『iMac』誕生から20年。m-flo ☆Takuが語る私的「iMac」史

m-flo ☆Takuのare you Apple holic ?

音楽界きってのガジェットマニアと称される☆Taku Takahashiが、アップルの話題をディープに語る連載。
その登場に世界が沸き立った『iMac』の登場から今年5月で20年。デビュー前の青年☆Takuはこの事件をどう受け止めていたのか。

祝20周年。iMacは世界の何を変えたか

──今からちょうど20年前、1998年5月6日、スティーブ・ジョブズが初代『iMac』(☆1)を発表しました。そのとき、☆Takuさんは何をなさっていましたか?

m-floが結成される直前です。横浜の自宅で、ひたすらデビューへの準備をしていました。当時使っていたマシンは『Power Macintosh 8100』。以前もお話しましたが、この頃は音楽制作と言えばMacだったんです。

☆1 初代『iMac』

1998年5月6日に発表され、同年8月に発売されたCRT一体型Mac。シドニーの海の色を模したという半透明カラー(ボンダイブルー)が世界的に話題となった。10万円以下という低価格ながらマシンパワーも高かった。

──このマシンを見て、欲しいと思いましたか?

ボンダイブルーのカラーリングが斬新だと思いましたし、同時に初代『Macintosh』という原点に立ち返った感じもあって、とても面白いと感じました。特に翌年1月にキャンディーカラーの新型(☆2)が登場した時は、「これはゲームチェンジャーになるな」と確信。これまでのPCとは全く異なるテレビCMも面白かったです。アップルのプロモーションのトンマナ(トーン&マナー)が確立されたのはこの時期でした。

☆2 キャンディーカラーの新型

初代モデルはボンダイブルー1色のみだった『iMac』だが、1999年1月に発売された2度目のマイナーチェンジ版で、本体カラーが一挙5色に。以降、より透明度を高めた新色や、「花柄」「犬柄」なども登場している。

──当時は(今でも?)あれができます、これができますといった機能訴求のCMが当たり前でしたから、『iMac』のCMの独創性には驚かされましたね。そして、☆Takuさんは、その後、『iMac』を購入していますか?

実は第1世代モデルは買っていないんです。当時は、もっとパワーのある『Power Macintosh G3』などを必要としていたので。ただ、それと非常によく似た外観・カラーリングの外付けCRTディスプレイ『Apple Studio Display』は仕事用に購入しています。

──そんな☆Takuさんが「iMac」デビューを果たすのはいつ頃になるのでしょうか?

その少し後、2002年に発売された第2世代目の『iMac G4』(☆3)を購入しました。スタジオにはもっと高性能なMacがすでに存在していたのですが、音楽制作以外のWebブラウジングや事務用途にああいった一体型のコンパクトなマシンがほしいな、と。当時は、一体型PCブームがやや下火になっていて、『iMac G4』ほどコンパクトな製品が珍しくなっていたんです。

☆3 iMac G4

ディスプレイをCRTから液晶に変更。半球形の本体からディスプレイ部分が突き出しているような独自の形状に進化した。ディスプレイ部分は可動アームで接続され、好みの高さと向きに自在に変更することができた。

──その後、アップルは数度の大幅なモデルチェンジを行い、今日まで「iMac」シリーズを途切れさせることなく進化させてきました。そうした製品群のなかで、最も印象に残っている製品はどれですか?

最新の『iMac 5K』(☆4)です。『iMac G4』は音楽制作には使っていませんでしたが、『iMac 5K』は作曲にもしっかり使えるハイパワーも魅力。いつもお話しているよう、出先では『MacBook Pro』を使っていますが、SSDの容量面で不足があるため、より多くの音源データを使いたい時は『iMac 5K』が必要になります。

☆4 iMac 5K

液晶一体型のデスクトップPCとしては最大クラスとなる27型Retinaディスプレイを搭載。5120×2880ドットという超高精細表示が「5K」という名称の由来だ。光学ドライブを排することで、最薄部5mmを実現している。

──プロクリエイター向けを謳っている『iMac Pro』についてはどのように評価されていますか?

素晴らしいマシンだと思いますが、音楽制作くらいの用途だとコスト的に見合いません。ちなみに、コストにとことんこだわるならWindowsマシンのほうが安いのですが、それでもあえてMacを選んでいるのはmacOSが世界最高の作業環境だから。10年以上前に、一度だけWindowsに浮気したことがありますが(笑)、今では再びMacに戻ってきています。

──今後、「iMac」にはどんな進化を望みますか?

う~~ん……もう充分に完成しているので、時代に合わせてスペックアップだけしていってくれれば。強いて言えば、もっと薄くなってほしい……? 特に必然性はないです。そのほうがカッコいいからというくらい。Macに関して言うと、最近は斬新なことをするたびにコケるので、余計なことはしないほうがいいのかも。僕は好きなんですけど「TouchBar」とか(笑)。

──ノート型のUSB-Cオンリー展開も、今のところ好評とは言いがたいですよね……。

そのうえで、今後は本来狙っていたエントリー層に力を入れるべき。より安くて、優れた入門機を作って、より幅広い層にMacを広めていくべきでしょう。「iMac」にはもう充分なブランド力があるので、ちょっと安くなったくらいではもう「安物」なんて言われることもありませんから、自信をもってやってほしい。

──最後に、☆Takuさんから見て、「iMac」が世の中にどういった影響を及ぼしたかを教えてください。

今、話したこととも被るのですが、『iMac』そして、『MacBook Air』(2008年)は、アップルにとって極めて革命的な製品。この2つが、Mac体験をとても身近なものにしてくれました。「iMac」がWindows一辺倒だった世界を変えたと言えますよね。

☆Taku Takahashi(m-flo,block.fm)/音楽家、DJ。1998年にVERBALとm-floを結成。m-floデビュー20周年となる2018年は、オリジナルメンバーのLISAが復帰し、3月に「the tripod e.p.2」をリリースした。8月には『FUJI ROCKFESTIVAL 2018』『SUMMER SONIC 2018』への出演も発表。個人では加藤ミリヤ、MINMIなどのプロデュースを務め、テレビドラマ『信長協奏曲』『人は見た目が100パーセント』などの劇伴を担当するなど、その活動は多岐に渡っている。自身が運営するダンスミュージック専門インターネットラジオ「block.fm」は、開局から6年目の今も音楽の新たなムーブメントを発信し続けている。

『デジモノステーション』2018年7月号より抜粋。