トラベルプロデューサー・堀真菜実の
本当は教えたくない魅惑のニッポン秘境ガイド

自然溢れるみなかみ町。

日本一の地底駅と廃校キャンプで童心に帰る。

群馬県利根郡みなかみ町。山々に囲まれ、緑と水が豊かなこの町には、アウトドア体験や温泉を目的に、毎年多くの観光客が訪れる。今回は、毎年みなかみ町を訪れている筆者より、子ども時代の思い出がよみがえる2つのスポットを紹介したい。どちらも、歴史がありながら今なお進化を続けている場所だ。

「日本一のもぐら駅」土合(どあい)駅

JR上越線の土合駅は、新潟県との県境近くにあり、またの名を「日本一のもぐら駅」という。名前の由来は、駅舎よりはるか地下にある「下りホーム」の存在だ。電車から下りホームに降り立つと、そこから地上の改札までは、階段で486段。時間にすると10分はかかる。実は今、この気が遠くなりそうな道のりが「まるでダンジョン!」と噂を呼び、鉄道ファンの間で話題となっている。うす暗い地下道、終わりの見えない階段、外気との気温差。それらが作る雰囲気が、かつてのめり込んだテレビゲームの世界を彷彿とさせ、訪れる大人を虜にするのだ。

JR上越線の乗車客には、この光景を目当てに、わざわざ土合駅で途中下車をする人もいる。ただし、侮ってはいけない。ホームから改札までを往復すると、およそ1000段の階段を上り下りすることになる。覚悟を決めて冒険に出てほしい。

土合駅の昔といま

土合駅はなぜこのような作りになったのか?

もともと単線だった上越線は、乗車客の増加に伴って、1967年、複線となった。そのとき、地上のホームとは別に地下トンネル内に増設されたのが、現在の下りホームだそうだ。登山客などでにぎわいを見せた土合駅であったが、のちの新幹線や高速道路の開通にともなって徐々に客足が減り、現在では、駅員のいない無人駅となっている。

そんな無人駅の駅舎内に、2020年、カフェ「mogura」が誕生した。駅務室だったスペースをそのまま生かしていて、たとえば当時の切符売り場をカウンターとして使うことができる。さらに同年中には、グランピング施設がオープン予定。「もぐら駅」は、次なる観光スポットとして進化中だ。

「泊まれる学校」さる小

「さる小」は、2008年に廃校となった猿ヶ京小学校が、2012年に「泊まれる学校」として生まれ変わった宿泊施設だ。ぬくもりのある木造校舎に、広いグラウンド。これらすべてを、1日1団体限定で、貸し切り利用できる。黒板、らくがきが残る机、校内放送、給食と、懐かしさのオンパレードに、大人こそはしゃがずにはいられない。昼はプールに運動会、夜はきも試しにキャンプファイヤーと、さる小でできることは幅広い。そのうえ、バーベキューテラス、ピザ窯、テントサウナなど、毎年、遊び心のある設備が増えていくので、リピーターの筆者でも、常にやりたいことが尽きない。

かつて登山客が列をなしていた土合駅は、無人駅となった今「もぐら駅」として、また、かつて学びの場であったさる小は、廃校となった今「泊まれる学校」として、いずれも、形を変えながら、愛され続けている。来年はみなかみ町にどんな変化が見られるだろうか、楽しみだ。

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泊まれる学校 さる小

※抽選受付期間に宿泊予約をしたなかから、当選した方が利用できます。


text : 堀真菜実
新しい旅を作るトラベルプロデューサー。弾丸世界一周、廃校キャンプなど手掛けるツアーは即日満席。観光局・自治体へのコンサルティングやメディア出演で活躍中。