ゆるい会話とのんびりな歩行に和む♪『1/8 タチコマ』と“9課”な毎日。Cerevo 岩佐琢磨代表に聞く

【最高のおもちゃ遊び】

年末年始の時期は家族や友人と過ごす時間が多くなるもの。そんなシーンを盛り上げてくれるのが、スマートトイやラジコンだ。出掛けた先の野外、水辺、大空で、思いっきり操縦しようか。はたまた温かい部屋にこもってロボットと触れ合うか……。考えるだけでも楽しくなる“おもちゃ”を、本特集では紹介。それぞれの楽しむポイントを押さえながらこの冬を遊び尽くそう!

賢すぎないのが逆にいい。タチコマとの生活の楽しみとは?

アニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』に登場するAI搭載型の多脚戦車タチコマが、1/8スケールのトイとして発売中だ。家族の一員として迎え入れるとどんな楽しい暮らしが待っているのか、同商品を手掛けるCerevoの岩佐琢磨代表に聞く。


Cerevo
1/8 タチコマ
実勢価格:17万円~

正面の“アイボール”にカメラを内蔵し、人や物を認識する。別売りの5GHz帯対応の無線LANアダプターでネット接続がスムーズに。口のようなグレネードランチャーは劇中同様にカバーを着脱可能だ。バンパー部などをアルミ削り出し部品にしたSPECIAL EDITIONもある。

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』は、通称“攻殻機動隊”といわれる独立部隊・公安9課が、さまざまな犯罪に立ち向かう。少数精鋭の集団でサポート役を務めるのが、多脚戦車タチコマだ。印象的なのは、声優の玉川砂記子さんによる可愛らしい声。タチコマを慕う公安9課のバトーとのやりとりはもちろん、タチコマ同士の会話が実に微笑ましい。

そんなマスコット的なタチコマを1/8スケールのトイとして開発したのが、ユニークな家電やガジェットを次々に製品化しているCerevoだ。特徴のひとつに挙げられるのが、コミュニケーション機能。あえて“賢くない”ところがポイントだと、同社の岩佐琢磨代表は話す。

「アホっぽくて愛嬌があるのが、この“タチコマちゃん”のいいところ(苦笑)。ユーザーが購入した“タチコマちゃん”同士がインターネット経由で情報をシェアできる“並列化”という機能もありますが、実は賢くしようとは考えてなくて……。むしろ情報が絡まって変な風になるんじゃないかと。それは、あくまでも玩具だから許されることであって、非常に高度な“おもちゃ”の位置付けからは飛び越えたくないんです」

実際に話し掛けると的を得ていない回答を返すことも多い。しかし、その方がむしろ“いじり甲斐”があって、いかにもタチコマらしい。噛み合うようで噛み合わない和やかな会話を楽しめるのは、劇中同様に玉川さんの声が当てられているのも大きいと、岩佐代表は話を続ける。

「『はーい、タチコマです。お呼びでしょうか?』といった600種類以上の撮り下ろしボイスを収録しました。そのほかの合成音声も、玉川さんの声をベースに作られます。それは今までにタチコマの商品にはなかった試み。すべてが劇中同様の声なのは、やっぱり“胸熱”ですね」

音声だけでなく、動きについてもタチコマの再現を追求。スマホの専用アプリと接続すれば足元の車輪で走行するのはもちろん、各脚部を上げて歩けるようになっている。

「歩くのを実現するのは、本当に大変でしたね……。当初から検討はしていましたが、開発途中で何度も無理だと思うくらい難しくて。だから、広報的には発売間際まで『動く』としか表現しなかったんです」

しかし、現場の開発メンバーたちはもちろん経営陣の“歩かせたい”という強い思いから、発売ギリギリまで試行錯誤を繰り返したとか。実現の目処が立ったのは最終出荷の1カ月半前だったと、岩佐代表は振り返る。

「歩き終わった際に『よっこいしょ』と、姿勢を一瞬戻すロジックを入れたことが“決め手”です。それまでは止まった時の各脚部の状態がバラバラで、そこから再び次の動作に移ろうとすると、モーターが焼損してしまったり、バッテリーに不具合が出たりすることもありました。

“戻る動作”ですべての足の位置がニュートラルに戻ることでクリアできたんです。『歩くのがビックリしました』と皆さんから言われるたびに、頑張った甲斐があったと思いますね」

約1.5kg(通常版)の重さによって、4本の脚を歩かせた際にはドシッドシッという迫力ある音がする。いかにもタチコマらしい音と動きは、作品のファンならばニヤけずにはいられないだろう。

会話機能から歩行アクションまで徹底再現した『1/8 タチコマ』と一緒に暮らすなら、意外にも玄関に置くのがお勧めだとか。

「リビングで電源を入れっぱなしにしてて、何かの拍子に『タチコマ』という声を認識してしまうと突然話し掛けてくることもあって(苦笑)。だから玄関に置いて、例えば外出前に『今日の天気は?』と聞いてみたり、帰宅した際には『ただいま』と声を掛けて反応を楽しんでもらったり、みたいな。それと、一緒に過ごせる時には、できるだけたくさん動かして触れ合って欲しいですね。きっと“タチコマちゃん”に対する愛情が深くなると思いますよ。公安9課のバトーさんのようにね」

Cerevo代表取締役 岩佐琢磨さん
1978年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)でネット接続型家電の商品企画に従事。2007年にネットと家電で生活を豊かにするCerevoを立ち上げる。整備中に“赤服”と会話しているところが、タチコマの好きなシーンなのだとか。

(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会

 

『デジモノステーション』2018年2月号より抜粋。