梶原由景が歩いて出会った 美味しいお店
梶原メシ I eat, therefore I am

東京にいても無性に

食べたくなる福岡うどん

自宅から車で1時間掛けてでも

行きたくなる福岡の味だ

福岡が食において魅力的な街であることは本連載でも度々述べてきた。テレビ番組でも頻繁に特集が組まれるし、SNS上では東京でも福岡の味を楽しむことのできる店の情報交換が盛んだ。

今も僕は年数回は福岡を訪れる。特に家族と一緒の場合は連載第30回で紹介した「やきとり小森田」に行き、正統派の福岡焼き鳥を存分に堪能する。焼き鳥屋は福岡においては最強のファミレスなのだ。その後妻と子供をタクシーに乗せホテルへ送って、これまた本連載第47回で取り上げた「とりあん六本松店」に一人で向かう。福岡で中津唐揚げを味わうことが目的ではない。店主はかつて日本一との評価もあった立ち飲み屋を営んでいた。そこで我々に供していた絶品の焼酎の数々を今は唐揚げをアテに味わえる。「栗東」などのレアな焼酎を数杯。すっかり酩酊。となると、やはりシメが欲しくなる。

福岡のシメと言えばラーメン。そして福岡でラーメンといえばとんこつラーメンだが、やはり代表選手は「元祖長浜屋」。今では経営者の異なる同種の店が他にも2店舗あり、一部マニアの間ではその成り立ちや味の違いなどが研究対象となっているものの、やはり本家の「元祖長浜屋」に足が向く。ラーメンしかないので、入店してテーブルに着くと数十秒後には着丼する。有無を言わせずラーメンが出てくるので、いわゆる「カタメン」とか「バリカタ」「ハリガネ」など福岡ラーメンの魅力の一つである麺の茹で加減のリクエストをする隙がないとさえ言われていたが、実際はちゃんと聞いてくれるので好みの状態にラーメンを仕上げてもらうことが可能だ。僕は麺固めで脂多めの「ベタカタ」が好み。そう、長浜ラーメンは多くの福岡発祥の豚骨ラーメンとは異なりデフォルトの味は意外にあっさりしているのである。

しかし最近は「ウエスト」に行くことが多い。福岡では知らない人がいない、うどんをメインにしたファミレス。最近はうどん居酒屋と言ってもいい展開。他にもうどんの名店は数多くあるけど、最近はここが良い。実際麺も出汁もちゃんと旨い。そう、実は福岡県民はラーメンよりうどんを日常的に食す。あの柔らかい麺とあじこ、いりこの出汁のスープ。トッピングはもちろんごぼう天。これぞザ・福岡のうどん。

東京にいても無性に食べたくなる福岡うどんだ。最近は連載第16回に登場した「二◯加屋長介」など楽しむ機会も増えてきたものの、ウエストのうどんが食べたいと思ったなら町田に向かうしかないのだ。東京都唯一の「ウエスト」、それは町田にある。自宅から車で1時間。それだけ時間を掛けてでも行きたい。

関東での立ち位置を考えると当然だが、町田の「ウエスト」はうどんではなく蕎麦メイン。それも三玉まで同一料金という腹ペコくん仕様。この三玉まで同じ値段というシステムは九州にはうどん店でよくみるものだ。学生など食べ盛りの胃袋を大いに満たしてきた。

さて、テーブルの上に一味唐辛子はなく七味。「ウエスト」といえばネギを好きなだけ入れられることで有名だがこれもない。まあ、ネギはコロナの影響なのかもしれないし、苦心して様々関東のスタイルにローカライズした様子も窺えるが、東京で食べられるこの福岡の味、もちろん十分及第点だ。ただやはりうどんにはかしわ(鳥飯)おにぎりか、いなり寿司は提供してほしいところ。この日、日和ってごぼう天に肉もトッピングしてしまったが、この組み合わせも最近福岡では主流となっている。持ち帰りのうどんを買えば、自宅でも福岡を楽しめるので是非。

うどん
ウエスト 町田店
住所:東京都町田市忠生4丁目8-2
電話:042-789-6388
営業時間:11時〜22時


text : 梶原由景 幅広い業界にクライアントを持つクリエイティブ・コンサルティングファームLOWERCASE代表。デジタルメディア『Ring of Colour』などでオリジナルな情報を発信中。