ベトナム戦争を軸に多彩なストーリーが込められた「ナイジェル・ケーボン × TIMEX」のコラボウォッチ

ナイジェル・ケーボンは、ヴィンテージウェアのコレクターとしても有名なファッションデザイナー。4000点を超える貴重なコレクションは、アイデアの土台となり、自身が創出するプロダクトのデザインに反映されている。

彼は1970年にファッションブランド「CRICKET(クリケット)」を立ち上げたのち、1984年に自身の名を冠した「Nigel Cabourn(ナイジェル・ケーボン)」へとブランド名を変更した。

そんなナイジェル・ケーボンが、時計メーカー「TIMEX(タイメックス)」とコラボした腕時計『NAM WATCH(ナムウォッチ)』(税込2万4840円)を2018年2月下旬にリリースする。

デザインソースとなったのは、ナイジェル・ケーボンの2018年春夏コレクションのテーマである「ベトナム戦争」だ。これは自身がデザインを始めた50年前、時を同じくしてベトナム戦争が起こっていたことに由来する。

ベースとなっている時計は、TIMEXの定番モデル『Camper(キャンパー)』。これは、もともと戦地で修理や電池交換を必要としないディスポーザブルウォッチ(使い捨て時計)として、ベトナム戦争にてアメリカ軍が使用していた手巻きの腕時計。のちにキャンパーという名称で一般向けに販売され、現在まで続くベストセラーとなった。

『NAM WATCH』で特筆すべきなのがストラップで、ベンタイルとディストレスレザー(ヴィンテージ加工を施した牛皮革)の2種類が付いている。

ベンタイルは、もともと英国空軍の兵士のために「耐水服」として誕生した経緯をもつコットン素材。イギリスは日本と同じく海に囲まれた国であるため、空軍が迎撃された際に兵士が海に落ち、冷たい海流にさらされて命を落としてしまうことが大きな問題だったのだ。

当時は技術的に素材を防水加工することができなかったため、撥水するほどに目を詰めたコットン素材のベンタイルを開発し、耐水服として英国空軍に使用されてきたというわけ。

通常のカジュアルなキャンパーも、ストラップをディストレスレザーに変えることで上品に、そしてベンタイルに変えることで男らしい印象へと仕上がった。

さらに、本体だけでなく「WHATEVER HAPPENED TO SEAN FLYNN?」の文字がプリントされた、付属のキャンバスバッグにも注目したい。

SEAN FLYNN(ショーン・フリン)とは、1930~1940年代のハリウッド黄金期に、映画『ロビンフッドの冒険』(1938年)などで活躍した俳優エロール・フリン、の息子のこと。ショーンも同じく俳優として活躍していたが、その後キャリアを大きく変更し、戦争ジャーナリストとしてベトナム戦争へ向かった。

しかし終戦直前にしてショーンは行方不明となり、家族や友人が「WHATEVER HAPPENED TO SEAN FLYNN?」と刻印されたマッチ箱を空からバラまいて、ショーンを探したのだ。

今回のコレクションのメインモチーフのひとつとしてショーンに焦点を当てていることもあり、皮肉にもアイコニックとなってしまった当時のマッチ箱のデザインを、キャンバスバッグに印刷することにしたのだとか。

一本の腕時計にこれだけのストーリーが詰まっている『NAM WATCH』。これまで長い間、ヴィンテージの持つ歴史と向き合ってきたナイジェル・ケーボンならではの“語れる”腕時計と言えるだろう。

関連サイト

Nigel Cabourn × TIMEX『NAM WATCH』(Nigel Cabourn)