事業戦略から読み解け!新生ジャパンディスプレイ(JDI)が発表した5つの新製品/コンセプトの持つ意味とは

思わぬところから面白い未来像が提案されてきたな、というのが、2018年8月1日に開催された株式会社ジャパンディスプレイ(JDI)の戦略発表会「JDI Future Trip ~First 100 Days~」の率直な感想だ。

ソニー、東芝、日立など名だたる日本メーカーのディスプレイ事業を統合した企業とはいえ、部品ベースでの他社への供給を行うB to B事業を粛々と続けていく地味なメーカー……その殻を破る日はもう来ないではないかとさえ思っていた。そう、つい数時間前までは。

ここで発表されたのは、「モノづくりだけでないコトづくり」「“ディスプレイ”から“インターフェース”への移行」、そして「B to Cビジネスへの参入」といった、これまでのJDIからは考えられないような事業展開、そしてB to B参入に向けた5つの新製品・新コンセプト。

プレゼンテーションを行ったのは、本誌連載でもおなじみのJDI社 常務執行役員 チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)の伊藤嘉明氏だ。

テクノロジー企業としてのJDIが持つ遺伝子を引き継ぎながら、未来の世界を垣間見させてくれる“新生JDI”の新製品たち。さっそくダイジェストで紹介していこう。

HUD搭載スマートヘルメット『スパルタ』

コンセプト名『スパルタ』と名付けられたこのヘルメットは、バイクでの走行中に視界内へ速度メーターやGPS情報、着信・メールなどの情報を投影する「HUD搭載スマートヘルメット」だ。技術的には「車載ヘッドアップディスプレイ」に採用されているユニットを小型化したものが組み込まれ、走行時の視線を維持した状態で情報確認ができるメリットがある。

「高透過 透明カラーディスプレイ」を用いたレースカー走行実験

「スーパーフォーミュラ」に参戦する「DANDELION RACING(ダンディライアン レーシング)」と2018年7月に実施した、透過率80%の高透過・透明カラーディスプレイを用いた走行実験についても詳細が明らかにされた。

ヘルメットのシールドに重ねて装着された高透過ディスプレイには温度や燃費などの車両情報が表示され、こちらもやはりドライバーの視線移動が不要になるという。このテストはレースでの実装を想定し、富士スピードウェイにて行われたということだ。

鏡のイノベーション。数秒遅れの姿を映す『遅れ鏡』

通常時は普通の鏡だが、後ろ姿のスタイリングをチェックするときなど、カメラで撮影した映像を数秒遅れでディスプレイ表示として再生する『遅れ鏡』と呼ばれるデバイス。浴衣の帯を確認する際などに便利に使えそうだ。また、カレンダーや天気予報などの情報を表示する情報端末としての機能も持つという。

遅れ鏡の機能を持ったIoTフルハイトドアも

プレゼン壇上に設置されていたドアも、実はJDIが神谷コーポレーション湘南とともに開発した世界初のIoTフルハイトドア『FULL HEIGHT MILAOS(フルハイトミラオス)』だ。このドアには先の『遅れ鏡』と同様の機能が備わっており、出かける前に必要な情報を取得したり、自分のスタイリングを確認したりといったことができるようになる。

商品化も秒読み? 2.5次元の立体映像ディスプレイ

『ライトフィールドディスプレイ』は、美術品や工芸品、さらにはバーチャルキャラクターなども立体表示できるディスプレイ。視角を振れば表示されたモノの側面を見ることができ、伊藤氏によれば「わざわざ海外に飛ばなくてもサザビーズなどのオークションに参加できるようになるかもしれない」とのこと。

この技術を用い、好きなキャラクターやアイドルのデータをダウンロードして手元で立体表示できるデバイス『LF-MIC』を2019年に発売する予定もあるということだ。

ずいぶん派手なプロダクトを打ち出してきたようにも見えるが、実は「経営資源の見直し」の結果として作れるプロダクトをカタチにし、日本のモノづくりをベースにした「グローバル競争への対応」、そしてB to B専業からB to Cを織り交ぜたラインアップへの「事業ポートフォリオの再編」と、現在のJDIが掲げる経営課題を忠実になぞった結果として誕生した製品群であるともいえる。

今回の改革を“第2の創業”と位置付けるJDIが生み出す日本発のプロダクトたちが今後どのように評価されていくのか、新生JDIのこれからに注目していきたい。

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株式会社ジャパンディスプレイ