大人も子どもも熱くなれるRed Bull Air Raceのスゴさ

去る2018年5月26日(土)〜27日(日)、“空のF1”とも称される「レッドブル・エアレース」の第3戦が、千葉県千葉市の幕張海浜公園で行われた。2017年には、日本人パイロットの室屋義秀選手が千葉大会での優勝とシーズン総合優勝を果たしたことに加え、2018年は日本での開催が4回目を迎え、エアレース自体の盛り上がりもさらにヒートアップ。なぜって、その華麗な空のバトルは、大人はもちろん、子どもだって熱くなってしまうものなのだから──。
Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

驚異のテクニックで1/1000秒を競う三次元モータースポーツ

日本での開催が2018年で4回目を迎えた「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」。ちょうど1年前の2017年、室屋選手が母国・日本で2連覇を果たしたことが大きなニュースとなったので、このレースの存在自体を知っている人も、けっして少なくないはずだ。

Jason Halayko / Red Bull Content Pool
Mihai Stetcu / Red Bull Content Pool

レッドブル・エアレースとは、世界のトップクラスに位置する14人のレースパイロットが、小型・軽量のレース専用機を操縦し、最高時速370km、最大重力加速度12Gのなかでタイムを競う、国際航空連盟(FAI)公認のレース。2003年にスタートし、一時期、2011年から2013年までシリーズは休止されたが、2014年に再開した。

「民間航空発祥の地」でもある千葉市では、このレッドブル・エアレースを誘致する段階から、官民一体となって取り組んできた。その成果は来場者数にもしっかりと表れ、4年目となる今大会は2日間でのべ約7万人が観戦。飛行機好きの大人はもちろん、子どもたちも、なかなか目にすることのない超絶フライトに大興奮したはずだ。

Samo Vidic / Red Bull Content Pool

観るだけでも熱くなる。ルールを知るともっと熱くなる!

機体が、空気で膨らませた高さ25mのパイロンをすり抜けてレーストラックを飛び回る光景を観るだけでも、レッドブル・エアレースは十分にエキサイティングだ。しかし、エアレースはモータースポーツだけに、競技者たちの安全を確保するためにも厳格なルールが設定されている。それを理解したうえで観戦すると、エアレースの楽しみはさらにアップする。

Jason Halayko / Red Bull Content Pool

まず、機体がスタートゲートを通過してコースに進入する際の速度は、200ノット(時速370km)に制限されている。このリミットを超えてスピードが202ノット未満で通過した場合はプラス1秒のペナルティが課せられ、202ノット以上になるとDNF(Do Not Finish=途中棄権)となる。

またコースインする際には、管制塔からパイロットへ「スモークオン(=発煙開始)」の指示があり、レース機はスタートからフィニッシュゲートを通過するまでスモークを出さなければならない。スモークが出なかった場合は、プラス1秒のペナルティが課せられる。

Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

そんなスタート/フィニッシュゲートを含む、水平ゲート(2本のパイロン)の間を通過する際には高度規定がある。フライト・ウィンドウ(パイロンに施されたチェッカーや赤い部分。高度15〜25m)よりも高い位置や、低い位置を通過した場合はプラス2秒のペナルティ。さらに、ゲートは水平に通過することが定められており、主翼が水平からプラスマイナス10度以上傾いて飛行した場合や、ゲート通過中に機体が上昇/下降した場合にもプラス2秒のペナルティとなってしまうのだ。

Joerg Mitter / Red Bull Content Pool
Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

機体の翼長は、現在、多くのパイロットが使用している「EDGE 540 V3」で7.44m。2本のパイロンの間(約13m)を猛スピードで、しかもルールに従って通過するには相当のテクニックが必要になる。ゆえに、レース中は“パイロンヒット”することもしばしば。主翼がパイロンを切り裂く瞬間は、観客にとっては実にエキサイティングなシーンのひとつだが、これもペナルティの対象。1回目のヒットでプラス3秒、2回目のヒットでプラス3秒、3回目にヒットするとDNFとなる。当然のことながら、規定のレーストラックから外れた場合もDNFだ。

Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

そして、バーティカル(=垂直)ターンの際にも厳格なルールが。規定の旋回から外れた場合は1秒のペナルティが加算され、逸脱が大きい場合はDNFとなる。また、ターンのときの重力負荷にも制限があり、0.6秒以上10Gを超える負荷をかけた場合は“オーバーG”としてプラス2秒のペナルティ、最大荷重制限である12Gを超えてしまった場合はDNFとなる。

このように、レッドブル・エアレースのルールは極めて厳格。でもパイロットたちは、テクニックを駆使してその厳しい条件のなかで競っているからこそ、僕らもスリリングなレースを楽しめるってわけだ。

Samo Vidic/Red Bull Content Pool
Mihai Stetcu/Red Bull Content Pool

シーズンは後半戦に突入。今から観戦すると、もっと熱くなる!

2018年シーズンは、第3戦の千葉大会、そして6月24日(土)〜25日(日)にハンガリーのブダペストで行われた第4戦が終了。8月25日(土)〜26日(日)にロシア・カザンで行われる第5戦からは、いよいよ後半戦に突入する。

Mark Somay / Red Bull Content Pool
Balazs Gardi/Red Bull Content Pool

残念ながら、第3戦、第4戦ともに、室屋選手はオーバーGで失格。第4戦は今シーズン好調のマット・ホール選手(オーストラリア)とマイケル・グーリアン選手(アメリカ)のいずれかが制すると思われたが、今大会ではマルティン・ソンカ選手(チェコ)が優勝、ミカエル・ブラジョー選手(フランス)が2位となった。

これによりシーズン総合では、現在、ホール選手が1位。室屋選手は5位となっている。しかし、レース当日の天候(風速)やコースレイアウトで結果が大きく変わってくるのがレッドブル・エアレースの面白さだ。

Joerg Mitter / Red Bull Content Pool
Balazs Gardi/Red Bull Content Pool

レースの模様は「NHK BS1」をはじめ、「J SPORTS」「DAZN」で視聴できる。華麗でスリリングな空のバトルは、大コーフン間違いなし。8月のカザン大会、子どもと一緒に、テレビの前で室屋選手を応援してみない?

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