デビュー35周年の節目に登場した5000系フルメタルGって、とっても革新的!|やっぱりG-SHOCKが好き。

『G-SHOCK』は、僕らにとって最もリアルで、最も身近に感じられるプロダクトの筆頭に挙げられるはず。なぜって、子どもの頃からG-SHOCKは「タフな腕時計」の代名詞として存在。アクティブなシーンでも正確に時を伝えるツールとしてはもちろんのこと、ファッションやカルチャーともシンクロすることでオンリーワンの魅力を放っているのだから──。2018年、G-SHOCKは誕生から35周年の節目を迎えたが、その勢いはますます加速するばかり。そこで、全4回にわたってプロダクトの信頼性や革新性、今日まで続くチャレンジングな姿勢を浮き彫りにしながら、改めてG-SHOCKの魅力を感じていこうと思う。第1回目は、35周年の節目に登場し、爆発的なヒット作となった『GMW-B5000D』のハナシ。フルメタル化によって実現したクールなルックスにももちろん惹かれるけれど、先進の機能や製造工程を知れば知るほど、このモデルをどうしても手にしたくなる!

始まりは、2015年の“金無垢G-SHOCK”

G-SHOCKのORIGINである『DW-5000C』のデザインをベースに、外装をフルメタル化した『GMW-B5000D』。G-SHOCKのデビュー35周年となる2018年4月に発売されるや瞬く間に店頭から姿を消し、その後も入荷はされているものの、いまだに予約待ちが続く大ヒットモデルだ。開発の経緯について説明するのは、カシオ計算機 時計企画統轄部 商品企画室の泉 潤一さん。それは今から3年も前にさかのぼる。

「そもそもGMW-B5000Dの開発は、“G-SHOCKの生みの親”である弊社の伊部菊雄が『DREAM PROJECT DW-5000 IBE SPECIAL』というコンセプトモデルを製作したことが発端です。これは2015年のバーゼルワールドで発表され、外装やバンドまですべて金無垢で製作された非売の1点モノでしたが、このモデルを端緒に“ORIGIN”の外装やモジュールを常に進化させていこうという流れになりました」

「2015年にそのコンセプトモデルを製作したとき、G-SHOCKをメタルで実現させるための設計は行っていました。でも、素材は金無垢。しかも1本しか作れなかったので、G-SHOCKの柱である“耐衝撃性”の検証はさすがにできなかったんですよ。その構造をどうにか商品化して活かしたいという思いがあって『金無垢が無理ならステンレススチールで作ってはどうか』という話になった。そこからフルメタルGの開発が本格的にスタートしたんです」

このように話すのは、時計開発統轄部 外装設計室に所属する横尾一将さん。ベースにコンセプトモデルがあるなら、ステンレスの開発はさぞかしスムーズにいったのでは?……と思わせるが、実際はそうもいかなかったようだ。金無垢G-SHOCKの製作を起点にフルメタルGが完成するまでには、約2年半を要することになる。

耐衝撃性実現のため、内部構造はイチから見直し

これまでG-SHOCKに採用されてきた樹脂と比較すると当然、ステンレスの方が耐衝撃性は高い。しかしその一方で、ステンレスは重量もあるので、落下時には相当の衝撃が加わることになる。G-SHOCKのフルメタル化に際しては、そこが最大のハードルになったのだという。

「G-SHOCKって設計思想は一緒なんです。2015年のコンセプトモデルも『MR-G』の構造を一部採用しているのですが、いざステンレスで検証してみると衝撃に耐えられないことが分かり、内部構造を見直したんです。GMW-B5000Dではモジュールを保護するケースがあって、そこにダンパー効果をもたらすクッション材をセットし、最後にベゼルを被せるというダンパー構造を採用しているのですが、この構成や形状は試行錯誤しましたね。外装だけはORIGINを踏襲しなければいけないというコンセプトがあったので、それを守りつつ、内部をいかにアレンジして成立させるかが大変でした」(横尾さん)

「時計の機能を損ねてはいけないので、私たちはそれを守るためにどうすればいいのかを考えなければいけない。このモデルでは赤いクッション材の形状に試行錯誤を重ねましたが、この形状をコンマ1mm広げたり、狭めたりすることでどんな影響が出るのかについても検証しながら、この形状に落ち着いたんです」(横尾さん)

サイズは変わらないのに機能は大幅に向上

ルックスはORIGINを踏襲しながら、フルメタル化とそれに伴う設計の見直しで耐衝撃性を実現。一方で、機能も向上しているのがGMW-B5000Dの魅力だ。当然、機能が増えれば時計の心臓部であるモジュールにも影響を及ぼすはずだが、これについても、カシオがこれまでに培ってきた技術力が活かされている。

「GMW-B5000Dでは新たにBluetoothを搭載することでパーツが増えてはいるのですが、実装部分のサイズは変わっていないんです。限られた面積のなかでさまざまな配置の組み合わせを考えながら最良の配列をする“高密度実装”によるものです。エンジン部分はモジュールのチームが苦労しながら小型化を実現させつつ、外装の設計チームもそこに合わせるなど、双方が上手くシンクロしながら進んでいきました」(泉さん)

普段、僕らが何気なく手にしているG-SHOCKだが、そこには長い年月をかけて培われた信念や技術力がたっぷりと詰まっている。それは、現行の多彩なラインナップはもちろん、この最新モデルGMW-B5000Dでも同様だ。

「開発を続けていくなかでの次のステップは、やはり部品の小型化なんですよ。高機能化を目指すのであれば、ひとつひとつのパーツを小さくして、新しい部品を付け加えながら機能をアップさせていく……それを常に考えていますね」(泉さん)

最大の魅力は、ずーっと愛でたくなるケース&バンドの仕上げ

フルメタルの耐衝撃構造を開発するカシオの執念にも驚かされるが、なにより魅了されるのがそのルックス。マテリアルの一新による印象の変化はもちろん、GMW-B5000Dを手にして驚かされるのが、仕上げの美しさ。これが6万円なんて、アンビリーバブルだ!

「このモデルは、もともと樹脂モデルをベースとした形状なんです。それをステンレスで作るとなると、やはり加工がネックになります。通常、樹脂モデルの場合は金型を作り、そこに液体の樹脂を流し込む射出成形で製造します」(横尾さん)

もちろん、金属を射出成形することもできなくはないが、加工が難しくなるという判断から、GMW-B5000ではステンレスをプレスして成形する方法を選択したという。

「当然、1回のプレスではこの形状にできません。実は10回以上もプレスして、徐々にこの形状にしているんです。しかも、1回ごとのプレスのあとに、焼純しや研磨といったさまざまな工程を挟んでいます。それを10回以上繰り返し、最終的に仕上げの研磨を施して完成させているんです。その研磨も、形状が複雑な部分を磨くのはかなり大変。しかも、最後に研磨しただけだと磨き残しが出てくる。だから、プレスの合間にも研磨の工程を挟んでいるのです。製造には相当時間がかかっていますね」(横尾さん)

「また、ORIGINのバンドにはディンプル模様(バンド表面に施された丸い凹み)を施しているのですが、それをメタルのバンドピースでも再現しているのがポイントです。そして完成形を見ると、GMW-B5000Dは初めてG-SHOCKに触れる方にとってもインパクトがあるでしょうし、30代〜40代のG-SHOCK世代の方々が見ても『プラスチックがついにメタルになったか……』と、分かりやすい印象を抱いていただけるのではないかと思います。だからこそ、35周年企画のメインとしてG-SHOCKの誕生月(=4月)に発売したのです。今や5000シリーズは、国内はもちろん、海外でも人気が出始めています。このモデルをフックに、5000シリーズは今後もずっと進化していくでしょうね」(泉さん)

外装素材と耐衝撃構造だけではない、フルメタルGの進化

新たなマテリアルの採用と、それに伴う耐衝撃構造の一新により、細かな設計や性能も向上している。GMW-B5000Dは印象をがらりと変えただけではなく、性能面でも「最新にして最高のORIGIN」といえるだろう。

まず、フルメタル化に際しては、バンドの取り付け部も改良された。時計本体と同様、バンド部分も従来と同じ設計では耐衝撃性を確保できなかったようだ。

「G-SHOCKではケースとバンドの接続部分に若干のガタがあるのですが、それがショックレジスト構造の一部になっています。ケースとバンドは通常2本の足で接続しているのですが、GMW-B5000Dでは3本足構造にしました。というのもフルメタルなので、2本足だと落下時の衝撃でケースとバンドをつなぐ連結パイプがたわんでしまうのです。これを回避するために3本足構造にして、連結パイプにかかる衝撃を分散するようにしています」(横尾さん)

GMW-B5000DはBluetoothを搭載し、さらに標準電波(マルチバンド6)による時刻修正システムにも対応している。通常、樹脂と比較するとステンレスの電波感度は格段に落ちるのだが、このモデルでは感度を上げるために細かい工夫が施されている。

「金属に囲まれてしまうと電波を受信しにくくなるので、アンテナはモジュールのなかでも最も受信しやすい位置に配列しています」(泉さん)

また、GMW-B5000Dはディスプレイの視認性がアップしているのも特徴だ。

「最新モデルでは、新たに高コントラスト、広視野角のSTN液晶を採用しています。さらに、これまではソーラーパネルが1枚のガラスでできていたのですが、このモデルではフィルムソーラーに変更しています。フィルムは加工性が高いので中央に穴を空けられるようになり、結果、外光の反射を抑え、液晶の視認性を高めることができました」(泉さん)

「ORIGINを作ろうということは決まっていたけれど、外装もモジュールも、すべてが新規設計だった」と説明する泉さん(右)と横尾さん(左)。このステンレスモデルをフックに今後はさまざまなマテリアルによる5000系の展開も考えられるというし、実際、いろいろなマテリアルに目を向けているという。

デビュー35年の節目にフルメタル化を実現させたG-SHOCK。僕らの子どもたちが大人になったときには、いったい、どんなG-SHOCKが生み出されているのだろう?

カシオ
G-SHOCK GMW-B5000D-1JF

価格:6万4800円

G-SHOCK誕生35周年の節目に、原点のDNAを継承する形で生まれたスクエアモデル。ケースとバンドにはステンレススチールを採用し、それに伴って内部の耐衝撃構造も一新。機能面も充実しており、世界6局(日本2局、中国、アメリカ、イギリス、ドイツ)の標準電波を受信して時刻を自動修正する「マルチバンド6」を採用するのみならず、Bluetoothの搭載によりスマートフォンリンクにも対応。約300もの都市とオリジナルポイントのワールドタイム設定を可能にした。