【ds hands on!】ライカ ライカQ2モノクローム

写真表現の本質を浮き彫りにする
あえてのモノクローム

ライカ
ライカQ2モノクローム
価格:81万4000円

35mmフルサイズセンサーを搭載したレンズ一体型カメラ『ライカQ2』をベースに“モノクロ”化。カラーフィルターを排し、モノクロ撮影に特化した4730万画素CMOSセンサーを搭載する。見た目はクラシカルだが、光学式手ぶれ補正や高速AF、4K動画撮影対応など、カメラとしての基本性能は極めてモダン。独自のシーリング構造で耐候性にも優れる。


ライカならではの卓越した光学性能

レンズは単焦点のズミルックスf1.7/28mm ASPH.。映りは極めてシャープで、モノクロセンサーとの相性は抜群。レンズフードが付属する。

レンズはフォーカスレバー付き。フォーカスリングを左方向に回しきるとAFに切り替わる仕組み。誤操作を防ぐロック機構も備えている。レンズ胴部にはフォーカスリング(中央)に加え、絞りリング、マクロ切換スイッチを配置。マクロON時は最短17cmまで近接できる。

シンプルであることを徹底したブラックボディ

メーカーロゴなどが全くない代わりに、本体天面に控え目に「MONOCHROM」とだけ刻印。その下の穴は動画撮影用のステレオマイク。

本体天面には電源レバー/シャッターボタン、シャッター速度ダイヤル(Aの刻印がグレーというこだわりよう!)、FNボタン/ダイヤルを配置。

ボタン類は最新デジカメとして最小限のレベル。カメラを構えた時に親指が当たる部分が凹んでおり、ホールドしやすくなっている。

デジタルがもたらすさらなる自由カメラ内で生成されるJPEG画像を調色するトーニング機能付き。左上から時計回りに「オフ」「ブルー(濃い)」「セレン(濃い)」「セピア(濃い)」。撮影した写真に通常とは異なるニュアンスを手軽に付与することができる。

大きく、高解像度の(368万ドット)アイセンサー付きEVF。右隣の視度調整ダイヤルはプッシュ式となっており、不使用時はツライチとなる。

Wi-FiおよびBlue toothに対応しており、スマホアプリ「LEICA FOTO S」を利用することで撮影した画像をワイヤレス転送したり、カメラをリモート操作したりといったことも可能だ。

研ぎ澄まされた圧倒的な解像力

モノクロセンサーの解像力はあらゆる被写体の、これまで見えていなかった表情を映し出す。今回の試用で特に違いを感じられたのが「光」と「水」の表現。光によって浮き彫りにされる被写体のテクスチャーを、少しも削ぐことなく記録してくれる。撮影後、編集中に気付かされることの多いカメラだった。

もう少し寄って撮影したい時は、背面のクロップボタンで最大75mm相当にまで寄ることができる。あくまでクロップなので画素数はそれに応じて減ってしまうのだが(この場合650万画素)、元の画素数が高いためSNS投稿程度なら問題ないだろう。クロップ情報がRAWデータに記録されるのも◎。

驚異の感動画質。 モノクロでしか撮れない世界がある!?

デジタルカメラで使われているCMOS、CCDなどのイメージセンサーは、その仕組み上、色を認識できず、光の強弱しか検出できない。そこで一般的なデジタルカメラではイメージセンサーの各画素表面に赤・緑・青(いわゆるRGB)のカラーフィルターを市松模様に配置。ある画素は赤色の、ある画素は青色の情報だけを取得するようにし、得られた情報をカメラ内で補完・合成することで「色」を再現している。そのため、厳密に言うと色は100%正確ではないし(偽色や色モアレといった画質劣化が避けられない)、カラーフィルターを通す分、感度や解像力が低下する問題があった。

今回取り上げる『ライカQ2モノクローム』は、そうした問題を嫌い、あえてモノクロセンサーを採用した意欲的な製品。同社はこれまでもレンズ交換式カメラで同様の試みを行っていたが、レンズ一体型カメラでモノクロセンサーを搭載したのはこれが初めて。価格の問題はあるものの、より手軽にモノクロ撮影を楽しめるようになった。

では、実際にその画質はどうなのか? 具体的には次ページの作例を見ていただきたいのだが、カラーフィルターという夾雑物を省いたモノクロセンサーの画質は驚くほどシャープでクリア。色こそ表現できないものの、被写体の質感、立体感をこれまでのカメラとは別次元のクオリティでクッキリと描き出してくれた。恥ずかしながらこれまでモノクロ写真=限られた情報量の中で勝負するアートだと思っていたのだが、それが全くの誤解であることを思い知らされた。なまじなカラー対応のカメラよりもよほど雄弁。初めて見た時は妙な笑いがこぼれてしまったほどだ。

おなじみの“赤丸”ライカロゴすら排したシンプルなルックス、同様にシンプルなインターフェイスも本機のコンセプトを体現。徹底的に“ノイズ”を取り除くことで、ユーザーを撮影に集中できるようにしてくれている。

その上で、光学式手ぶれ補正やスマホ連携など、イマドキな機能も一通り搭載。孤高の存在でありながらも、日常でもきちんと遊べる、楽しめるカメラに仕上がっている。


text : 山下達也(ジアスワークス)
photo : 松浦文生
profile : デジタルグッズライター 山下達也(ジアスワークス)
カメラを始め、PC、A&V機器など幅広いジャンルのデジタルグッズ記事を執筆する雑食系ライター。ライカで作例撮影をしているといつも年配のカメラ愛好家に声をかけられます(笑)。