“当たり前”がこんなに違う。いろんな国の文化の違いが見える『くらべる世界』|親と子のブックシェルフ

本は、未知なる世界に連れていってくれる身近なアイテム。とはいえ、毎日たくさんの新しい本が発売されているし、名作も合わせるとその数は果てしなく、いったい何を選んでよいものやら……。子どものため、そして、自分のために連れて帰りたくなるステキな1冊————。今回は、『くらべる世界』をどうぞ。

「じゃんけんは万国共通でグー×チョキ×パーだと思っていた!」

「ストライプのネクタイに英国式と米国式があるなんて想像もしなかった!」

「三頭身の雪だるまが存在するなんて!」

一度も疑うことなく、「当たり前だ」と認識していたあれこれが、実は「そうではなかった!」という事実。それを教えてくれるのが、この『くらべる世界』。パッとページを開くと、「日本のあれと外国のそれ」や「Aという国のこれとBという国のそれ」を4ページにわたって対比している内容だ。

試しに、カバーでも取り上げられている「じゃんけん」のページを見てみよう。最初の左ページにはフランス式、そして右ページにはインドネシア式のじゃんけんの写真がどーんと掲載され、さらにページをめくるとそれぞれの解説に加えて、もうひとつ、私たちにとって不可思議なじゃんけんをする国について記されているのだ。

ちょっとだけネタバレをすると、フランス式はグー(石の意)×チョキ(ハサミの意)×パー(木の葉)のほかに、ピュイ(井戸の意)がある。なんで、井戸!? と驚かされるが、その理由より「4つも“手”があって、どう勝敗が決まるの?」とモヤモヤさせられる。次のページで解説がなされ、日本のじゃんけんと同様、グーはチョキに勝ち、パーに負け、チョキとは相子になる。チョキとパーも同様に一勝一敗一引き分けなのだが……そこにピュイが加わると……?

驚くことに「ピュイ(井戸)は石とハサミを沈められる」ため、グーとチョキに勝つことができる。でもパーに対しては「井戸の入口は木の葉に塞がれてしまう」ので負け! つまり、パーとピュイは4つのうちふたつに勝つことができるけれど、グーとチョキは4つのうち、ひとつにしか勝てないという……なんとも“不公平なじゃんけん”なのだ。

と、言葉で説明するよりも、試せば、その不公平さは一目瞭然。インドネシア式にもトライすれば、じゃんけんにも、もっと興味がわいてくる。

そんな、思わずトライしたくなる事例は先述含め、全部で33項目。「あやとり」だって、全世界に存在するようで、その数はなんと約3000! また、カレンダーにもフランス式とドイツ式があるなんて!

さらには、スペインとフランスのオムレツ、中国とアメリカのカップヌードル、日本とアメリカのクリームソーダーの色、はたまた、コントラバスの演奏法の違いなんてものまで、食文化や遊び、ファッション、建築など、実にさまざまなジャンルが掲載されている。しかも、本としてはジャンルごとに章立てしているのではなく、五十音順に掲載されている。このシンプルさが心地よく、「次はなにかな?」とページをめくるのがとにかく楽しくなるはず。

“くらべる”ことで、未知なる文化を知るという“きっかけ”が生まれ、探究心がムクムクとわいてくる。1冊めくり終えると「もっとくらべたい!」なんて気分になってくるけれど、そんなときには、これまでに発行された他のシリーズを手に取ってみてはどうだろう。『くらべる東西』に『くらべる時代 昭和と平成』『くらべる値段』と、どれも「おおっ!」と興奮するネタが豊富につまっている。

『くらべる世界』(東京書籍)
おかべたかし 文
山出高士 写真
価格:1300円