時計ハカセが教える「間違いのない時計の選び方」って?【アンダー10万円で選ぶ腕時計】

【アンダー10万円で選ぶ 身の丈に合った腕時計】

もちろん、時間を知るだけだったら、今の時代、スマートフォンで十分だ。じゃあ、腕時計を着ける理由って? それは、オトコが身に着けられる、数少ない装身具のひとつだから。実際、社会人になって年月が経ち、「そろそろ、いい時計でも着けてみようか……」なんて考えが頭の中をよぎる人は多いはず。それは「人に見られる」ことの重要性を理解しているからだ。だからこそ、オトコはいい時計に興味を持ち始めるのだが一方で、腕時計に対して「ハードルが高い」と感じてしまう人が多いのも事実。この特集では「ちょっぴり頑張れば手に入る」アンダー10万円の腕時計を中心に紹介。「いい時計=ウン十万円、ウン百万円の高級時計」と捉えがちだけど、今や、アンダー10万円でも「ちゃんと見られて、満足度の高い」モデルは多い。さぁ、そろそろ「身の丈に合ったいい腕時計」を腕に、毎日の気分を上げていこうか!

“身の丈に合う腕時計”ってどんな時計!?

スマホに加えてスマートウォッチも普及し始めた今、背伸びも妥協もせずに満足できる腕時計とはどんなものなのか? 前ページまでに紹介した20モデルがその代表格と言える理由を、博識で知られる広田雅将さんが解説する。

【PROFILE】

広田雅将さん:腕時計専門誌「クロノス日本版」編集長
1974年生まれ。時計ライター/ジャーナリストとして活動する傍ら、2016年から高級腕時計専門誌『クロノス日本版』の編集長を兼務。国内外の時計賞の審査員を務めるほか、講演も多数。時計に限らない博識さから、業界では“ハカセ”と呼ばれる。本誌では「身の丈に合う腕時計選び」を連載中。

価格以上の価値を持つスタンダードクラスに注目

毎日フルに活用できる時計を、10万円以下で探す。腕時計を使ってこなかった人には、少し高めに思えるかもしれないが、今、最初の1本を探すのにベストなのが、まさにこの価格帯。広田さんも「市場が面白くなってきた」と注目している。

「10万円以下という価格帯は、ここ数年でバリエーションが充実してきました。決して高級時計の廉価版ではなく、独自のコンセプトを打ち出すものも増えていて、現在の軽自動車の市場にも似ています。スズキ『ハスラー』やホンダ『S660』のような、上位モデルにはないデザインや個性を備えた腕時計と言えるでしょう」

もちろん単に個性的なだけでなく、クオリティの面でもこの価格帯の腕時計は選ぶ価値があるという。

「最近は本当にハズレと感じるものが少なくなりました。どれを選んでも間違いはないと言えるほどです。そんな中でも注目すべきは、外装や文字盤の処理などでしょう。高級時計で採用されてきた技術が、このくらいの価格帯にも使われるようになっています。安い腕時計はメーカーが加工にコストをかけられないので、複雑なケース形状にできなかったり文字盤が単調だったりしますね」

愛着を持って長く使っていく上でも、最初から文字盤や外装のクオリティにこだわることは大切だ。

「ここ数年で外装のクオリティが格段に上がっていますね」

「いい腕時計を身につけるようになると、徐々に目が肥えてきてディテールが気になるようになります。腕時計は装身具としての側面もありますから、仕上げが優れたものを選べば満足度は確実に違ってきます。ダイバーズなど機能的なタイプでも、クオリティの高いモデルが増えていますよ」

こうした腕時計単体の見た目にこだわるのはもちろんだが、自分に似合うか見極めることも重要。広田さんは重視すべきポイントとして「使うシチュエーション」を挙げている。

「例えばすごく分厚くゴツい時計をスーツに合わせたら、シャツに引っかかってしまう。バックルがゴツすぎるとデスクワークでは邪魔になる。使うシチュエーションを考えるということは、そういう細部の使い勝手にも目を向けるということです」

また、着けていて疲れないことも大切だ。ケースとバンドの重量差やラグを含めた全長など、全体のバランスにも注目すべきだという。

こうした点に注意すれば、10万円以下で愛着を持てるベストな1本を見つけるのは難しくないだろう。決して高級と言える価格帯ではないが、自分の嗜好やこだわりをしっかり反映させられて、長く愛用していける。今、身の丈に合った腕時計を選ぶには、そんな視点が必要ではないだろうか。

「今は時計を持ってなくても済む時代。でも、そこにお金を掛けられる人は、プロダクトに対するこだわりやセンスがあるという印象を持たれるでしょう。それにこのくらいの価格帯は時計愛好家から見ても通っぽく思えるモデルが多い。さりげなく『わかってるな』と思わせられる点でも魅力的ですね」

間違いのない時計の選び方

装着シチュエーションを重視
腕時計を合わせる服装はもちろん、使う場面や具体的な状況(屋外、オフィスなど)に合わせて、サイズや細部のディテールを確認する。

ラグも含めた全長を見極める
ラグが長いと腕とケースの間に隙間ができやすい。逆にラグが短いとフィットしやすく、大きめなケースでもバランスよく収まる。

重さのバランスを確かめる
全体の重さだけでなく、ケースとバンドの重量比も重要。ケースが重いのにバンドが薄くて軽いと、腕元でズレやすく疲労しやすい。

実用性+αの面白さを備えるデザイン

高級時計の下位互換ではない、独自の魅力を打ち出すモデルが増加。デザイン面でも個性をはっきりと出しつつ、実用性やクオリティにも優れるため、高い満足感を得られる。

シンプルな中に光る美しい外装仕上げ

文字盤や外装のクオリティは、この10年ほどで格段にアップ。高級時計譲りの技術で細部まで手が込んだ仕上げを施してあり、特にシンプルなタイプはその美しさが目を引く。

モノとしての面白さを語れる機能性

ダイバーズウォッチやパイロットウォッチなどでも、10万円以下の高機能かつデザインが優れたモデルが増加。独特な形状やディテールは注目を集めやすい上、語れる要素も多い。

『デジモノステーション』2018年8月号より抜粋。