見た目はオシャレ、中身はちょっとエッチ?迷走期のZTEが作ったスマホ『Blade Fashion TV』って?

今月のヘンタイ端末はこれだ!


ZTE
Blade Fashion TV
販売価格(当時):約4万円

ファッショナブルなオシャレなスマホ。でもエロいコンテンツは実は男性受け狙いか?

スマホメーカー同士の競争は激しく、1年で売れ行きを急落してしまうケースもある。今回紹介するZTEのスマホも、発売後世界的なヒット商品となり、いずれZTEがスマホシェア世界トップグループ入りするのではないか! と期待を抱かせた製品だ。

ZTEが2010年に発表した「Blade」は流線型をしたコンパクトなボディーで、当時としては他社にはないスタイリッシュなデザインのスマホだった。手ごろなサイズ感と高画質なカメラを搭載し、使い勝手の良いスマホとして世界中で売れまくったのだ。

1年間の販売台数は50カ国で1000万台を突破。単一機種でここまで売れたスマホは、当時、iPhoneをのぞけばGalaxy S(初代)くらいだった。ZTEはアップルとサムスンに次ぐ勢いを持っていたのだ。

今回紹介するスマホはそのBladeのブランドコラボ品。ケーブルTVなどにファッション専門番組を流す「ファッションTV」のブランドを付けた限定版だ。ZTEのスマホの勢いにファッション業界も注目したというわけである。本体はゴールドカラー。起動すると待ち受け画面には同TVのニュース番組や内蔵コンテンツへのショートカットアイコンが並ぶ。好きな時間に最新ファッションニュースを視聴できたのだ。

しかし、今と比べるとスマホのスペックや通信回線速度が低く、TVと同じ感覚で視聴することは難しかった。それにファッションTVを見る層は、すでにiPhoneで番組を楽しんでいただろう。ロゴをあしらった本体デザインは悪くないものの、ターゲットとする層はiPhoneを持っていたのが実情だったに違いない。

ヨーロッパを中心に販売されたようだが、発売のアナウンスのその後の情報がないことからも、売れ行きは良くなかったと想像できる。

オンラインの番組視聴が現実的に難しいことから、独自コンテンツもプリインストールされている。待ち受け画面には「水着」「ランジェリー」と書かれたアイコンが並ぶ。起動するとファッショナブルな写真が表示されるものの、男性視線ではエロティックさを感じてしまう。

このスマホは一般の消費者も買うことを考え、あえて男性受けする写真を入れたのだろうか。見た目はオシャレ、中身はちょっとエッチ、そんなキャッチコピーを付けることができれば、売れ行きも変わったかもしれない。

スマホビジネスの将来性を感じたファッションTVが、世界で売れまくっているスマホに目をつけコラボを行った。しかしそもそもBladeが世界中で売れた理由は、iPhoneのようにデザインと使い勝手の良い高級端末だったからではなく、手ごろな価格の割に見た目とスペックが良いコスパに優れた製品だったからなのだ。

ファッションの世界でいえば、高級ブランドではなくファストファッション、すなわちスマホ界のユニクロと言える製品が、このBladeだったのである。

どちらかといえば地味な製品の多いZTE。このスマホが成功していれば、今ごろもっとデザインに優れた製品が増えていたかもしれない。今では折り畳み二画面スマホという“変態スマホ”を出している同社だが、過去には背伸びしてオシャレ路線を狙った時代があったかと思うと、なんだか懐かしい。

山根康宏(やまねやすひろ):香港在住のジャーナリスト。世界の携帯電話事情を追い求め、1年の約半分を海外で過ごす。携帯電話1500台、SIMカード500枚以上を所有するコレクターでもある。

『デジモノステーション』2018年5月号より抜粋。