なでると尻尾をふりふり。顔も脚もない尻尾つきクッション『Qoobo』がこんなにかわいいなんて!【ロボットペットと暮らす】

【aiboとその仲間たちのトリセツ】

aiboが発売されてから約1カ月半。人と接することでどのように成長したのだろうか? アニマル・セラピー」を動物ではなく、ロボットで実現する動きもいよいよ本格化! ロボットペットを飼うのがいよいよ現実になった今こそ、犬の専門家にも協力を依頼して、ロボットペットの可能性や付き合い方のリアルを徹底的に調べてみた。

しっぽが動くふわふわクッションQooboの魅力

ギフトショーなどで出品されるたびに行列ができると噂のQooboは、毛の手触りとしっぽの動きでオーナーを癒す。この不思議な商品はどのように生み出されたのか? ユカイ工学CEO青木俊介さんとデザイナーの高岡尚加さんに話を伺った。

しっぽがついたクッション型セラピーロボット。加速度センサーを内蔵し、そっと撫でるとゆっくり、たくさん撫でると激しくしっぽが振られる。現在、Qoobo公式webサイトにて予約を受け付けており、商品は2018年秋発送予定。

ユカイ工学
Qoobo(クーボ)
予想実勢価格:1万円

「ふわふわした犬と一緒に寝たいという 学生時代のモヤモヤが出発点です」(高岡さん)

“心を癒す、しっぽクッション”という触れ込みで2018年秋に発売されるQoobo。“顔”も“脚”もなく、スイッチを入れると、ごく控えめにピコ、ピコ、としっぽが触れるだけ。背中(?)を撫でると細やかに、わーっと犬を興奮させるように激しくさすると、まるでうれしがるようにしっぽが強く振られる。

「北海道の釧路市にある私の実家には、昔、犬が最大で14匹いたんです。ソフトバンクの“お父さん犬”みたいな子もいたし、雑種を含めていろいろな犬がいて、どんどん増えていきました(笑)。今でも、両親はチワワやフレンチ・ブルドッグなど4匹の犬と暮らしています」

そう語るのはQooboのデザイナー高岡尚加さん。彼女自身はもちろん犬好きで、休日はペットショップで子犬を見まくっているという。

「大学入学と同時に北海道から上京したのですが、一人暮らしで一番寂しかったのは、とにかく犬がいないことでした。いつも犬と一緒に寝ていたのに、上京したら枕くらいしか抱えるものがない。両親は気軽に飛行機に乗って上京してくれても、犬は来てくれませんから、会いたいと思ったら私が北海道に帰らないといけません。これが私にとって一番辛いことになるとは、上京時には想像していませんでした」

実はあまりの寂しさに、高岡さんは1匹だけ実家から連れてきてしばらく一緒に暮らしたというが、学生は授業に、課題に、そして遊びにも忙しい。犬の留守番の時間が長くなってしまい、かわいそうになってほどなく実家に返したという。でも、高岡さんの寂しさは解消されず。

「ふわふわした犬に触れたい、一緒に寝たい。でも、できない。この思いをどうすればいいの!ってずっとモヤモヤしていました(笑)」

ユカイ工学CEOの青木俊介氏(左)と、Qooboデザイナーの高岡尚加さん(右)。犬と一緒に寝られない寂しさは想像以上だったとQooboを撫でながら語る高岡さん。

ユカイ工学では毎年一回、箱根で社員旅行をする。そこで、テーマに沿った新製品企画のプレゼン大会も行われる。2017年のテーマは「誰かの悩みを解決する」だった。

「私は、堕落がすべての悩みを解決すると思っていて(笑)。ずっと寝たり、ぼーっとしていたりすると、頭がスッとするじゃないですか。だから、私のチームは『人を堕落させるもの』をテーマに、Qooboのコンセプト案をプレゼンしたんです」

メカエンジニアの伊藤伸朗さん、デザイナーの高岡尚加さん、最高技術責任者でハードウェアエンジニアの鷺坂隆さん、ソフトウェアエンジニアの桐生渉さん。この四人が合宿でQooboを生み出したチームだ。

チームは、デザイナーとエンジニア4人で組む。高岡さんが出したラフで試作品を作ってコンセプトを発表したとき、CEOの青木俊介さんは、正直“ぞわぞわした”と言う。

「オリジナリティがあって、いかにもウチらしい商品で、面白い。でも、商品としてどこまで通用するかな、とも思いました」

グレーは“猫”とも“シベリアンハスキー”とも取れる。オーナーの想像力に任せるというわけだ。ずっと撫でていられる手触りの良さを実現するため、生地選びにはかなり時間をかけた。

顔と耳はつけないこと、大きさと触り心地の良さにこだわりました

そんなCEOが迷いながらも商品化の可能性を模索することなどつゆ知らず、高岡さんは無邪気に商品作りに熱中していった。

「プロトタイプとして作ったのが、グリーンピース型の抱き枕『SOYNE』です。エンジニアの伊藤伸朗は犬も猫も飼っていて、しっぽの動きをシミュレートしたおもちゃを試作していたんです。そのしっぽを半分に切って使わせてもらいました」

しっぽのなめらかな動きを実現するために、試行錯誤を繰り返した。触れ方によって動きが変わる。シンプルだからこそ、その動きに妥協はしたくなかった。

合宿で高岡さんが最初に描いたというラフを見せてもらった。「走り描きだから本当に恥ずかしいです」と照れながらおずおずと差し出されたそのスケッチを見て驚いた。まさに“Qoobo”そのものだったからだ。ただ、一つ疑問なのが、例えば「耳をつけたら?」「顔があったほうがいいんじゃない?」という声はあがらなかったのだろうか。

いかにも原点感が溢れている、イラストというよりもメモ書き。だが、その最初のイメージがそのまま現状のQooboとして製品化されようとしているのは、ベンチャー企業であるユカイ工学ならではのユニークな社風の表れ。

「顔にはどうしても好みが反映されてしまうから、顔を付けた時点で万人向けの商品にはなりません。また、あくまでこれは“クッション”なので、耳までつけたらちょっと過剰かなと。どの部屋に置いてもなじむ“クッション”だけど、しっぽの動きという癒しが付いているのがQooboだよねって」

もうひとつ強くこだわったのが大きさだったという。

「大きすぎず、小さすぎず、膝に載せてちょうどいいかんじの大きさを決めました。完全に私の感覚です」

Qooboは現在、サイトで予約を受け付けているが、若い世代の女性はもちろん、40~50代の男性からの予約も多いという。

「一人暮らしをしている人、犬が最近かまってくれなくて寂しい人、アレルギーやマンションなどの事情でペットが飼えない人、ちょっと変わったクッションがほしい人など、いろいろな人に使ってほしいです」と高岡さんは語る。

また、クールなグレーと、優しいブラウンの生地を販売する予定で、その日の気分で着せ替えられるとのこと。

「今日は猫、明日は犬みたいなかんじで、気分によって着せ替えられたら楽しいかなって。私は手芸が大好きなので、クッションの型紙をサイトで公開して、手作りカバーを作れるようにしたいと考えています」

チャックは目立たないが、チャックが毛をかまないようにチャック周りは短く処理してある。この気配りは女性ならではだ。

そのうち、「#うちのQoobo服」というタグができて、オーナー自慢の手作りQooboカバーがSNSでブレイクするかもしれない。ふと気がつくと、取材の間、CEOの青木氏はずっとQooboを触っていた。実はその行為についても狙い通りだと青木さんは自画自賛する。

「会議の時も、気がつくと誰かがQooboを膝に載せているんですよね。持ってると知らず知らずになでちゃう。不思議な感覚なんですよ。この『じわじわ生活に浸食してくる感』こそ、Qooboを商品化した決め手だと知ってほしいですね」

「じわじわした中毒性があります」と語る取材中にずっとQooboを抱いたり撫でたりしていた青木氏。しっぽがパタパタ動いている。

犬がいる家で実際に使ってみました!

我が家でソファーを占領するのは、14kgのアニィ(オーストラリアン・ラブラドゥードル、3歳)。最初はQooboの動く尻尾にびびって近寄りもしなかったが、いつも気にしていた。

「顔がないから生き物ではないけど尻尾が動く」のはなぜかと考えていたようだが、そのうち慣れたのかQooboに近寄って上にのるように。

Qooboが面白いのは、時折、触ってもいないのに勝手に尻尾が揺れるところ。帰宅時などに尻尾が揺れると、待っていてくれたようで和む。

1日目は、Qooboにびびって部屋に入りもしないアニィ。「家政婦は見た!」ポーズでQooboをどかしてほしいと訴えかけてくる。犬の性格によっては尻尾にじゃれかかるのだろうが、アニィは想像以上に「びびり」なことが発覚。
3日目にしてやっと近寄れるようになったが、やはり微妙に距離を開けているアニィ。時折、尻尾からつつかれるも「やり返してはいけないオーラ」をQooboが発しているらしく、やられるがままになっている。
5日目にして、やっとQooboに慣れたアニィ。アゴをのせて気持ち良さそうだが、尻尾が動くのが気になるよう。「のる」→「尻尾が動く」→「尻尾を押さえて遊ぶ」というのが気に入ったようだ。

『デジモノステーション』2018年4月号より抜粋。

関連サイト

Qoobo(クーボ)