全米で最も成功したすし職人が炉端焼き屋をオープン。NYで飲む30ドルのビールの味は?

#03

TETSU
炉端焼き


アメリカ/ニューヨーク
住所:78 Leonard Street, New York, NY 10013
電話:+1 212-207-2370
営業時間:[Monday–Saturday]5:00pm–11:00pm

全米で最も成功したすし職人・高山雅氏が手がける炉端焼き店で、最新のNYグルメ体験

NYを訪れると、必ず1日は美術館やギャラリーを回る日を作るようにしている。いくつかの美術館ではすぐ入れるよう、すでに会員になっているので、大規模な展示はあらかじめ分かっているが、現地の友人知人に話題の展示を聞いたりしてスケジュールを組む。渡航前の最も楽しい時間だ。

今回のNY滞在中、ちょうどアイ・ウェイウェイのプロジェクトが展開されていた。

※☆1 艾 未未(がい みみ、アイ・ウェイウェイ、1957年5月18日~)は、中国の現代美術家・キュレーター・建築家・文化評論家・社会評論家。

パブリック・アート基金設立40周年記念でもあるプロジェクト「Good Fences Make Good Neighbors」。詩人ロバート・フロストの詩の一部を引用した、いわば「親しき仲にも礼儀あり」といった意味のタイトル。

市内各所で文字通りフェンスを使った大型のインスタレーションが展開されているが、先の横浜ビエンナーレ同様、難民問題にフォーカスした内容。圧巻なのはワシントン・スクエアの凱旋門に設置された作品だろう。このインスタ映え最高のスポットを多くの人が訪れていた。セントラルパークの作品の中では、ストリートパフォーマーが勝手に自身のビジネスを展開する(笑)など、なんにしても話題沸騰といったところだろうか。

最近NYではアイ・ウェイウェイの作品をよく目にする。北京オリンピックのメインスタジアムを手掛けながら、後に当局に拘束され、パスポートを剥奪される。現在も中国政府の監視下にあるが、政府批判を止めようとはしない。他に類を見ない中国人アーティスト。

以前にも、日本では青山プラダの建築などで知られるヘルツォーク&ド・ムーロン(まさに北京オリンピックのユニットだ)とともに、監視社会に対する問題定義を意図するインスタレーションをNYで行なっていた。これも実際行ってみたが、楽しいアート風味のデジタルアミューズメントのふりをして、最後にあっと驚くオチがある。

実際に体験でき、そして一貫して分かりやすいアートというのが、最近の彼のプロジェクトの特徴だろうか。純粋な(という表現が適切かわからないけど)芸術家というより、反体制のトリックスター、そしてとても分かりやすい存在感ということのように感じる。

さて、アート・シーンも見逃せないNYだが、最も影響力のあるギャラリーと言えばガゴシアンだろうか。そのオーナーたるスーパーギャラリストは顧客や友人たちを持て成すためか、全米で最も成功したすし職人の1人である高山雅氏と最高級日本食店『Kappo Masa』を経営している。酒まで存分に楽しむと一人1000ドルを優に超え、“NYで最も高い和食”とも言われるが、逆にその話題性のため人気だとか。

一方、ガゴシアンと手を組んだ高山雅氏が次に仕掛けたのが、リーズナブルな炉端焼き店『TETSU』。オープンした数日後に雅氏と交友のある知人らに連れられて訪れた。

リーズナブルとは言え、元々は10万円の食事を供するレストランの系列。オリオンビールの大瓶は30ドル超えで、シャンパンクーラーに入れられる。サーブの仕方もまるでシャンパン。

確かにメニューは一見すると炉端焼き居酒屋のそれだし、実際供される料理も至極真っ当。串焼き旨し。

パスタに見えるものは魚の練り物を麺状にした魚素麺。これもまた美味しい。会計が非常に怖いところだったが、ここがNYであると思うと決して法外な値段ではなかった。もちろん安くはないけれど、NY体験と思えばむしろ妥当か。ちなみに店名は内装に使われている鉄に由来しているそう。

梶原由景(かじわらよしかげ):幅広い業界にクライアントを持つクリエイティブ・コンサルティングファームLOWERCASE代表。デジタルメディア『Ring of Colour』などでオリジナルな情報を発信中。

『デジモノステーション』2018年3月号より抜粋。