コンセプトは“お茶を愉しむ”。浜松「星野リゾート 界 遠州」は到着から出発前までお茶尽くしの宿だった!【日本茶レボリューション】

これまでの常識を覆す、新しくて深淵なる“日本茶”の世界
【日本茶レボリューション】

ペットボトルの日本茶が登場して今年で28年。自販機には必ずといっていいほど日本茶があり、もはや“自分で淹れる”のではなく、“買う”のが当たり前 ———— もしかすると……自分で淹れるどころか、親が淹れている姿も見たことないなんてヒトもいるかも。時代とともにライフスタイルが大きく様変わりし、あれこれ便利になったはいいけれど、「湯を沸かし、ゆったりとした気持ちで日本茶を淹れ、それを憩いながら飲む」という時間が失われてしまっているのでは? だからこそ、そんな時間と様式を取り戻そう……というのではなく!(いや、それもあるが)今、“新たな魅力ある嗜好品”として日本茶への注目度が高まっている。茶葉の選び方、抽出方法、そしてそれらをどうアピールするか? そのあたりがなんとも斬新で好奇心をくすぐられてしまうのだ。だが、そこには代々受け継がれてきた、真摯な茶葉づくりがあってこそ!まさに温故知新でレボリューションな“ジャパニーズ・ソウルティー”こと日本茶ライフ、はじめませんか!

ひたすら日本茶に浸る宿

Part2 星野リゾートが演出する新たな出会い
温泉宿では、まずは日本茶でもてなされることが多く、茶をすすると心が落ち着き、旅への期待がふくらむもので……そんな和みを堪能するべく、静岡・浜名湖畔へと足を運んだ。“お茶を愉しむこと”をコンセプトにした癒しの宿へ――

星野リゾート 界 遠州

温泉旅館


静岡県
住所:静岡県浜松市西区 舘山寺町399番地の1
電話:0570-073-011(界予約センター)

ひたすら日本茶に浸る宿

夏の日差しの中、訪ねると、まずは冷たい天竜茶と三ヶ日蜜柑のサブレでもてなされる。薄明かりの中、ロビーにはほのかな茶の香りが漂い、その香りをたどると、さり気なく茶香炉が配されていた。「界 遠州」に入った途端、お茶の世界へと自然に導かれる仕組みだ。

ここで、「さっそくお部屋へ」は気が早い。「界 遠州」自慢のおもてなし“美茶楽”(ご当地楽)を愉しむべし。まずは地元のお茶を三種類、煎茶・碾茶・抹茶の順でいただく。さらに夏の看板「氷点て抹茶」へ。冷水で点てた抹茶が存在するとは! 目にも涼しく香気が爽やか。夏らしいすっきりした味わいだ。これらを自分で淹れるという趣向で、サービスマネージャーが丁寧に教えてくれる。つい、人に語りたくなる、日本茶の知識が身につくこと請け合いだ。

さて。いっぱしの日本茶通を気取りつつ部屋へと向かう。茶三昧を堪能すべく、特別室「遠州つむぎの間 茶処リビング付き和室」を奮発した。ここは客室内でもお茶を堪能できるよう、IHヒーターやシンクを備えた茶処カウンター付き。

すっかり日本茶の洗礼を受けた身としては、鎮座する“重厚な南部鉄瓶”に心が逸る。しかも到着時や就寝前、起き抜け……など、滞在シーンに合わせて数種類の茶葉・茶器・お茶請けが用意されているとは。さすがは界! 茶三昧にイツワリナシ!

と、興奮したところで大浴場に。舘山寺温泉ならではの無色透明なすべすべの湯に浸かっていると、時間が止まったような心地になる。脱衣所のコスメ、湯上がり処の解説板なども、お茶にまつわるものばかりだった。

夕食は、先付から甘味まで贅を尽くした会席料理スタイル。七種の料理をティーツリーのように二段に盛り付けた「宝楽盛り」を筆頭に、茶をいかした料理もふんだんに並ぶ。

ふと、メニューの「お茶コース1,230円」に目を奪われた。「食前 煎茶/宝楽盛り 棒茶/台の物 玄米茶/甘味 抹茶」とな。ほう、料理に合わせて、4種類のお茶を用意してくれるのか。まるでソムリエがワインを選ぶかのように。たしかに料理に合わせたお茶でいただくと、お味も一段と冴える。お茶ながらも酔ったような心地になって、食事処をあとにした。

すべての客室から浜名湖を望むことができる。

おだやかな時間もあっという間に流れ、さわやかな朝。チェックアウトのロビーには、女性のふたり組が多い。なぜ女性が多いのだろう。健康や美容を求めて? ある方に声をかけてみると、「そうですねぇ、癒しですかねー」。

そう、日本茶は心を癒してくれる。つべこべ言わず、まずは一服のお茶に身をゆだねたらいい――。

日本一のお茶処である静岡で、徹底したお茶尽くしの演出にこだわった「界 遠州」に滞在して、とてもシンプルな結論にたどり着いたのだった。

煎茶の合組(ブレンド)&氷で抹茶を点てる


「界 遠州」ならでのもてなしのひとつが“美茶楽”。煎茶の淹れ方を教わったり、珍しい「氷点て抹茶」を体験したり。目にも涼しげなガラス製の抹茶碗は、地元作家によるオリジナル。冷水で抹茶を点てると、渋みや苦みがなく、すっきりした味わいに。さらに夏らしいのは、煎茶をあしらったかき氷。お茶焼酎もお試しを。

碾茶から抹茶に変身!

これぞ大人のかき氷

涼茶ミストとパックで湯上りの肌を癒す


大浴場は「湖都の湯」と「華の湯」があり、時間で男女入れ替え制。浜名湖を望む檜の湯船に浸かる。しっとりと肌になじむ泉質。火照った肌には、緑茶エキス配合の化粧水を使った「涼茶ミスト」を。

緑茶が光る食のあれこれ


甘味は「緑茶あんみつ」がマスト。織部の碗には、そうめん状にした山芋に雲丹とイクラを乗せ、茶をあしらって。浜名湖畔という土地柄、鰻やふぐ料理も名物。

お茶請けには「和ピクルス」が用意されている。これまた静岡県産だ。

限定一室、茶処リビングの客室に

茶処カウンターは特別室のみに。障子で隠れる造りが凝っている。ベッドも特別仕様。窓側にはソファが配されている。お茶の味わいと香りに満たされ、くつろぐ時間は至福そのものだ。

目覚めを促す、果実茶〜フルーティ〜

書架があって、読書に最適なスペース「トラベルライブラリー」。朝になると、オリジナルのフレーバーティーが用意される。

 

『デジモノステーション』2018年8月号より抜粋。