スマートウォッチはコンビニで買うのがニューノーマル! 4000円台の激安品が海外で続々登場

 

スマートウォッチといえばApple Watchを思い浮かべる人が多いだろう。世代交代が進み、最安値モデルは約2万円と価格もだいぶ引き下がってきた。だが、Apple一強のスマートウォッチ界にもいよいよ風穴があきつつもある。中国スマホメーカー3社が相次いで激安なスマートウォッチを投入したのだ。もはやスマートウォッチは家電量販店で買うものではなく、コンビニで買える時代になろうとしている。

飲み会1回分で買えるスマートウォッチ
ZTE Watch Liveはわずか4000円

ここ数年でスマホの価格を一気に引き下げ、スマホ業界の風雲児となったシャオミ。シャオミはリストバンド型のウェアラブルデバイス「Mi Band」をひっさげウェアラブル市場でも大きな存在感を持つほどになった。それに対抗するように中国メーカーも次々とウェアラブルデバイス市場に参入している。その中でもZTEが11月に発表した「ZTE Watch Live」は業界最安値を実現したスマートウォッチだ。価格は249元、日本円でわずか4000円だ。4000円なんて飲み会に1回行けば普通に使ってしまう金額だ。新型コロナウィルスの影響でリアルな飲み会の回数が減っている今、気軽に買うことのできる金額だろう。

もちろんこれまでにも数千円の格安スマートウォッチはあった。中国のマイナーメーカーの製品なら5000円以下の製品が山のように販売されている。しかしきちんとしたメーカーから出てきたZTE Watch Liveは「格安なのにちゃんと使える」安心感があるだろう。スマートウォッチは時計であることはもちろん、スマホからの通知を受ける製品だ。さらに歩数や睡眠時間など日々の健康データを記録するデバイスでもある。1万歩歩いたのにスマートウォッチを見たらエラーで記録されていなかった、なんて製品は誰も使いたくない。大手メーカーの製品ならそんな心配は一切無用だ。

4000円のZTE Watch Live

もちろん4000円のスマートウォッチだからできることに限りはある。まずアプリを入れることはできない。でもスマートウォッチにアプリを入れる必要性はどれくらいあるだろうか? もちろん生活をサポートする様々なアプリがあれば便利だが、なくても困らない、という人がほとんどではないだろうか? それよりも「高価なスマートウォッチを買ったからアプリを入れなきゃ」と本末転倒な使い方をしているケースもあるだろう。

ZTE Watch Liveでできることは運動量の記録、睡眠時間の記録といった、アクティビティートラッカー機能に加え、スマートフォンに届いたSNSの通知やカメラのシャッター、音楽コントロールなどスマートフォンのアシスタント機能を搭載。4000円で日々の歩数と消費カロリーがわかり、メッセージが届けば教えてくれるなら十分だろう。NFCは非搭載なのでZTE Watch Liveを使って電車やバスには乗れないが、スマホを出すのが面倒だったら高いお金を払って高性能なスマートウォッチを買えばいいだけのことだ。スマートウォッチに何万円も出すより、浮いたお金で洋服を買ったり食事に行ったほうが有意義、そう考える人にZTE Watch Liveは最適な選択肢なのだ。

シャオミ、Realmeも格安ウォッチを展開
3社の間で早くも価格競争が勃発

激安スマートウォッチは先にRealmeが「realme Watch」を5月にインドで発売した。見た目はZTE Watch Live同様にスクエアなフェイスでApple Watchをオマージュしている。しかし時計としてよりもアクティビティートラッカーとして日々の運動データを閲覧するなら四角いディスプレイのほうが表示できる情報量も大きい。このデザインは決して見た目だけを真似たものではないのだ。

四角いフェイスのほうが表示量は多い

Realmeは元々OPPOのサブブランド。OPPOは日本でもコスパに優れたスマホを出しているが、中高価格帯の製品を中心にグローバル展開している。あえて格安スマホはあまり作らず、低価格品はRealmeという別ブランドで展開していたのだ。しかしRealmeの製品が好調なことから分社化し、今では激安スマホを中心にインドや中国で人気のメーカーになっている。世界初の1万円台の5Gスマホも実はRealmeが販売している。

realme Watchは3999インドルピー、約5000円で発売された。この価格は日本の店頭表示なら「たったの4998円!」といった感じだろうか。インドの消費者に「この値段でスマートウォッチが買える!」と驚きを与えたに違いない。realme Watchはキャンペーン時は2999ルピー(約4200円)に値下げされて販売されることもある。販売好調なことから、あえて価格を下げて普及させようとしているのだ。

5000円で登場したrealme Watch

そしてコスパスマホの先駆者シャオミは、ZTE Wach Liveのちょっと前に「Redme Watch」を発売した。価格は299元(約4800円)で発表時は市場に大きな驚きを与えたが、ZTE Watch Liveに最低価格をあっという間に抜かれてしまったのだ。ただしZTEのスマートウォッチの生産能力は未知数だ。数の上ではRedme Watchのほうが新興国を中心に売れまくり、かなりの数が出るだろう。

発表時は世界最安値だったRedmi Watch

このように低価格競争が勃発したスマートウォッチの世界。いずれファーウェイも競争に参入するだろう。ファーウェイのスマートウォッチの一番安いモデルは日本で1万3800円で売られている「HUAWEI WATCH FIT」。ディスプレイ解像度も456x280ピクセルと高く細かい表示も見やすい製品だ。今後はディスプレイ品質を下げ、価格も半額くらいにした「HUAWEI WATCH FIT Lite」なんて製品が出てくるかもしれない。

HUAWEI WATCH FITも今後ライトバージョンが出てきそうだ

ウェアラブル世界一はシャオミ?
世界で存在感を高める中華製品

各社が価格競争を繰り広げるのはなぜだろうか?スマートウォッチは日々の運動データを取得するデバイスであり、そのデータは将来的に医療関係のサービスに結び付けることができる。医療機関や保険会社と組んだ新たなサービス展開も期待できるわけだ。すでに一部の国では保険会社がスマートウォッチを利用しているユーザーに保険料の割引を行う例もある。日々健康状態を確認しているユーザーなら病気にかかるリスクも少ないだろうというわけだ。スマートウォッチはスマホメーカーにとって新しいビジネスチャンスを生む可能性をまだまだ秘めているのである。

スマートウォッチの世界ではApple Watchが強く、ウェアラブルデバイス全体でもアップルのシェアは世界一位だ。ところがこれにはからくりがある。ここ数年アップルのウェアラブルデバイスをけん引しているのはAirPodsであり、ヒヤラブルと呼ばれるワイヤレスヘッドフォンなのだ。

ウェアラブルデバイスのうち、腕にはめる「ウェアラブルバンド」すなわちスマートウォッチとリストバンドデバイスを合計した製品では、すでにシャオミがアップルを抜いてトップの座を確保しているのだ。シャオミの低価格リストバンド「Mi Band」シリーズはiPhoneでも使えることから世界中で売れているのだ。日本でもMiスマートバンドの名前で第四世代の製品が3490円で発売されたのは記憶に新しい。

シャオミのウェアラブルリストバンド世界1位をけん引したMiスマートバンド

ウェアラブルリストバンドの世界ではファーウェイも存在感を高めている。Canalysのデータによると、2019年第3四半期はシャオミ27%、アップル15%の次がファーウェイの13%だった。ファーウェイはアメリカ政府の制裁を受けスマホ製造に支障が出ているが、ウェアラブルデバイスはそこまでの影響を受けないかもしれない。

Canalysのスマートウォッチ+リストバンドデバイスの出荷シェア推移

Apple Watchは誰もがはめているように見えるが、唯一の欠点はiPhoneユーザーしか購入しないこと。日本ではiPhoneが売れているためスマホの代名詞と思われるだろうが、世界の販売シェアでは実はAndroidが8割以上、iPhoneは10%台しかない。そしてAndroidスマホユーザーはまだまだスマートウォッチを腕にはめている人が少ないのだ。

先進国では一部の人しか腕にはめていないのに、インドや東南アジアの人たちは誰もがスマートウォッチを腕にはめている、そんな時代が数年内にやってくるかもしれない。しかしそのころには日本でもコンビニで「スマートウォッチが2980円」なんて価格で売られているだろう。スマートウォッチの普及はこれから本格的に始まろうとしているのだ。

誰もがスマートウォッチをする時代がやってくる