日本漫画界の至宝・松本零士と宇都宮の時計店・カマシマ。両者の夢が詰まった“時空”を超えて愛される本物の腕時計

『銀河鉄道999』や『宇宙海賊キャプテンハーロック』をはじめとする数多くの作品で知られる日本漫画界のビッグネーム・松本零士氏。そして、2019年に創業110周年を迎える栃木県・宇都宮の時計店「カマシマ」。この両者によって生み出されたのが、2018年12月下旬に発売される『松本零士 生誕80周年 特別記念時計』だ。

そもそもこの限定モデルは、松本氏のファンであり、その人生観に共感している同店のマネージャー・釜島光顕氏が、松本氏の傘寿の記念に「世代を超えて引き継げる本物の機械式時計を作りたい」とアプローチしたことからスタート。そしてこの限定モデルでは、松本氏自身や作品世界と関わりのあるふたつのブランドが選ばれた。

そのひとつがボールウォッチ。創業者のウェブスター・C・ボールは、1891年にアメリカ・オハイオ州キプトンで起こった鉄道事故を機にアメリカの鉄道時計の基準を確立させた立役者であり、さらに“鉄道王”ヴァンダービルト家が製造した高速旅客鉄道「No.999」がニューヨークとシカゴを25時間で結ぶ挑戦を行った際には検査主任に任命されるなど、アメリカ鉄道産業の発展に貢献した人物。

創業者が鉄道との深い関わりを持ち、やがて自社でも鉄道時計を製造したブランドだけに、この限定モデルでボールウォッチの旗艦コレクションのひとつである『トレインマスター』が選ばれたのは必然だったといえよう。

リリースされるのは『トレインマスター MOTHER EXPRESS』と『トレインマスター NIGHT EXPRESS』の2モデル(いずれも37万2600円)で、“EXPRESS”の名が示すとおり『銀河鉄道999』のモチーフが随所にあしらわれている。

前者は文字盤にコールドエナメルを用いた透明感のあるホワイトダイアルが特徴で、ダイアルの3時位置にはメーテル、“9時”位置に999のエンブレムがそれぞれアップライトで施されている。一方の『NIGHT EXPRESS』はブラックダイアルに松本作品の艦内シーンでお馴染みの“零士メーター”を忠実にトレース。目を凝らさないと分かりにくいが、松本零士ファンにはたまらないディテールだ。

また、両モデルともケースバックはシースルー仕様。サファイアガラスにはメーテルと999号の車両がシルクプリントで描かれるなど、徹底して『999』の世界が盛り込まれている。

もうひとつのブランドが、ドイツのジン。ドイツ軍のパイロットであり飛行教官だったヘルムート・ジンが自身の名を冠して1961年に誕生したブランドで、パイロット用時計の製作に始まり、現在は独自のテクノロジーを採用したファンクショナル・ウォッチで知られる存在だ。

松本氏は「私の先祖がドイツ人医師のシーボルトと親交があったんです。その影響もあってか、私も子どもの頃からドイツやヨーロッパの文化に触れる機会が多かったんです」と語るが、ドイツと所縁があるからジンが選ばれただけではない。

松本氏はアフリカのサバンナやアマゾン川に行ったり、太平洋を泳いだり、さらには高度1万4000mからの墜落実験を体験したりするなど、地球上のあらゆる場所に赴き、それぞれの自然環境に耐えられる腕時計を使い分けるほどの時計愛好家。ゆえに、限定モデルで機能性を重視するジンが選ばれたのもまた、自然な流れと言えるだろう。

ラインナップは、1500ビッカースの高い耐傷性を備え、欧洲ダイバー器具規格EN205/EN14143に適合したダイバーズ・クロノグラフの『U1000.S MOTHER EARTH』(90万1800円)と、同じく1500ビッカースの高い耐傷性を備えた三針モデル『U1.S.E MOTHER EARTH』(50万7600円)の2モデル。

最大の特徴は松本氏の描き下ろしによるダイアルのイラストで、世界中のあらゆる場所を旅した松本氏が唯一「自分の目で見ていない」という、宇宙から見た地球の姿を描いたものだ。しかも、このイラストは松本氏が時計を採寸して描いたことでインデックスが地球に被らず、地球の存在感と時刻の判読性が両立するという、“職人技”も冴える仕上がりとなった。

「世代を超えて引き継げる本物の機械式時計を作りたい」という釜島氏。そして「帰れなくてもいいから宇宙に打ち上げてくれ」と言うほど宇宙に対して強い憧憬を抱く松本氏。4モデル各80本で製作された限定モデルには、ふたりの夢が詰まっている。

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松本零士 生誕80周年 特別記念時計