V字回復なるか!?佐藤可士和が手掛ける塚田農場の新業態『焼鳥つかだ』を試食してきた

2018年3月22日、居酒屋チェーン『塚田農場』の新業態・旗艦店となる『焼鳥つかだ』が、東京・中目黒にオープンする。運営するのは、『塚田農場』と同じくエー・ピーカンパニーだ。この新店舗では、外装・内装から食器にいたるまでクリエイティブ・ディレクター佐藤可士和氏がディレクションした上質な空間のなか、最高級の地鶏を焼鳥で楽しめる。しかも想定客単価は3500~4000円程度という意欲的な店舗だ。

クリエイティブ・ディレクターの佐藤可士和氏

外食産業を手掛けるのは初めてという佐藤可士和氏。今回の戦略策定にあたっては大衆を意味する「マス」と相反する用語の「レア」を組み合わせた「レアマス」という造語を作り出し、“ちょい贅沢”を求めるニーズに狙いを定めた。大衆的なチェーン店と、高級志向な個人店の中間(=レアマス)となるポジションに『焼鳥つかだ』のビジネスチャンスがあるのだという。

佐藤氏は「製造と販売が直結した塚田農場のモデルがビジネスのベースとしてしっかりしていたので、実感を持って戦略を立案できた」とも話し、今回のプロジェクトを進めるにあたっては徹底的に現場を見て回ったそう。その現場主義は、屠殺工程で鶏の返り血を浴びたほどのこだわりぶりだったという。

こうしたコンセプトメイキングを受けて生み出された『焼鳥つかだ』の看板メニューと言える焼鳥5種を試食してきたので、簡単に紹介していこう。

必食の希少部位から、塚田らしさ全開のメニューまで5串を試食

まずは佐藤氏も絶賛する「ふりそで」。これは宮崎地鶏(じどっこ)の肩から肩甲骨にあたる部位で、1串が鶏1羽分に相当すると希少部位だ。噛みごたえがありながら肉汁が非常にジューシーで、粉山椒をつけるとより美味しくいただける。

続いては一見すると焼鳥には見えない「ささみ磯辺巻き」。昆布締めにしたささみを餅のように柔らかく仕上げた意外性溢れる一品だ。他店で目にすることはまずないので、訪れたらぜひトライしてみてほしい。

こちらは胡麻油と挽いたブラックペッパーがまぶされた「ハツ」だが、お好みで生姜を乗せて食べると、また違った味わいで楽しめる。ちなみに、『焼鳥つかだ』では塩でいただく焼鳥メニューが多いのも特徴と言える。

ある意味もっとも塚田らしい一品が、この「もも」だろう。基本的に塚田農場で出しているものとまったく同じ肉質・味付けなのだが、串打ちすることで口に運んだときにまったく違う味わい、食感になるのが面白い。

最後はタレでいただく「月見つくね」。とろりとした濃厚な卵黄を絡めると、マイルドかつ深い味わいが口の中に広がっていく。

内装・外装も“本物の素材”にこだわる

「上質な食材×職人=おいしい理由」というキーワードを掲げる『焼鳥つかだ』だけあり、外装、内装には無垢の国産杉をふんだんに使う。それとあえて面取りを抑えたステンレス、そしてガラスの組み合わせが絶妙な緊張感で心地よい。

食に対する感度が高い人々の集まる中目黒。“チェーン店が成功しない”と言われているこの地域であえて勝負し、ここで育った職人とノウハウを全国130店舗の塚田農場へフィードバックしていくというのも非常に重要な企業戦略のひとつなのだとか。これが『焼鳥つかだ』と既存業態である『塚田農場』間でのブランドシナジー効果になっていくことを目指しているわけだ。

最高級の地鶏を提供しながら、ポケットマネーで行けるぎりぎりの価格帯であろう客単価3500~4000円に抑えられるのは、『塚田農場』や『四十八漁場』などで独自のビジネスモデルを積み上げてきた同社ならではの強みと言えるだろう。従来の“宮崎県のご当地料理”的なメニューから、より顧客が理解しやすい「焼鳥」へチェンジしたこの『焼鳥つかだ』に続き、今後も炉端焼きなどの新たな業態を開拓していくとのことだ。

佐藤可士和氏(左)と、エー・ピーカンパニー代表取締役社長の米山久氏(右)。

エー・ピーカンパニーでは、現在ある130店舗ほどの『塚田農場』のうち30~50店舗ほどを、今後数年のうちにこうした新業態へ切り替えていきたいとしている。ビジネス的な苦戦が伝えられる同社だが、居酒屋業界である種コモディティ化してしまった「農場」系の業態をあえて捨て、新たな価値作りへと舵を切った判断の行く末に、引き続き注目していきたい。

関連サイト

焼鳥つかだ 中目黒
エー・ピーカンパニー