初心者だけが使うのはもったいない!小型ボディに性能を凝縮したキヤノンのミラーレスカメラ『EOS Kiss M』を試してみた

【ヒット確実な新製品の「試してわかった」をレポート】

プロの目利きたちがいち早くハンズオン! ヒット確実な気になる製品の試してわかったことをすべて教えます。

 

コンパクトに凝縮 ギュッ!とKiss

キヤノンのミラーレスカメラ向けマウント「EF-Mマウント」を採用した最新モデル。ミラーレスカメラとして初めて「EOS Kiss」の銘を冠している。今回の記事では標準ズームレンズと単焦点パンケーキレンズを同梱した「ダブルレンズキット」を試用。パンケーキレンズ装着時は総重量500gを切るなど、コンパクト機並みの携帯性を実現する。また、そのうえで「EOS Kiss」らしい、ユーザーフレンドリーな利用感が盛り込まれている。

キヤノン
EOS Kiss M
[ボディのみ]実勢価格:7万9380円
[ダブルレンズキット]実勢価格:11万2860円
[ダブルズームキット]実勢価格:12万420円
[EF-M15-45 IS STM レンズキット]実勢価格:9万5580円
[EF-M18-150 IS STM レンズキット]実勢価格:13万2300円

【SPEC】
サイズ:W116.3×H88.1×D58.7mm
本体重量:387g(ホワイトモデルは390g)
撮像素子:APS-CサイズCMOS
有効画素数:2410万画素
レンズマウント:キヤノンEF-Mマウント
※別売マウントでEF-Sレンズ装着可能
連写速度:最大10コマ/秒
シャッター速度:1/4000〜30秒
EVF:0.39型(236万ドット)
モニタ:3.0型(104万ドット)
動画解像度:4K(24p)/フルHD(60p)など
記録メディア:SDXCメモリーカード

 

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入門者のための新シリーズ機だが初心者だけに使わせておくのはもったいない

キヤノン「EOS Kiss」と言えば、エントリー一眼レフの大定番ブランド。特に2003年に発売された初代『EOS Kiss Digital』は、入門機とは思えぬ高性能を格安価格で提供し、以降のデジタル一眼レフ普及を加速させたモデルだ。もちろん、今回シリーズとして初めてミラーレス化を果たした『EOS Kiss M』にもそのDNAは息づいており、上表(ミラーレスカメラ上位モデル『EOS M5』との比較)のようにスペック面で不満を感じることは全くない。しかも安い。

そのうえで、『EOS Kiss M』が単なる廉価な高性能モデルではないことを強調しておきたい。エントリーユーザー向けシリーズならではの、よりカジュアルに使える多くの工夫が盛りこまれているのだ。各撮影モードの効果を図版とテキストで確認しながら撮れる「ビジュアルガイド」や、オート撮影ながら自分なりのこだわりも盛りこめるセミオートモード「クリエイティブアシスト」などはその一例。Wi-Fi(NFC対応)やBluetoothを駆使したスマホ連携など、最近流行りの機能もしっかりフォローしている。特に撮った写真が自動的にスマホに転送される「撮影時スマホ自動送信」機能は便利。レンズ交換式カメラの高クオリティ写真をスマホのカメラのようなライブ感でSNSに投稿できるわけだ。

そのほか、シンプルなボタン構成や、自撮りしやすいバリアングル式モニタ搭載など、ハードウエア面での使い勝手もエントリー層向きと言えるだろう。これが初めてのレンズ交換式カメラという人でも違和感なく使いこなせるはずだ。

だからといって中級者以上にはお勧めできないかというとそんなことはない。画質面では新映像エンジン「DIGIC 8」の恩恵によるクリアな高画質が好ましかった。AF精度、速度も従来モデルと比べて劇的に伸長している。また、DIGIC 8の搭載に伴って導入された「C-RAW」フォーマットは、これまでのRAWデータと比べてファイルサイズが6割程度にまで軽量化。たくさん撮ってもメモリーカードを圧迫しないので、本格的なフォトレタッチに挑戦したい(している)という人にも朗報と言えるだろう。

コンパクトカメラかと見紛う小型&軽量ボディ

本体重量はレンズ抜きで約387g。ダブルレンズキット付属のズームレンズ『EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM』(130g)を装着しても計517gしかない。一眼レフカメラの『EOS Kiss X9』と比べても本体サイズは一回り小さい。これなら日々の持ち歩きがストレスになることは全くないはずだ。

エントリー層に向けた使いやすさを追求

上位機『EOS M5』では2系統用意されている電子ダイヤルは1系統へ。そのぶん全てのボタン類が右手側に集中し、片手での操作が容易になった。
『EOS M5』ではモニタがレンズ光軸上に並ぶチルト式だったが、本機では上下・手前方向に回転するバリアングル式に。撮影自由度が大幅アップした。

エントリー機ながら上位モデル超えの性能

本機から採用された新映像エンジンの「DIGIC 8」にも注目したい。ISO感度が向上し、耐ノイズ性が改善されているほか、シリーズ初の4K動画撮影にも対応するのも特徴だ。
全画素が位相差AFセンサーとしても機能する「デュアルピクセルCMOS AF」は、「DIGIC 8」との組みあわせでさらに強力に。フォーカスエリアが縦方向約100%、横方向約88%にまで大きく拡がっている。

スペックだけではない納得の高画質



ダブルレンズキット付属ズームレンズ『EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM』での作例。f=24〜72mm相当と広角側が広いため、ワイド感の表現もしっかりこなす(下写真は望遠端)。周辺部にわずかな歪曲が見られるものの、全体的な印象は極めてシャープだ。色のりも自然。


ダブルレンズキット付属の単焦点パンケーキレンズ『EF-M22mm F2 STM』での作例。F2の明るさを活かした大きなぼけ表現を楽しめる。最短撮影距離も15cmと非常に短いので、作例のように被写体に近寄ったマクロ的な撮影も可能だ。

レンズマウントはEF-Mマウント。一眼レフカメラで使われているEF(EF-S)マウントとは構造が異なるが、別売のマウントアダプタ『EF-EOS M』(実勢価格:1万540円)を介することで、多彩なキヤノン製レンズがそのまま使えるようなる。
EF-Mレンズも徐々に数が増えてきており、望遠ズームレンズやワイドズームレンズ、ライト付きマクロレンズと、一般的な撮影に必要なレンズはひと通り揃ってきた印象だ。当然、EF-Mレンズの方が小型・軽量だし、AF速度・AFエリアなども向上するので、原則的にこちらをおすすめしたい。

 

『デジモノステーション』2018年6月号より抜粋。

関連サイト

EOS Kiss M(キヤノン)