超ラグジュアリーカーからミニ クロスオーバーまで、試乗会で輸入車12台イッキ乗り!

 

今月のテーマ
#05 JAIA輸入車試乗会

日本で手に入る輸入車を一堂に試乗できるプレス向けのイベント。「日本自動車輸入組合」、通称JAIA(=Japan Automobile Importers Association)が年に一度主催し、いまでは自動車業界の恒例行事となっている。最新輸入車を本誌ならではの視点でイッキ乗りしてきた!

JAIA輸入車試乗会で、“ガイシャ”をイッキ乗り!

いまでこそ、日本で世界中のクルマを楽しめるが、日本で輸入車の販売が自由化されたのは1965年まで遡る。

その年に、輸出入取引法に基づく非営利法人として設立されたのが、「日本自動車輸入組合」、通称、JAIA(=Japan Automobile Importers Association)である。

日本の自動車市場における国際的な調和を重視し、日本のモータリゼーションの健全な発展と経済の国際化を掲げて活動するJAIAだが、年に一度、組合員であるインポーターが所有する新型車にイッキ乗りできるという、大盤振る舞いな試乗会を開催している。

試乗会当日、早朝の大磯プリンスホテルに着くと、すでに大勢の取材陣が集まっている。自動車雑誌はもちろん、ライフスタイル誌、情報誌といった幅広いメディアに加えて、モーター・ジャーナリストの面々も揃い踏みだ。

ホテルのエントランスには、ずらっと試乗に供される車名が並んでいる。なかには、ポルシェ、マセラティ、アストンマーティン、さらにはロールスロイスなんて「超」がつく高級車もあって、テスラのような変わり種もちらほら。なんだかやる気にさせられる。

BMWの中でも最高峰となる7シリーズが今年で40周年を迎えた。そのなかでも最強版となるのが、V12気筒エンジンを搭載する「M760」だ。BMWのハイパフォーマンス・モデルを担当するM社によって開発された「Mパフォーマンス」シリーズに属し、ラグジュアリーセダンながら、最高出力610ps/最大トルク800Nmを発揮し、最高速は305km/hに達する。

今回、我々が選んだのは、リアルなチョイスに加えて、春を待つオープンカー、いつかは乗りたい夢のクルマといった12車種である。陽光あふれる中、最初に鍵を手にしたのはシボレー『カマロ コンバーチブル』である。

1967年に登場した初代「カマロ」はスリークなスタイリングを持つスペシャルティカーとして大ヒット。2015年に6代目となる現行モデルが復活し、アメ車の代表格ともいえる存在へと返り咲いた。

1967年にデビューした初代「カマロ」は、10-60年代にアメリカで流行した”マッスルカー”の代表格ともいえる存在だ。当時は、フォード「マスタング」、ダッジ「ダート」といった、スリークなスタイリングにハイパフォーマンスなエンジンを搭載するモデルがライバル的存在だった。現代に蘇った6代目は、歴代モデルのスポーティなスタイリングを踏襲しつつ、90kg以上のダイエットに成功しつつ、ボディの剛性感を大幅に高めたことで、ぐっとモダーンな乗り味になった。

自動で開閉できるルーフを降ろして、勇む右足を押さえ込むかのように、じんわりとアクセルを踏み込む。アメ車に特有の強大なトルクで、大柄なボディをぐっと引き出すような頼もしい乗り味を持つ。

インテリアは欧州車ほどの重厚感はないものの、座るとすぐに温まるシートヒーターや、アップルカープレイを備えるなど、必要にして十分。

一方、外観の押し出し感は写真を見れば一目瞭然。上下に薄い睨みの効いたフロントランプから、ぐっとくびれたサイドパネルのラインにつながり、リアエンドにはスポイラーまで付いている。“昭和のワル”感ハンパない。

「ディスカバリー」は、3500kgもの牽引力を誇り、強化された足回りと悪路走破性を備え本格オフローダーでありながら、大人7人が乗れる室内空間を確保する実用性も兼ね備える。/アウディスポーツ社の手になる最強版「TT RS」は、個性的なクーペ・スタイルに5気筒エンジンを搭載し、0-100km/h加速は3.7秒という俊足ぶりだ。

一度は乗ってみたい!憧れのオープンカーも揃い踏み

ドイツ車ながら、アメリカ市場を意識して作られたオープンカーという意味では、ポルシェ『911 タルガ4 GTS』も興味深い。

「911」のラインナップにおける第五番目のモデルとなるハーフオープンモデルの「タルガ」。そのなかでも、「GTS」は450psを発揮するツインターボ付き3リッターのハイパフォーマンスエンジンを搭載する強化版だ。

1950年代に登場した初代モデルはヨーロッパの有名耐久レースであるタルガ・フローリオを5連覇したのを記念して命名されたのだが、1960年代にアメリカの衝突安全規制が厳しくなると、ポルシェはその規制に適合させるべく、セミオープンの「タルガ」をBピラー一体型のロールバーと脱着式のルーフを組み合わせた解決策として提案したのだ。

カリフォルニア……ではないものの、青空の下で海沿いの道を走っていると、「ハッキリ言って、世界中のオープンカーはカリフォルニアのお金持ちのために作られている!」と言っても過言ではないことを体感できる。

しかも、今回試乗に連れ出した『911 タルガ4 GTS』は純正培養のスポーツカーである「911」の中でも、ハイパフォーマンスモデルにあたる。450psに強化された心臓部を持ち、550Nmもの強大なトルクを伝えるべく、4輪駆動システムと組み合わされる。

残念ながら、公道での試乗故にその実力を存分に引き出すことはかなわなかったが、カリフォルニアの青く広い空に思いを馳せつつ、ドイツのアウトバーンをかっ飛ばすパフォーマンスを秘めるのも、なかなかオツなものだ。2154万円(!)と、価格も超ドリーム級ではある。

このあたりで、少し現実的なところに目を向けてみよう。

コロンと丸いスタイリングに丸目2灯、ボンネットの上にレーシーな二本のラインがアイコニックなミニ『クーパー SD クロスオーバー オール4』の鍵を握って、元気に走り出そう。

コンパクトなクラシック・ミニに思い入れがある人も少ないくないだろうが、家族がいても「ミニ」に乗りたい!という人に朗報なのが、クロスオーバーである。大人4人が乗れる空間を確保しつつ、4輪駆動で機動性もバッチリ。ディテールに、ミニらしい遊び心に溢れているのも魅力。

ミニを名乗ってはいるものの、ボディサイズは小型SUV並みなので、室内は大人4人が十分に座れる。4輪駆動を備えており、クロスオーバーの名に恥じない悪路走破性も併せ持つ。

“トグルスイッチ”風のクラシックなボタンを押すと、フロントに収められたディーゼルエンジンが目を覚ます。

もし、読者諸氏がディーゼルに抱いていたイメージが「すすを出して汚い」「力がなくて走らない」といったものであれば、すぐに拭い去ったほうがいい。そう断言できるほど、低速域からトルクに溢れる元気な走りっぷりを披露する。

メルセデス・ベンツの最高峰セダンに4LV8エンジンを積んだ「S560」は、469ps/700Nmの大出力を発揮。/ボルボの最新SUV「XC60 T8」は、318psを生むエンジンと87psの電気モーターを組み合わせたPHVを搭載。/これぞ!イタリアン・クーペたるマセラティ「グラントゥーリズモ」は、4.7LV8エンジンを搭載。

ショファー・ドリブンで堪能するリビングルームを越える快適な走り

BMWの売れ筋コンパクトSUVである『X3』も、ds世代には注目の一台だ。

BMWの売れ筋SUVのなかでも、日本の道にぴったりの使いやすいサイズの「X3」。そのなかでも、今回試乗に連れ出した『xドライブ20d Mスポーツ』は、BMWのスポーティブランドである「M」のアイコンを身にまといつつ、低燃費のディーゼルエンジンと4輪駆動の組み合わせを持つ。機動性バツグン!の一台。

BMWらしいスポーティな走りを保ちつつ、4輪駆動ゆえに悪路の走破性も兼ね備える。広大な室内空間を温めるのはさぞ大変だろうと思いきや、オプション設定のシートヒーターをオンにすると、あっという間に背中とお尻がぬくぬくと温かい。スキーやスノボを趣味にする人にとって、オススメの機能だ。

最後に、これぞ!と輸入車試乗会の真骨頂ともいえる”超”がつくラグジュアリーの世界にいざなおう。

14年ぶりに刷新されたロールスロイスの最上級モデル『ファントム』である。5460万円スタートではあるものの、ビスポークなるオーダーメイドで発注するので、実際にオーナーの手に届くクルマの”定価”はあってないようなもの。

ボディカラーやインテリアの素材を選ぶのは当然のことだが、シャンパンを冷やすための冷蔵庫や、象嵌細工を施したピクニック・テーブルを備えることもできる。

(右)シャンパンを冷やす冷蔵庫を内蔵するリアシート。シャンパングラスまでも、ロールスロイス純正品。(左)ロールスロイスに「生まれた日の夜空」を発注すると、その日の星空を調べて、LEDライトで室内に再現してくれる。

運転手さんに……、いや、ここではあえて“ショファー”と呼ぼう。ショファーにドアを開けてもらって、たっぷりとしたソファのような後席に座ると、リビングルームにいるかのような快適な空間である。

いや、我が家のリビング以上の快適さ。頭上を見上げると、LEDで星空が再現されている。一つひとつ、職人の手で縫い付けられているというだけあって、夜空のように自然に星がきらめいている。

セダンでもなく、SUVでもない中間にある視点で、市街地を走っていても、なんだか別世界から眺めているようだ。ロールスロイスの乗り味を評する際に“Wafterbility(=浮遊感)”という独特の英語を使うのだが、実のところ、まるで雲の上に座っているかのような“浮遊感”なのである。

顧客が望むなら、ダッシュボードにアートのような造形を作り込むことも、最新のオーディオ&ビジュアルを組み込むことも可能だ。現世で考え得る望みをほとんど叶えてくれる、そんなクルマである。

50余年前を比べたら、身の回りにはたくさんのモノが溢れているが、いまでもやはり、輸入車には夢がある。そんな風に思えるのも、クルマの輸入を自由化した先人たちのおかげで、クルマの選択肢が増えたからに違いない。

『DS3 ダークサイド』は、4m以下の全長に1.71mほどの横幅ゆえに、町中でもスイスイ走れそうな予感だ。ターボ付き1.2リッター3気筒エンジンと小排気量ながら、6段ATとの組み合わせでシャキッと小気味いい走りだ。303万円という手の届く価格帯で、ホットなフレンチコンパクトが手に入る。
川端由美(かわばたゆみ):自動車評論家/環境ジャーナリスト。自動車の環境問題と新技術を中心に執筆するほか、海外の展示会取材も積極的に行なう。。International Engine of the Year選考委員なども務める。

『デジモノステーション』2018年5月号より抜粋。