トラベルプロデューサー・堀真菜実の
本当は教えたくない魅惑のニッポン秘境ガイド

「旅するホテル」で、千葉の隠れた絶景巡り

部屋からの眺望を売りにする宿は数多い。オーシャンビューもシティビューも魅力的だが、もし窓の外の景色を自在に選べるホテルがあったとしたらどうだろう。いいね、と立ち止まった絶景が、その日のホテルになるとしたら。

旅するホテル、その名も「トラベリングホテル」というキャンピングカーで、都心から車で2時間、千葉県南房総を旅した。

トラベリングホテルとは?

キャンピングカーと呼ばず、あえて移動型ホテルと定義する「トラベリングホテル」。その特徴は大きく3つだ。まずはデザイン。薄いブルーとクリーム色の外観は、目を引く一方で、自然の中では景色を邪魔しない絶妙な色合いだ。内装は、木の香りと手作り感が温かい。続いて足を踏み入れると、その広さに驚く。とにかく広い。中型バスほどの車体は、3ブロックに分かれる。運転席と助手席のある最前列、中央の4人がけのテーブル席、最後部にはベッドにもなる6人がけソファ。さらに高さは、男性が立っても十分に余裕がある。最後に、居住性。エントランスで靴を脱ぎ、ソファでコーヒーを飲む。もはや家だ。機能としては、冷蔵庫やシンクを完備し、後部座席には大型モニター。収納スペースも抜群で、長期旅行にも対応する。

秘密基地のような高揚感と自宅のソファに腰掛けたようなホーム感を感じながら旅がスタートする。

南房総の隠れた絶景

南房総エリアは、車旅におすすめな理由が揃う。観光施設が充実しているだけでなく、ドライブ中の見晴らしがよく、道の駅など休憩スポットも多い。今回巡った絶景は以下の通り。すべてのスポットをご存知の方はかなりの南房総ツウだ。

富津岬

都心に最も近い岬。五葉松をかたどった大きな展望台が目印だ。

燈籠坂大師の切通しトンネル

人の手で掘り下げられて出来たトンネル。むき出しの地層が大迫力。

原岡桟橋

海へ続く桟橋。晴れていれば海越しに富士山の眺望が素晴らしい。

沖ノ島公園

透明度の高い海に囲まれた、直径1kmほどの陸続きの無人島。(2020年8月現在は閉鎖)

大山千枚田

都心から一番近い棚田の田園風景。地産米を食べられるレストランも。

濃溝の滝

洞窟から差す光がハートを形作ることで話題となり、千葉の絶景の代名詞に。(2016年撮影)

#VANLIFE を体験してみる

この旅は「旅するように暮らす」という表現がしっくりくる。

天気が悪ければ、車内でテレビゲームや読書をして雨上がりを待つ。お腹が空いたら行く道で調達し、車内のテーブルを囲む。仕事の連絡があればPCを広げてオンライン会議。車窓に飛び込んでくる名もなき絶景に車を停める。

来たからにはやりつくさねば、と息巻くことも、せっかくならば人気レストランへ、と執着することもなかったのは、いつもは移動手段である車が、滞在という目的をも果たしていたから違いない。

「バンライフ」という言葉が、海外では既に浸透している。車を拠点とする移動式の生活のことだ。日本でも、「どこにいても働ける」ライフスタイルへの憧れから、注目されつつある。

今回はその生活を覗き見た気がする。お気に入りの景色が、今日のオフィスになり、リビングになり、ベッドになる。「旅」と「暮らす」の境界が曖昧な過ごし方を体験してみてはいかがだろう。

宿泊したい人はこちら :

トラベリングホテル


text : 堀真菜実
新しい旅を作るトラベルプロデューサー。弾丸世界一周、廃校キャンプなど手掛けるツアーは即日満席。観光局・自治体へのコンサルティングやメディア出演で活躍中。