新世代『iPad』のキーワードは「教育」。m-flo ☆Takuが考えるICT教育の未来

m-flo ☆Takuのare you Apple holic ?

音楽界きってのガジェットマニアと称される☆Taku Takahashiが、アップルの話題をディープに語る連載。3月末に新『iPad』が発表され、そこでは「教育」というキーワードが掲げられていた。
これから、ガジェットは教育の場にどんな影響をもたらすのか。

新『iPad』登場。アップルが考える教育ってなんなのか?

──今回は、本題に入る前に、先日発表された『iPhone 8』の新色、(PRODUCT)RED(☆1)について感想を聞かせてください。以前、☆Takuさんがリクエストしていた赤×黒がついに実現しましたね。

黒くなりましたね。間違いなくこっちのほうがかっこいいです。特に男性は選びやすくなったのではないでしょうか。ただ、どうせならこれを昨年9月のタイミングで出してほしかった。さすがに『iPhone X』に買い換えて半年のタイミングでは手が出せません(笑)。

☆1 (PRODUCT)RED

収益の一部をエイズや結核、マラリアの対策基金に寄付するという、メーカーの垣根を越えた世界的な取り組み。アップルは2006年に発売した第2世代『iPod nano』から積極的にこの取り組みに参加し続けている。

──どうしてそうしなかったのかが謎ですね。

本当に。そして、謎と言えば、どうしてこれを新しい第6世代『iPad』(☆2)の発表会で取り上げなかったのかも謎です。発表会が「教育」に特化したものだったからというのは分かるのですが、(PRODUCT)REDも社会貢献活動の一端なのだから、そこで発表しても違和感はなかったのでは? 僕の周りには今回の発表を期待外れだったと言っている人が多かったのですが、それより盛り上げ方に問題があるような気がします。

☆2 第6世代『iPad』

この4月に『iPad』が新生代へ。価格据え置きながら(実勢価格:4万824円〜)、CPU機能強化と、従来は倍近い価格の『iPad Pro』専用だったApple Pencil対応を果たした。外観などは全く変わっていない。

──先月お話した『MacBook Air』の後継機に期待していた人は肩すかしでしたよね。ただ、Apple Pencil対応などで買い得感が大幅にアップした新型『iPad』はものすごい好評らしいですよ。これは主に教育市場に向けたアップデートらしいですが、☆Takuさんは、iPad×教育についてどのようにお考えですか?

これからそういう時代になっていくということです。海外では私立校を中心にiPadなどを積極的に導入するところが増えていますし、この流れは今後ますます加速していくでしょう。iPad+Apple Pencilの良いところは、教科書や資料と、手書きのノートを1つのハードウエアにまとめられること。そして、その便利さが一度使うだけですぐに分かるということです。

──教育市場で先行しているGoogle勢のChorme OSもこの春にペン入力対応のタブレットを投入するようですね。やはり教育にはペンが必須なのですか?

キーボードで入力するのと比べて、ペンで書いたほうが記憶に残るということは、既に海外の研究で実証されているそうです。また、僕自身、昨年11月に『iPad Pro 10.5』を購入して、『Apple Pencil』(☆3)を使い始めているのですが、タイピングよりもペン入力のほうがイメージが沸きます。

☆3 Apple Pencil

限りなく実際のペンに近い書き味を追求したアップル純正のiPad専用ペン。ハードウエアレベルでのペン対応を実現したことで、それまでは不可能だった、細かい書き込みや筆圧・角度検知なども可能になった。1万800円(税別)。

──☆Takuさんも『Apple Pencil』愛用中なんですね。具体的にはどんなことに使っているんですか?

楽曲を作ったり、スタッフにライブ会場のイメージを伝えるときなどにペンを使っています。これまでは紙に書いていたのですが、紙だと書いては消して、書いては消してとやっているうちに紙がグチャグチャになってしまうんです。試行錯誤したい時にはデジタルのほうが向いていると思います。あとは僕が運営しているWebメディア『block.fm』の打ち合わせ時にWebページのワイヤーフレームを書いたりするのにも使っています。

──特に不満はない?

『Apple Pencil』のキャップをなくしやすいのと、充電しにくいのは問題だと思います。そして何より高価すぎ。発表会ではサードパーティ対応の低価格ペンが発表されましたが(ただしBluetooth接続非対応=筆圧検知非対応)、純正ペンもあれくらいの価格で出さないと。

──ハードに使っている人ほど、『Apple Pencil』への不満が多いようですね……。さて、ちょっと話が脱線したので、「教育」の話に戻しましょう。タブレットを教育で使うメリットはほかにもありますか?

インターネットに接続して、通信教育が受けられるのも大きなメリットだと思います。欧米では今、『KAHN ACADEMY』(☆4)という非営利の教育団体が注目を集めているのですが、これはあらゆる分野の授業動画を無償で試聴できるという画期的なもの。授業の中にはピクサーのスタッフが先生になってストーリーテーリングについて学べるというものもあったりします。

☆4 KAHN ACADEMY

米国の実業家サルマン・カーンが非営利で立ち上げた教育団体。Web上で小学生〜高校生向けの講義ビデオとオンラインテストを無償で受講できる。まだ動画本数は少ないものの日本語音声版の提供も始まっている。

──うわ、それは今からでも受けたいですね!

すごいでしょう? 僕も自分が子供のころにこれがあったら使いまくっていたでしょう。より効率良く受験勉強を“ハック”して、もっと良い点数を取っていたんじゃないかと悔しくなります(笑)。

──今の子供がうらやましいですね。

きっと、そのうち、紙の教科書を知らない世代もでてくるでしょう。SF映画で未来の人類が紙の本を見つけて大興奮するようなシーンがありますが、そういう時代が本当にやってくるのでしょう。

☆Taku Takahashi(m-flo,block.fm)/音楽家、DJ。1998年にVERBALとm-floを結成。m-floデビュー20周年となる2018年は、オリジナルメンバーのLISAが復帰し、3月に「the tripod e.p.2」をリリースした。個人では加藤ミリヤ、MINMIなどのプロデュースを務め、テレビドラマ『信長協奏曲』『人は見た目が100パーセント』などの劇伴を担当するなど、その活動は多岐に渡っている。自身が運営するダンスミュージック専門インターネットラジオ「block.fm」は開局から6年目の今も、音楽の新たなムーブメントを発信し続けている。

『デジモノステーション』2018年6月号より抜粋。