デヴィッド・フィンチャーが描く“伝説のプロファイラー”の回想録【この海外ドラマが間違いなし!『マインドハンター』】

【この海外ドラマが間違いなし!】定番の名作から最新作までおすすめ海外ドラマをピックアップ。これさえ観ておけば間違いなしのおすすめ作品をご紹介します。今回取り上げるのはこちら!

今回ご紹介したいのは、1970年代のFBIが舞台の『マインドハンター』。デヴィッド・フィンチャー監督が製作総指揮を手掛けたことで注目を集めた、Netflixオリジナルドラマだ。2017年10月よりシーズン1が配信されている。

原作は、“伝説のプロファイラー” ジョン・E・ダグラス氏による同名の回想録。本作の主人公ホールデンは、ダグラス氏をモデルとする架空の捜査官だ。ダグラス氏は、数々のシリアルキラーと向き合ってきた人物で、『羊たちの沈黙』『レッドドラゴン』などの作品に登場する捜査官のモデルとしても知られている。

ベストセラー『FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 (ハヤカワ文庫NF)』の著者ロバート・K. レスラー氏とともに、プロファイリングという手法を確立させた立役者だ。

捜査手法の構築を描く、異色のストーリー

1970年代後半のFBI。若き特別捜査官ホールデン・フォードは、人質解放の交渉中に犯人に自殺されるという失態をおかしてしまう。その結果、クワンティコにあるFBIアカデミー(FBI研修生の学校)の講師に左遷される。

残虐な殺人事件が増える中、従来の捜査手法に限界を感じていたホールデン。異常犯罪者を“理解不能なおぞましいモンスター”として単に罰するのではなく、“なぜこのようなモンスターが誕生したのか”を心理学的に研究することの必要性に気づく。

過去の異常犯罪者のデータを収集・分析し体系的な知識として確立することが、今後の犯罪捜査に役に立つと考えたのだ。そこで彼はベテラン捜査官のビル・テンチとバディを組み、世間を震撼させたシリアルキラーへのインタビューを開始する。

しかし、このようなホールデンの提案は、昔気質の捜査官らからは異端視されてしまう。時に厳しいバッシングにさらされながら、ホールデンはいかにしてプロファイリングを築き上げていくのか。

ここが見どころ!

原作者のダグラス氏によると、『マインドハンター』の見どころは“リアルさ”だという。

FBIモノのドラマは日本でも人気を博しているが、派手なガンアクション満載の“勧善懲悪の捕物帳”といった感じの演出が多い。しかし「New York Post」のインタビューの中で、原作者のダグラス氏はそういった演出は現実とはかけ離れていて不満だったと語っている。しかし、本作については

このドラマは私の著書に基づいて忠実に再現されており、とても嬉しい。(中略)まるで自分の人生をもう一度最初からやり直しているような気分だよ
New York Post」より翻訳引用

と、太鼓判を押している。

ドラマやドキュメンタリーを通してしかFBIを知らない筆者にはリアルかどうか確かめようもないのだが、ダグラス氏の言う通り原作を忠実に再現している箇所も多いし、ドラマチックな演出や格闘シーンも控え目だ。しかし、その静かさが逆に観る者に緊迫感を与える。

組織を改革しようと孤立奮闘する若きサラリーマンの物語、という見方もできるかもしれない。今でこそFBIドラマには当たり前のように登場するプロファイラーも、その有効性が認められるまでには並々ならぬ苦労があったようだ。

何にしても、ゼロから新しいものを築き上げるのは大変な作業だ。暗中模索しながらプロファイリングを確立させようとする姿は、さながら「プロジェクトX」のようでもある。

たとえば、ホールデンが捜査官たちを前に異常犯罪者の心理について講義を行うシーンがある。残虐な殺人をおかすシリアルキラーの多くは、不幸な生い立ちであることが多い。もちろん同情の余地などないのだが、共通点を見つけ出しきちんと理解しておく必要はある。しかし、実際に殺害現場に立ち会ったベテラン捜査官は「こんなおぞましいモンスターに感情移入するのか」と激昂する。

プロファイリングに反発するベテラン捜査官もホールデンも、「犯罪をなくしたい」という思いは同じなのだが、なかなか取り組みの意義を理解してもらえず苦戦する。このあたりの人間模様は、組織に属して働いている人ならかなり共感するかもしれない。

関連サイト

Netflixオリジナル作品『マインドハンター』独占配信中