中国メーカーXPXが考案、世界初の自作スマホ!その微妙な出来映えは……?

今月のヘンタイ端末はこれだ!


XPX
LIFE
販売価格(当時):約1万5000円

自分で組み立てる世界初の自作スマホ! ただ、スペックが低くて売り出しできず……

買ったころは最新モデルだった自分のスマホも、1〜2年と使い続けていくうちに、速度の遅さを感じたり、なんとなく古めかしくなって、不満だらけになってしまうだろう。しかも、周りの友人たちが新機種に買い替えていればなおさらだ。とはいえ、価格の高いスマホの買い替えはそう簡単ではない。

グーグルが2014年に発案した『Project Ara』はそんな悩みを解決できるはずだった……。カメラやCPU、通信モデムなどをブロック化し、スマホ本体に自由につけたり交換することで、自分の求めるスペックのスマホを組み立てることができるのだ。

つまり、古くなったスマホも新しいパーツに入れ替えれば、いつでも最新モデルになるのである。だが、耐久性や精度、コストなどに問題があり、このプロジェクトは中止を余儀なくされた。

時を同じくして、似たようなコンセプト品を中国メーカーのXPXが考え出した。『LIFE7』と名付けられた7型タブレットは、グーグル同様に、各部品をモジュール化した製品だが、結局これも世に登場せず消え去った。

しかし、XPXはタブレットの製品化の前に、組み立て式スマホ『LIFE』をテスト販売したのだ。どんなにすごいものだろうかと期待したものの、現物を見るとその気持ちは一瞬で萎えてしまった。

『Project Ara』や『LIFE7』はブロックを組み合わせるような美しいCGイメージが公表されていた。それに対し、この自作スマホは中国・深センのパーツ屋で売っている部品そのものが提供されているようなものだった。

パーツは「ディスプレイ」「マザーボード」「カメラモジュール」「ボディー」の4つの構成。ボディー以外はかろうじてプラスチックの容器に入っているためそれっぽく見えるが、ボディーの側面と背面カバーはビニール袋に入った状態だ。

しかも組み立てるにはドライバーを使って、ねじ十数本を留める必要がある。それぞれのモジュールをブロックのように組み合わせてスマホを作る、なんてスマートなことはできないのだ。完成しているスマホを分解して、それをパーツに分けて販売しているというのがこの組み立て式スマホの正体なのである。

また、CPUの性能が低くわざわざ自作するメリットも少なかった。いずれ高速なCPUも提供されたのかもしれないが、そうなるとボディーの安っぽさも気になってくる。当然価格は5万円などそれなりのものになるだろうが、そこまで出すなら消費者は大手メーカーのまともな製品を買う。この自作スマホは中途半端な製品だったのだ。

XPXは相手先ブランドでスマホを製造するOEMも行っており、“脱下請け”を目指し、自社ブランドスマホやタブレットを販売したかったのだろう。大手メーカーに真正面から戦いを挑んだところで負け戦になるのは確実だ。そこで組み立て式の自作スマホを発案したが、モジュール化するほどの開発能力は無く、結局は半完成品を客に渡して組み立ててもらうレベルの製品にしかできなかった。

筆者はアメリカの展示会で購入したが、粗削りな製品とは言え目の前でスマホが完成する姿にワクワクした。再びどこかのメーカーから自作スマホキットが登場することを期待したい。

山根康宏(やまねやすひろ):香港在住のジャーナリスト。世界の携帯電話事情を追い求め、1年の約半分を海外で過ごす。携帯電話1500台、SIMカード500枚以上を所有するコレクターでもある。

『デジモノステーション』2018年3月号より抜粋。