好きなことを仕事にしてキャリアにつなげる。サイボウズ青野氏が語る「人生を豊かにする働き方」【ダブルワーク活用術】

【2018年は副業で稼ぐ 月収5万円UP!ダブルワーク活用術】

盛り上がりを見せる「働き方改革」や「副業」というキーワード。ビジネスパーソンのライフスタイルが変化を遂げつつある中、この波に乗り遅れるわけにはいかない。そんな人に、副業で稼ぐだけでなく、スキルアップの手段も身につく方法をご紹介!

先端IT企業が考える副業への取り組み【CASE 2 cybozu】
自分で自分の生き方を選ぶこと

キャリアアップの楽しさを主体的に作る

他社に先駆けて「副業OK」を打ち出してきたサイボウズでは、多くの社員がさまざまなジャンルの副業を行っている。いよいよ副業時代が本格化してきた今、社員に何が求められるのか。青野慶久社長に話を聞いた。

【PROFILE】
青野 慶久氏:サイボウズ 代表取締役社
1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現パナソニック)を経て、 1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年4月代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を推進し離職率を6分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。
【DATA】
会社の従業員数:約500人 会社の主な事業:Webのグループウェア事業など
副業解禁の時期:2012年

自分のやりたいことをはっきりと理解できるか

2017年にはソフトバンクなど有名企業が続々と社員の副業解禁を打ち出し、大きなニュースとなった。2012年からいち早く社員の副業を解禁し、この点では先駆者とも言えるサイボウズの青野慶久社長は、この動きを「当然の流れ」と見る。

「社会が副業を徐々に受け入れつつありますよね。若者が減っているので、彼らに人気の会社を作らないと入ってきてくれない。『ウチは副業できますよ』というのは、若者に魅力のある施策になります。逆にやらないところはどんどん魅力を失っていきますよね。一流企業の経営者の方々とお話させていただくと、価値観の違いから『いかがなものか』とおっしゃる方も確かにいますが、解禁した方がいいと気付いていらっしゃる方も増えてきています。この流れが広がるのは止められないでしょうね。逆にやらない会社は消えていくことになると思います」

社内のリソースを使わない限りは申請すら必要ないという同社では実際に多くの社員が副業を行っているが、社を挙げて副業を奨励しているのだろうか?

「決して『副業をやりなさい』と言っているわけではないんです。キャリアアップのために他社で経験を積みたいという人はどんどんやればいいし、『副業せず、サイボウズ一社に徹底的にコミットしたい』という道を選ぶ人はそれでいいと思います。
一番大事なのは、自分で自分の生き方を選ぶということ。中学、高校、大学と進んで、その先は就職するのが当たり前、就職したら長く働くのが当たり前、という流れでずっと来ていて、『自分の生き方』をあんまり考えたことがない、考えるのが大変という人が多いんですよね。そうではなくて、自分はどう生きたいのかをしっかり考えることだと思います」

オープンスペースのオフィスから、自由な社風が感じ取れる。フリーアドレスの導入など、さまざまな働き方に対する意識はとても強い

資格だけでなく好きなことを仕事としてキャリアに繋げる

では、自分の生き方を考える手順として、まず何が必要なのだろうか。「資格取得」などを思い浮かべる人も多いだろうが、大事なのはそこではないと、青野社長は言う。

「今は、お金を稼ぐ手段はいっぱいあるんですよ。ウチの社員でも、クラウドソーシングで仕事を取ってくる人もいれば、友達の会社を手伝うという例もよくあります。生き方、稼ぎ方が複線化しているんですね。資格を取るのもいいと思いますが、他にも方法はたくさんあります。それを自分で調べて、好きな道を選ぶ感覚が大事だと思います。『自分が何をやりたいのか』という問いに答えられることが大きな要素ですね」

多様性を持った社員たちのシナジーこそが重要である

サイボウズ社員の副業は実にさまざまなジャンルに及んでいる。その実例を紹介した時には、青野社長の表情も心なしか弾んだ。

「本当にいろいろいますね。入社1年目からWebでのライティングで稼いでいる女性もいれば、知り合いのレストランを手伝っているうちに会社を辞めて奥さんとレストランを立ち上げてしまった社員もいます。これは副業が本業になった例ですね。親の商売を手伝っている人なんかもいます。
私が最近注目しているのは、ある営業社員です。彼は学生時代にあるスポーツで実績を挙げていて、ユーチューブでチャンネルを作って技術解説動画をアップしているんですよ。その動画には選手時代のツテで、現在のトップ選手なども出演したりしています。上達したい中高生がよく見ていて、チャンネル登録数は数千人、各動画の再生回数は何万件にも及びます。固定ファンがついているんですね。この規模がもっと大きくなれば、彼はユーチューバーで食べていけますよ。ユーチューバーの社員がいてもいいと思っているんです。これなんかは別に、資格はいらないですからね(笑)」

サイボウズでの副業の“キモ”は情報共有だと青野社長は強調する。副業の情報を共有することで、社内のシナジーはどんどん広がっていくからだ。

2018年はどんな年になる?
「副業解禁の流れは徐々に顕著になってきていますが、まだまだ緩やかだと思います。名の通った一流企業が解禁に踏み切ってニュースになれば、日本社会全体にその流れが一気に拡大していくと思いますね」

「ユーチューバーの社員がいても面白いと思っているんです」

「先のユーチューバーの件にしても、弊社に今まで全くなかったそのスポーツについての人脈が彼を起点にして間違いなく広がっています。副業が弊社の業績にどう影響しているかを正確に数値化するのは難しいですが、例えば農業を副業にするメンバーが出てきたことで、私たちのソフトが農業方面に売れるようになりました。副業でできた人脈でソフトの販路が広がっていて、少なくともプラスの影響は感じています。社員の側でも、副業からサイボウズのビジネスにフィードバックしたいという意識を持っている人が多いようです」

ユーチューバーのようないかにも“今どき”のやり方もあれば、接客業のように昔ながらの副業もある。アナログな方向からつながる人脈も、企業にとってはまた貴重だ。

最後に、副業を考える人にとって重要なことは何か、改めて青野社長に答えてもらった。

「副業が持てはやされる時代にあって、何となく『周りもやってるから自分も副業しなきゃ』ではダメだと思います。それをやることによって、その人の人生が豊かになること。『ああ、これをやってよかったなあ』と言えることが大前提です」

やりたいことを主体的に選ぶ。これを第一に考えれば、自分に合った副業ライフも見えてくるに違いない。

サイボウズが求める人材・働き方のポイントとは!?

1.仕事量に見合った給与を
サイボウズでは、本業が80%、副業が20%ならば、給与も80%になるという給与体系を取っている。その副業から本業へフィードバックしてビジネスが広がれば、最終的には社員本人の利益もアップするわけだ。

2.資格にはこだわらない
資格取得が前提の副業もあれば、まったく必要ない仕事もある。「まず資格ありき」で考えるのではなく、「自分がやりたいことは何か」を第一に考える。その上で必要なら勉強して取得するのもアリだ。

3.自分の目的を見定める
例えば「毎月の収入をあと5万円増やしたい」という人でも、本気でそれを思っているかどうか。「みんなやっているから」ではなく、「自分は何のために副業するのか」をしっかりと見定めることが一番大事。

4.タイムマネジメントの向上
本業のタイムマネジメントがずさんな人間には、その上で副業などとてもこなせない。副業の予定が入ることで本業への時間意識が自然と緻密なものになり、結果タイムマネジメントを向上できれば理想的だ。

5.イノベーションの促進
副業で得た人脈を本業にフィードバックし、結果的に会社の業務を拡大できれば、副業の効果はさらにアップする。そのために副業についての情報を社内で共有し、活用しやすいように意識しておくことが必要。

『デジモノステーション』2018年2月号より抜粋。