ds Bland Research 
地域の技術をクリエイティブな発想で世に出すセメントプロデュースデザインの進め方  第一回


独自の技術を持つ全国の工場や職人、自治体と手を組み、新たな価値を生み出しているセメントプロデュースデザイン。日本のものづくりを変えようとするその手法に迫る。

なぜ熊本の精密板金加工メーカーがエレガントな焚き火台を生み出せたのか?

今年3月にクラウドファンディングサービス「Makuake」で目標金額の1186%もの支援を集めた焚き火台がある。この成功の裏には、セメントプロデュースデザインの尽力があった。

卓越した加工技術で
デザイン性とタフさを両立

 コンパクトながら焚き火から調理まで幅広く活用でき、耐久性も優れることで多くの支援を集めた「STENFLAME Bonfire Grill」。側面には繊細な模様が施され、見た目もエレガントという、今までにない焚き火台なのだが、開発したのは熊本にある丸山ステンレス工業という耳慣れない企業だ。それもそのはず、アウトドア用品の開発は今回が初めて。実はこのプロジェクトを成功に導いたのが、セメントプロデュースデザインだった。


丸山ステンレス工業は、ステンレスを中心に金属加工を手がけてきた企業。半導体や食品機械などの精密パーツの製造を長年続けてきたが、丸山良博社長がセメントプロデュースデザインの金谷勉さんに出会ったことで、新たなプロジェクトが動き出すこととなった。

「元々、部品加工以外の事業を開拓することで、企業としての可能性を伸ばし、社員に新たなモチベーションを与えたいと考えていました。そんな時に金谷さんの記事をビジネス誌で見かけて、一般向けの商品開発ができないかと相談を持ちかけたのです。当初は具体的なイメージはなく、ステーショナリーやワインクーラーなどの案も出ました。しかし、男性社員が多い企業なので、アウトドア関連なら自分たちが興味を持ちながら開発できるのでは、と提案してもらったのです」

 その後、検討を重ねて、技術的な強みを発揮でき、新規参入しやすい商品として焚き火台という方向性が固まったのが、2019年の春頃。そこから一気に開発を進めた。

「金属加工の経験は豊富なので、丈夫な焚き火台を作ることには自信を持っていました。しかし、試作品をセメントプロデュースデザインに見せると『大きすぎて重い。これでは売れない』という評価になりました。一般向けの商品を一から開発する難しさを、改めて実感したのです。デザイン面でも自分たちでは思い浮かばないアイデアをもらい、2019年末に何とか完成にこぎつけました」

  わずか8カ月ほどの開発期間だったが、試作を繰り返して、形状やサイズの検討を重ねた。

完成後も焚きテストなどを繰り返し、耐久性や焼き色を検証。

熟練職人による曲げ加工も、美しい形状と耐久性の両立には欠かせない技術だ。

 とはいえ初の商品ということで、どう評価されるか不安もあったという。しかし、ギフトショーでの展示で手応えを感じ、Makuakeで多くの支援を集めて自信を深めた。



側面には精密レーザー加工で熊本にちなんだリンドウ(上)、テマリ(中)、タケカゴ(下)をデザイン。これもセメントプロデュースデザインのアイデアで、外からの空気の取り入れにも役立つ。

「金谷さんは幅広い業界に精通していて、人脈も広い。開発を進める中でさまざまな角度からアドバイスをもらい、自分たちの技術を生かす方法が見えてきました。社員のモチベーションも高まっています。この経験を糧に、また新たな商品開発に挑みたいですね」

丸山ステンレス工業 代表取締役
丸山良博さん
丸山ステンレス工業
住所:熊本県山鹿市鹿本町来民1017-2
TEL:0968-46-3234


STENFLAME
Bonfire Grill
価格:2万9700円


本体が185×164×214㎜という小型サイズながら、焚き火や調理、照明など、多彩な用途に活用できる。持ち運びや吊り下げに使える取手が付属。Makuakeに加えて、オンラインショップ「コトモノミチ」でも販売している。

(左)天面プレートの安全に着脱するためのハンドルも付属。(右)脚部の取り付けはボルト式なので、高さも細かく調節できる。


第二回へ続く