、日本語の教材なんて持っていない。それでも必要だから覚えている。これは「姿勢」の問題だ。

最後は伝えようとする熱量だけ

 日本の中学校での英語教育は立派に、英語を話す基本が網羅されている。私は中学までタイにある日本人学校で学んでいた。そこから、高校はいきなりインターナショナルスクールに進学した。授業はすべて英語だ。かなり大変な思いはしたが、それでもなんとかなったのだから、日本の英語基礎教育のレベルの高さは世間で言われているほど低いとは思わない。

 私の大好きなバラエティ番組で、英語が苦手な出川哲朗さんが海外の都市で英語を操り様々なミッションに挑戦するという企画がある。出川さんがすごいのは最終的にミッションを成功させてしまうことだ。片言以下の英単語の羅列、それも発音が覚束ないので通じないことさえ多いのに、とにかく「通じないはずがない」という勢いでぶつかっていく。すると、いつのまにか、意図が通じ、目的が達成されているのだ。彼のそういう姿勢に元気をもらっている人もたくさんいるだろう。私もその一人だ。

 語学力は単語の数や発音のきれいさではなく、文法の正しさでもない。伝える熱量だということを教えてくれる。完璧な英語が身につくまで学ぶ必要はない。基本は中学生で済んでいる。あとは姿勢だけだ。語学力は伝えようとする熱量がすべてなのだ。


profile:伊藤嘉明
X-TANK CEO。世界のヘッドハンターが動向を注視するプロ経営者。著書『どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力』(東洋経済新報社/1620円)など。