加速Gが罰ゲーム級!?最高出力214psの新世代ドゥカティ『パニガーレ V4 S』に乗ってみた

イタリアのドゥカティといえば、「レース上等」を社風とするバイクメーカーだ。実際、レーシングマシンさながらの市販モデルを数多くラインナップし、近々日本に導入される予定の『パニガーレ V4 S(PANIGALE V4 S)』もかなり振り切ったスペックを持つ。

この『パニガーレ V4 S』は、2気筒エンジンを搭載していた『1299パニガーレ』に代わるドゥカティのフラッグシップ・モデルとして誕生。そのコンセプトはまさに「公道を走れるMotoGPマシン」というものだ。

なにしろ、214psもの最高出力をマークするエンジン性能がとにかく突き抜けている。これで車重が250kgあると言われたら、そこそこ速いスポーツバイクの1台として納得できるが、『パニガーレ V4 S』の乾燥重量はたったの174kgしかない。パワーウェイトレシオに換算すると0.81kg/ps。およそ量産市販車とは思えない、かなりおかしな数値を叩き出している。

左が2輪レースの最高峰MotoGPに投入されているワークスマシンのエンジンで、右がパニガーレ V4 Sに搭載されているもの。なんということだろうか。カタチもサイズもそっくりだ!

……と言われても、バイクファン以外にはピンとこないかもしれない。そこでドゥカティとは本拠地も近く、送り出すモデルもだいたい同じように赤くて速い、あの「フェラーリ」を引き合いに出すとそのスゴさが分かりやすいだろうか。

例えば、もうすぐ正式に披露されるフェラーリのレース直系スーパーカー『488ピスタ』。このマシンの最高出力は720psに到達し、軽量化のためのオプションパーツを組み込んだ状態での乾燥重量は1280kgとのこと。もちろん4輪としては超絶ハイスペックなわけだけど、それでも1ps当たりの重量は1.77kgもある。さらに言えば、車両価格は『パニガーレ V4 S』の10倍どころでは済まないはず。つまり『パニガーレ V4 S』はコスパの高さがハンパないのだ。「2輪と4輪じゃ全然別モノじゃないか!」などと言わず、ここはひとつ「ヘェェェ!」と素直に感嘆していただきたい。

コンパクトにまとまったメインフレームの重量はわずか4kg。車体各部にはアルミニウムやマグネシウムがふんだんに採用され、徹底した軽量化が施されている。

とはいえ、そういう2輪びいきな目線を抜きにしてもパニガーレ V4 Sの走りは本当にスゴい。今回試乗会が行われたバレンシアサーキット(スペイン)のストレート長は900m弱と比較的短いにもかかわらず、1コーナーの手前では290km/hを軽々とオーバー。しかもその時まだトップギアに入っていなかったことからも、秘められたポテンシャルの一端が見て取れるというものだ。

あきれるほどのパワーにものを言わせ、瞬間移動のように車速を押し上げていくため、ライダーにできることと言えば車体にしがみついて必死に耐えることのみ。『パニガーレ V4 S』でのフル加速は、ほとんど罰ゲームを思わせるほどの領域だった。

メーターにはフルカラーの高解像度液晶ディスプレイを採用。電子デバイスのセッティングやラップタイムなどの情報が表示される他、Bluetoothを介してスマートフォンと接続することも可能だ。

その一方で、コーナリングは車体の隅々にまで張り巡らされた電子制御に任せることができる。ブレーキレバーを全力で握っても車体姿勢はほとんど乱れず、そのままフルバンクさせてもタイヤはガッチリと路面をグリップ。あとはコーナーの出口が見えるのを待ってスロットルを全開にすれば、勝手にいい感じで加速・・・・・・まるで自動運転とまでは言わないけれど、その実現を予感させるほどの安定感と抜群の安定感と安心感で走れてしまうのだ。

最新の電子デバイスと新たに開発された専用タイヤのおかげでフルバンク中のスタビリティは抜群。コーナーを軽々とクリアすることができる。

それもこれもトラクションコントロールやスライドコントロール、ウイリーコントロールにコーナリングABSといった電子デバイスがフル稼働してくれているおかげである。このクラスのスポーツバイクになると、「イケるかな? どうしよっかな? やっぱヤメておこう」と恐る恐るスロットルを操作したものだが、もはやそれも過去の話になりつつある。現在はバイクが「あとは全部面倒見たるから、おまえは四の五の言わずカチーッと開けたらええねん!」と語りかけてくる時代であり、その最先端にいるのがこのモデルなのだ。

車体前後にはオーリンズ製の電子制御式サスペンションを標準装備。路面の凹凸や加減速Gに応じて、ストロークスピードが自動的に変化する。

そうは言っても、もちろん物理的な限界はある。あるけれど、ちょっとやそっとのライディングスキルではそこに踏み込ませてはくれない。それが『パニガーレ V4 S』というモデルの本質だ。ちなみに、その価格は328万円。電子制御サスペンションなどの装備を簡略化したスタンダードモデルの『パニガーレ V4』なら263万9000円ゆえ、同クラスの国産スーパースポーツに対してかなりの競争力を持つ。

2018年4月から発売が開始される超絶マシン、刺激を求めているのなら、ぜひお試しを。

DUCATI PANIGALE V4 S

SPEC
エンジン:水冷4ストローク90度V型4気筒
排気量:1103cc
最高出力:157.kw(214ps)/13000rpm
最大トルク:124.0Nm(12.6kg/m)/10000rpm
車量:174kg(乾燥重量)/195kg(装備重量)
シート高:830mm
燃料タンク容量:16リットル
価格:328万円

 

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