医療・介護の現場で大活躍!アザラシ型ロボット・パロは、なぜ人の心は癒されるのか【ロボットペットと暮らす】

【aiboとその仲間たちのトリセツ】

aiboが発売されてから約1カ月半。人と接することでどのように成長したのだろうか? アニマル・セラピー」を動物ではなく、ロボットで実現する動きもいよいよ本格化! ロボットペットを飼うのがいよいよ現実になった今こそ、犬の専門家にも協力を依頼して、ロボットペットの可能性や付き合い方のリアルを徹底的に調べてみた。

アザラシ型ロボット・パロになぜ高齢者たちは癒されるのか?

「アニマル・セラピー」の代替として注目される「ロボット・セラピー」の効果に、いち早く目をつけてアザラシ型ロボット・パロの販売事業を手がけていたのが大和ハウス工業だ。なぜ、パロは高齢者の心を癒やすのか、同社の新倉氏に聞いてみた。

【PROFILE】
新倉昭人さん
大和ハウス工業 営業本部 ヒューマンケア事業推進部 ロボット事業推進室
東日本ソリューショングループグループ長
3年保証のメンテナンスパックが付く45万3600円のコースは、2回のメンテナンスと1回のバッテリー交換が付く。毛皮のクリーニングを無償で行うことができるので、このコースを選ぶ事業者も多い。ACアダプタによる充電式。

知能システム
メンタルコミットロボット パロ

本体セット価格:38万8800円(1年保証付)

パロが施設入居者だけではなく、家族、職員の癒しにもなる

人々の心を癒やす存在として、犬などの動物を使う「アニマル・セラピー」は古くから国内外で研究が重ねられている。

しかし、そもそも動物が苦手だったり、動物の毛にアレルギーをもったりしている人には適用が難しいという問題もあった。そこで、動物の代替としてロボットを用いる「ロボット・セラピー」が脚光を浴びている。

アニマル・セラピーの問題点を解決でき、動物が死んだ場合の「ペット・ロス」(ペットを失うことによる深い悲しみ)まで解決できるというわけだ。ロボット・セラピーの代名詞的な存在が、国立研究開発法人産業技術総合研究所が研究・開発するアザラシ型ロボットのパロである。

パロによるロボット・セラピーは日本だけではなく、アメリカやドイツ、オランダなど世界40カ国で導入されており、「要介護3の80歳代女性がパロに話しかけたり、歌ったりするようになって徘徊が減った」「要介護4の80歳代女性の暴言が減った」などの効果が数多く報告されている。

パロの日本最大規模の販売代理店が、大和ハウス工業だ。これまで約200件の医療・介護施設等(大和ハウス工業以外が建築した建物も含む)にパロを導入し、2017年2月現在で700台以上を販売している。

カラーバリエーションは当初、ホワイトとゴールドのみだったが、「汚れがあまり目立たないようにしたい」「かわいい色もほしい」など利用者の要望からピンクとグレーが加わった。

「住宅に、最後まで快適に住んでいただくためには、高齢化社会のもとで生じる様々な問題を解決することが不可欠です。そのツールとしてロボット、例えば腰痛リスクを軽減してくれるロボット・スーツや、ロボット・セラピーなどの導入がお役に立てるのではないかと考え、2008年1月にロボット事業推進室の準備室を立ち上げました」(新倉氏)

大和ハウス工業には、先見の明があったというわけだ。では、なぜパロは人の心を癒やすのだろうか?

パロの重さは2.6kgと新生児の体重に近く、充電器がおしゃぶりの形をしていることから、自分が出産した頃を思い出す女性の要介護者も多い。パロが回想のきっかけとなることで、高齢者の癒やしとなっている。

「パロの反応はもちろん、パロを通じて回想したり、会話したり、パロを中心としたあらゆるコミュニケーションが、介護に関わるすべての方の癒やしになっていると考えます」(新倉氏)

例えば「私は昔、犬を飼っていたの」「パロ、今日は機嫌がいいわね」など要介護者同士だけではなく、職員と要介護者や職員同士の会話のきっかけになり、精神状態が穏やかになる効果が発生しているというのだ。

人の心を癒やすのは、やはりコミュニケーション。購入者の個人と法人の比率はおよそ2対8であり、個人の購入者も少なくはない。一般の家庭でロボット・セラピーが当たり前に導入される日も、間近かもしれない。

大和ハウス工業は、パロだけではなく、介護支援用のロボットスーツ『HAL』 や足こぎ車いす『COGY』などのロボット福祉機器の販売にも力を入れている。パロはすでに介護の現場で実際に活躍しており、高齢者にとってなくてはならない存在に。

「Mental Commit Robot」、「メンタルコミットロボット」は国立研究開発法人産業技術総合研究所の登録商標です。「パロ」は株式会社知能システムの登録商標です。
「CYBERDYNE」、「ROBOT SUIT」、「ロボットスーツ」、「ROBOT SUIT HAL」、「ロボットスーツHAL」、「HAL」、「Hybrid Assistive Limb」 は、CYBERDYNE株式会社の登録商標です。

『デジモノステーション』2018年4月号より抜粋。

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メンタルコミットロボット パロ