これぞ現代版ヴィンテージ!? カイハラの茶綿デニムが生む、僕らの欲しかった“味わい”|今日のレコメンド

洋服好きだけでなく、古着マニアですら「茶綿」という言葉を聞いたことがない人もいるのではないだろうか。茶綿とは、昔のデニムに使われていたコットン素材のこと。時代の流れや技術の発展とともに、色に混ざりのない「白綿」がデニムの主流となり、茶綿はその姿を消していった。もちろん、白綿で作られたジーンズも良いが、茶綿ならではの色や雰囲気に魅力を感じるファンがいるのも事実。そうした現代にない“味”を求めて復活したのが、茶綿を100%使用した『茶綿デニム』だ。

“育てる”ことで分かる、茶綿の深み

「ジーンズの価値とは何かを考え直してみたのですが、それは『履き続けることで生まれる色の変化』だと思ったんです。『茶綿デニム』は、新品の状態だと見た目は普通のジーンズと変わらないのですが、色落ちさせると全く違います。ヴィンテージ感がとにかくすごい!」

こう語るのは、日本をテーマに、職人によるこだわりのモノを展開する「藤巻百貨店」の本多祐介さん。『茶綿デニム』は国内有数のデニムメーカーである「カイハラ」が開発したもので、藤巻百貨店がこの製品を販売することになったのも、モノの価値や、モノを使うことで生まれる生活の豊かさといった価値観に、両者が共感したからだという。

「現代のジーンズは基本的に白綿で作られているので、こうした味わいは古いモノでしか楽しめないのです。茶綿を復活させることで、古い時代に使われていたジーンズの生地を、現代のモノとして、自分で一から育てていけるのがポイントです」

そもそもデニムの染色方法は特殊で、カイハラの場合は「ロープ染色」を採用している。これは、束にした糸を染料に漬け、空気に触れさせることで酸化させる工程を数回繰り返す方法。その際、糸の束の中心をあえて染めきらずに糸本来の色を残すのだが、これにより、表面の生地がすり減っていく過程で、デニムならではの色落ちが楽しめるというわけだ。

そして色落ちしたときに見える素材本来の茶色が、このデニムの大きな特徴だ。現行のデニムでは見ることのできない、味わいのある茶色。これが通常の白綿で作ったデニムとの大きな違いであり、『茶綿デニム』がヴィンテージジーンズと同じ雰囲気を放つに至った、最大のポイントである。

主役の茶綿を引き立てる、名脇役たち

「縫製は、ジーンズ専門の縫製・加工メーカー『SAAB(サーブ)』さんにお願いしています。実際に見ていただくと分かると思いますが、ステッチのラインがとてもきれいなんです」

今回使われているのは、14.5オンスのデニム。デニムの中では標準レベルの厚さだが、それでも厚みのある生地をきれいに縫い上げられるのは、ジーンズを専門に取り扱うメーカーだからこそ。ちなみに真っ直ぐに縫製することで、履き込んだときの色落ち=アタリがきれいに出るメリットもあるのだとか。

「茶綿の魅力を引き出すために、あえてバックポケットのデザインステッチを無くすなど、シンプルに仕上げています。一方で、バックポケット自体を丸みの帯びたデザインにすることで、ちょっとした遊び心を持たせています」

『茶綿デニム』は、過度なデザインを施すことなく、バックポケットをシンプルにして、シルエットもストレートタイプのみで展開するなど、あくまで素材本来の良さで勝負している。

また素材でヴィンテージの雰囲気を出そうと思った場合、旧式力織機という昔ながらの機械を使うことが多い。しかしこの製品では、「素材だけで色の違いを出す」ことを表現するために、一般的なデニムに使われている現行の織機を使って、プレーンな生地に織り上げている。ここまで徹底しているのも、主役となる「茶綿」に絶対的な自信があるからだ。

履き込むほどに見えてくる、素材本来の良さ

育てることで本当の価値が生まれる『茶綿デニム』だが、育て方は通常のデニムと変わらないという。まずは買ったときの「生デニム」の糊を落とすため、製品を裏返してぬるま湯に1~2時間漬ける。その後まだ残っている糊を落とし、ジーンズをしっかり縮ませるために洗濯機で洗う。乾燥機に入れるか自然乾燥させたら、履き込みを開始。

ヒゲやアタリなどの“味”をしっかり出すなら、3ヵ月程度履き込んでからセカンドウォッシュするのがオススメだ。もちろん、デニムが好きな人は自分の好みの方法で育てるのもいいだろう。

「『茶綿デニム』は、同時にリリースされている『白綿デニム』と比較すると色の違いがより分かりやすいのですが、実は白綿のモデルもクオリティは折り紙付き。素材の白綿には、プレミアムジーンズにも使われている厳選した素材を採用してるんです」

たしかに『茶綿デニム』の持つ雰囲気は魅力的だが、ヴィンテージ感が強いこともあり、着用できるシーンが限られるのも事実。シーンによって履き分けることも考え、茶綿と白綿の2モデルを展開している。

カイハラが考える、デニムの魅力とは

最近のデニムには、紙製のパッチが使われることも増えてきたが、今回の2モデルには、ヴィンテージデニムにも使用されていた牛革製のパッチを使用している。丸いパッチというのも珍しいが、なにより目を引くのは〇の中にある「ス」の文字。

これはカイハラ創業時の屋号である「マルス」をモチーフにしたもの。製造年やロットナンバーも刻印されており、そうしたディテールも、モノ好きの琴線を刺激する。

国内のデニムシェアのおよそ半分を誇るともいわれる「カイハラ」。そんなひとつの道を極めたメーカーが考えるデニムの魅力を、カイハラでは次のように説明する。

「デニムは、作った当初の生地から変化していく素材であり、その変化が良しとされます。汚れても破れても『味』になるという、面白い受け入れられ方は、ほかの生地にはあまりなく、デニムならではのもの。これこそがデニムの魅力です。綿の原初ともいえる茶綿を使った生地は、古い時代のデニムの『色』を現代でも楽しめるように開発しました。履き込むことでヴィンテージらしい色合いが出てくる経年変化は、白綿とはまるで異なります」

生地を本気で追求してきた「カイハラ」が考える最高のデニム。ヴィンテージと同じ素材を使ったジーンズを、自分の手で一から育てられるなんて、デニムマニアならずとも手に入れたくなる。デニムに生まれた色落ちは、自分だけの“味”となり、やがて相棒の一本となっていくだろう。

カイハラ
「茶綿デニム」ジーンズ
価格:2万4840円

「白綿デニム」ジーンズ W011801
価格:1万9440円