これぞ「山形カシオ」の技術力!大人の愛用に耐えうる4万円超え「G-SHOCK」とは?

 

見た目は地味だが良質な外装を持つG-SHOCKの最高峰



カシオ
G-SHOCK ORIGIN GW-5000-1JF
価格:4万1040円
カシオ計算機 お客様相談室 TEL:03-5334-4869

日本を代表する世界的なブランドと言えば、間違いなくG-SHOCKだ。その中でも、いわゆる『DW-5000』系は、オリジナルの造形を引き継いだモデルとして人気が高い。

そんな『DW-5000』系の最高峰が、日本製を打ち出した『GW-5000-1JF』である。その定価はなんと3万8000円。おおよそG-SHOCKらしからぬ価格だが、これは大人の愛用に耐えうるG-SHOCKで価格も妥当だ。

カシオのマザー工場が、山形の東根市にある山形カシオだ。その規模は圧倒的だ。が面白いことに、カシオはこの大工場で少量生産「も」行っている。コンパクトな生産ラインを併設するため、小ロット生産に対応できるのだ。そのため既存のラインに合わないであろう高価な『GW-5000-1JF』も製造できるわけだ。

このモデルで感心させられたのは、ケースやブレスレットの出来である。ケースの構成は、裏蓋がネジ止めではなく、丈夫なネジ込み式。加えて裏蓋の全面にはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)が施されている。DLC処理された裏蓋は、傷が付きにくいだけでなく、金属アレルギーも起こしにくい。

「GW-5000」の大きな特徴が、ネジ止めではなくネジ込み式の裏蓋。若干厚みは増すが、ケースが頑強になる。また裏蓋全体にDLCコーティングを施すことで、耐久性を高めている。DLCは傷が付きにくい上、ケースがへこんでもはがれにくい。

またこのモデルは、ストラップの素材に硬い樹脂ではなくソフトなシリコンを採用する。個人的な意見を言うと、タフに使うG-SHOCKに、シリコンストラップは相応しくないと思っている。着け心地はいいが、断裂の可能性があるからだ。しかし本作のシリコンストラップは、柔らかさと耐久性を上手く両立したものだ。着け心地は良いが、決してソフト過ぎないあたり、実に上手い味付けだと思う。

プラスチック製ベゼル(カバー)の出来も、想像以上に良かった。このモデルを含む一部のG-SHOCKは、金属製の骨格に、プラスチック製のベゼルをかぶせた構造を持つ。

G-SHOCKにおけるベゼルはあくまで消耗品で、そのためか、G-SHOCKのベゼルはお世辞にも作りが良いとは言えなかった。しかしここ10年、ベゼルの質はかなり良くなった。金型を含む、プラスチックの成形技術が改善されたためだろう。

筆者は専門家ではないが、少し補足したい。昔からカシオが得意とするのは、プラスチックの加工である。好例が、いわゆる「チプカシ」と呼ばれている金属っぽいケースだ。あれは金属製に見えるが、実はプラスチック製である。安価なプラを金属っぽく見せるには、よほどの技術がいる。

そんなカシオのマザー工場が山形カシオだ。そのため金型製作を含むプラスチックの加工技術は、いっそうレベルが高い。もちろんカシオの海外工場が作る金型も良質だが、すべての工場の「マザー」だけあって、山形カシオの金型はもう一段良いのである。そんな良い金型でプラスチックのベゼルを作れば、当然完成度は上がるだろう。

では何が違うのかを、『GW-5000-1JF』で見ることにしよう。本作の見た目は普通の『DW-5000』に同じ。しかしプラスチック製のベゼルにはつなぎ目が目立たないし(金型の噛み合わせ位置を変えて目立たなくしている)、ケースの面も歪みが小さい。

初代「DW-5000C」から受け継がれたのは、ケースのデザインに限らない。デジタルムーブメントを中空で支える機構も、オリジナルモデルに同じだ。その結果、極めて高い耐衝撃性を誇る。

カシオは、この最上位機種に、一番凝った金型を与えたに違いない。本作の初出は2009年だが、かつての『DW-5000』系はもちろん、最新の『GW-M5610』に比べてさらに良いのである。初めて見たとき、なぜ3万8000円もするのかと思ったが、ベゼルの仕上がりを見るとやむを得ない。これは見た目こそ懐かしい『DW-5000』系だが、作りは高級なのである。

なお本作の機能は、最新の『GW-M5610』に同じだ。傾けるとライトが付くELバックライトに、クロノグラフ機構、永久カレンダーにタイマーと、複数の基地局から受信できる「マルチバンド6」、そして「タフソーラー」などが付いており、実用時計として十分以上だ。もちろんG-SHOCKならではの耐衝撃性は、今までのモデルに同じで、ラフに使うことができる。

このモデルに高い実用性をもたらしたのが、世界6局の電波を受信できるマルチバンド6だ。内蔵した高感度小型アンテナで、日本2局、中国、北米、イギリス、ドイツの標準電波を受信して時間を自動修正する。小型アンテナとは思えないほど、受信感度も良好だ。

さて結論だ。店頭でいろいろチェックした結果、筆者はこのモデルを気に入り、即買いしてしまった。確かに4万円強という価格は安くない。同じような見た目のモデルが、1万円で買えることを思えばなおさらだ。しかし高い機能性に加えて、良質な外装を盛り込んだ本作は、大人ならば一度は手にすべき時計のように思う。

広田雅将(ひろたまさゆき):1974年生まれ。時計ライター/ジャーナリストとして活動する傍ら、2016年から高級腕時計専門誌『クロノス日本版』の編集長を兼務。国内外の時計賞の審査員を務めるほか、講演も多数。時計に限らない博識さから、業界では“ハカセ”と呼ばれる。

『デジモノステーション』2018年4月号より抜粋。

関連サイト

G-SHOCK ORIGIN GW-5000-1JF