船に載せられ北米へ。SUV『フォレスター』の”船積み”見学&最新車種の試乗レポート

 

今月のテーマ
#12 『フォレスター』の船積み見学会

リーマンショック、超円高、東日本大震災と、自動車産業への逆風が続いたときでも、スバルは独自のブランディングで北米市場での販売を伸ばし続けた。2017年の年間生産台数107万3057台、そのうち約64万7000台を北米に輸出するスバルにとって、北米で人気のSUV『フォレスター』を船積みする作業は一大ミッションなのである。

20人の「ギャング」たちが新型『フォレスター』を次々駐車
その車間わずか前後30cm、左右10cm(!)

日本国内で生産されたスバル車のうち、実は約80%が海外に輸出されているのをご存知だろうか? アメリカでの販売が好調ゆえに、2年連続で年産100万台を超える記録を達成していることもあって、米インディアナ工場の生産台数を増強する計画が進んでいる。しかしながら、アメリカで人気の高いSUVの『フォレスター』は特に、日本からの輸出に頼っているのが実情だ。

だからこそ、5代目となる『フォレスター』が6年ぶりにフルモデルチェンジをするにあたって、スバルが公道試乗会に合わせて“船積み見学会”なるものを実施したのも頷ける。この日、社会科見学に行く小学生になった気分で川崎港を目指したのだが、実際に目のあたりにした光景は、大の大人の視点から見てもかなりワクワクするものだった。

川崎の港に着くと、目の前に「バイオレット エース」の船影が目に入る。2011年に竣工した自動車の積載に特化した専用船で、全長×全幅=189.3×32.29mという巨体である。船内はまるで大型ショッピングセンターの駐車場のような構造で、乗用車であれば約5000台を積み込める。

川崎港に入稿する自動車専用船「バイオレット エース」の船影。全長×全高=189.3×32.29m、総トン数4万9708、積載重量13370t、速力は最大で14.0ノットを誇る。約5000台の車両が搭載可能だ。

ずらりと港に並んだ『フォレスター』の眼の前に、船尾に設置されたランプウェイが降りてくる。運転席にドライバーが乗り込み、船積み計画に沿って船内に自走していく。

港に並んだ新型『フォレスター』を始めとするスバル車の隊列。川崎港から船積みされて、順調に行けば13日間の航海を経て、バンクーバーを経由して、リッチモンド港に入稿する。キャプテンを含む21人の乗組員が交代で運行を行って、24時間連続で航行する。


船尾にあるギャングから、11層のうち指定されたデッキに向かって、続々とクルマが自走していく。この日は、北米で人気のある新型『フォレスター』が中心に船積みされていたが、ボディサイズの異なる車種も搭載されるため、船積み計画に沿って効率よく積まれていく。

指定されたデッキ上に簡易的にクルマを並べて停めた後、今度は、船内で熟練のドライバーに運転を代わる。ここからが、目を見張る作業の連続だ。15〜20人で構成された「ギャング」と呼ばれるチームの中で役割が分担されており、あっという間にデッキいっぱいにクルマを積んでいく。

驚くことに、熟練ドライバーは後ろを見ずにクルマをバックさせて次々と整列させていく。誘導員が振る赤いランプだけを頼りに、バックミラーや駐車支援装置は一切使わずに、ピタリと駐車位置に付ける様子は見事としかいいようがない。

最後に誘導員が運転席のドアを開けてドライバーが降りて、ラッシングベルトで固定すると、もう次のクルマがさっとバックしてくる。ズラリと船内に並んだ新型フォレスター同士の間隔は、わずかに前後30cm、左右10cm(!)だ。



熟練のドライバーが運転するとはいえ、背後を振り返ることなく、赤い棒を持つ誘導員の指示だけを頼りにバックで積んでいく。ズラリと積載された車両の左右は約10cmしか離れていない。定められた位置に駐車したあとは、ラッシングベルトでずれないようにしっかり止める。

より剛直なボディを得たことで、
ひとクラス上の上質な乗り心地を手に入れた新型『フォレスター』

ぎっしりと船積みされた新型『フォレスター』がアメリカ大陸に到着するまでには約13日間を要するという。幸い本国日本での試乗会ゆえに、工場から出荷されたばかりの新型『フォレスター』を一足早く試すことができた。