m-flo ☆Takuが見たアメリカの最新IT事情。日本もキャッシュレス化をめざすべき!

m-flo ☆Takuのare you Apple holic ?

音楽界きってのガジェットマニアと称される☆Taku Takahashiが、アップルの話題をディープに語る連載。
アメリカ公演を大盛況に終えた彼が見てきた現地のIT事情。東京オリンピックで訪日客が増大する前にやるべきキャッシュレス化について聞きました。

LA公演から帰国。そこで見たアメリカのキャッシュレス事情

──まずはロサンゼルス公演(☆1)お疲れさまでした。というか、ここ数年はほぼ毎月のペースで海外出張されていますよね。そこで今回は、そんな☆Takuさんの目から見た、アメリカのIT事情について聞かせてください。日本と比べてどう違っているんでしょうか?

わかりやすいところでは、配車サービス(☆2)の「Uber」や「Lyft」が日本とは比べものにならないくらい普及していること。地域差はあるものの、これがないと暮らせないというくらい。既存のタクシーを完全に駆逐してしまっています。もちろん、旅行者にとっても役立つサービスで、呼び出し、目的地設定、支払いまでを全てスマホアプリで行えるため、英語に不慣れな日本人でも安心して使えるようになっています。

☆1 ロサンゼルス公演

2018年7月5日、ロサンゼルスのMicrosoft Theaterにて『m-flo presents “OTAQUEST LIVE” powered by LDH USA』が開催。北米最大のアニメコンベンション「Anime Expo 2018」内イベントとして行われた。

☆2 配車サービス

スマホから、一般人の運転する乗用車を呼び出し、移動手段とする仕組み。日本で言うところの「白タク」だが、米国では合法で、格安な移動手段として定着している。国内では規制の範囲内で、限定的にサービスを提供中。

──勢いがあるとは聞いていましたが、もうそんなことになってしまっているんですね。

逆にそうした波に乗れなかった企業が潰れてしまうということも起きています。個人的にすごくショックを受けたのは、あの「Toys“R”Us(トイザらス)」がなくなってしまったこと。跡地に行ってみたのですが、本当に何もなくなってしまっていました(編集部注:日本法人「トイザらス」は、米国とは別法人のため、取材時点では閉店などの動きはありません)。

──原因は、Amazonなどの大手ネット通販業者や、ウォルマートなどの大型量販店の価格攻勢に耐えられなかったからだと言われていますね。

ただ、そのウォルマートも、日本で西友売却の噂が流れるなど、やや不調。現在は「ターゲット」という量販店が好調です。ここは、日本で言うところのドン・キホーテをもっと大規模にしたようなお店。特に家電売り場がパワフルで、アップル製品はもちろん、大画面テレビからスマートスピーカーのようなものまで、あらゆるものが揃っています。そして、なにより安い。

──Amazonとも堂々渡り合っていける、と。品揃えが充実していて、値段が同じくらいなら、リアル店舗で見て買いたいって人は多いんでしょうね。

そんなこともあってか、昨年、Amazonが「ホールフーズ・マーケット(☆3)」という高級スーパーを買収しました。そして、Amazon プライム会員なら10%の値引きを受けられるようにしたり、Prime Nowで自宅まで配送したりといったことを始めています。

☆3 ホールフーズ・マーケット

アメリカ国内で300以上の店舗を展開する、オーガニック、高級志向の食料品スーパーマーケットチェーン。2017年にAmazonに買収され、以降、Amazonとの様々な連携や大幅な低価格化を行い話題となっている。

──話題のレジなし量販店「Amazon Go」の技術なんかも盛りこまれて行くかもしれませんね。

そうした、会計処理などの簡略化は既にいろいろな業種で始まっていて、例えばバーガーキングは、日本の牛丼チェーンでよく見かける券売機のようなセルフレジを導入済みですし、映画館のチケット発券もセルフ端末でやるのが当たり前、駐車場の割引チケットも紙ではなく、電子チケットになっています。買い物をする時の細かな手間を徹底的に省いていくことで、とことんお金を使わせようということでしょう。そのほか「デイブ&バスターズ(☆4)」というアミューズメント施設では、ゲーム料金を全てプリペイドカード制にした上で、高得点を出すとポイントがもらえて、それでオリジナルグッズやお菓子をもらえるなどといった工夫もしています。

☆4 デイブ&バスターズ

ダラス発の大規模複合型アミューズメント施設。キャッシュレスで遊べる工夫が満載。「日本で言うところのラウンドワンかな。スポーツ観戦ができて、お酒が飲めて、ゲーム筐体に囲まれている夢のような場所」(☆Taku)

──映画館のセルフ発券機などは日本でも見かけますが、米国ではそれ+αが当たり前になっているんですね。

良くも悪くも、大量消費社会(経済)が徹底されて、大きな会社しか生き残っていないため、そうした電子化が一気に進むのでしょう。もともとキャッシュレスな風潮がありましたが、ここ数年で劇的に進んだ印象です。

──こうした工夫は、東京オリンピックに向けて、日本も見習っていかないといけませんね。例えば、☆Takuさんはどういった点を改善すべきだと思いますか?

今、日本ではおサイフケータイが普及していますが、そういった国ごとに規格の異なるものではなく、クレジットカードのような既に世界中で使われているものをもっと気軽に使えるようにしてほしい。例えば、街中の自動販売機でクレジットカードが使えるものってほとんどありませんよね。大事なのは、遊びに来てくれた人に気持ちよくお金を使ってもらうこと。最悪なのは、日本人がモタモタしているうちに、海外企業にそのあたりを全て持って行かれてしまうことでしょう。そうならないためにも、まずは実際に海外に遊びに行って、そうしたサービスを体感してみてほしい。今どき、そうした情報はネットでいくらでも入ってきますが、やっぱり実際に使ってみないとわからないことって多いんです。

☆Taku Takahashi(m-flo,block.fm)/音楽家、DJ。1998年にVERBALとm-floを結成。m-floデビュー20周年となる2018年は、オリジナルメンバーのLISAが復帰し、3月に「the tripod e.p.2」をリリースした。8月には『FUJI ROCKFESTIVAL 2018』への出演も発表。個人では加藤ミリヤ、MINMIなどのプロデュースを務め、テレビドラマ『信長協奏曲』『人は見た目が100パーセント』などの劇伴を担当するなど、その活動は多岐に渡っている。自身が運営するダンスミュージック専門インターネットラジオ「block.fm」は、開局6年目の今も音楽の新たなムーブメントを発信し続けている。

『デジモノステーション』2018年9月号より抜粋。