男ならスマートに火を熾せ!焚き火の醍醐味、焚き火台のトレンドを“タキビニスト”3名が語り尽くす

教えて! 焚き火の先生!!
「焚き火こそ、最高の火遊びだ」


火を熾し、薪をくべて暖をとる。料理もする。さらにはリラックスもできて、灯りにも狼煙!? にもなる。非常にシンプルな行為ながら、一石三鳥にも四鳥にもなる焚き火を、もっと詳しく知りたい! 達人が教える、焚き火の極意とは。

【Profile】

ミヤさん:ザ・ハードボイルド
ガレージブランド「38explore」主催。カメラ好き・キャンプ好きが嵩じて、カメラ三脚にドッキングできるテーブルを開発。コラボ製品もあり。


ホリケンさん:焚き火の哲学者
焚き火専門店、イルビフのオーナー。宮崎県出身で、幼少時より火と接して暮らしてきた。焚き火や薪ストーブはもちろん、パラグライダー、キャンピングカーにも造詣が深い。


YURIEさん:週末ソトアソビ
女子でもできるアウトドア”週末ソトアソビ”を提唱する。KADOKAWAより初の著書「THE GLAMPING STYLE ~YURIEの週末ソトアソビ~」を出版。

3人のタキビニストが語る“焚き火”の効用とは

焚き火専門店・イルビフのショールームで、実際に焚き火を囲みながら座談会を実施。火を囲むと普段以上に会話が盛り上がる。「それって焚き火のすごいことだと思います(ミヤさん)」。事実、焚き火トークが盛り上がりました。

昭和生まれのパパたちならば、子どものころに「火遊びをするとおねしょする」と、親たちからたしなめられてきた人も少なくないはず。そんな寝ションベン小僧が大人になって、誰にも咎められずに楽しめる火遊び、それが焚き火だ。

焚き火を囲むことで得られるリラックス効果はもちろん、“火を自在に扱う男子力”が鍛えられると、むしろ好印象なのが、今となってはとても不思議……。そんな大人の火遊びこと焚き火について、3人のスペシャリストたちに話を伺ってきた。

このインタビューを経て、おねしょをする迷信を後世に伝えるよりも、火を知って怖さを知る原体験こそが、子どもも大人も大事だと知る。そう、焚き火でおねしょなんかしないゾ!

焚き火専門店、イルビフに集まったのは店主のホリケンさん、ガレージブランドを手がけるミヤさん、アウトドア空間のプロデュースなどで活躍するYURIEさんの3人。アウトドアスタイルこそ三者三様に違えど、焚き火に対する気持ちは同じだ。

「火は気持ちをリセットしてくれます(ホリケンさん)」。「焚き火はたしなみです。シガーと一緒。完全に嗜好品です(ミヤさん)」。「リラックス効果あるから、友達とかといっても心がほぐれる。普段そこまで話さない人たちとも、焚き火の前だとしゃべりやすい(YURIEさん)」と、焚き火を愛する“タキビニスト”としての表情を見せてくれた。

ホリケンさんは「本来、火は災いなんです。火事や森林火災とか。なので、動物は本能的に火を避けます。でも、人間はコントロールできます。太古の昔に我々の祖先が火を扱えるようになったからこそ、今の私たちがあるのかと」と、人と火の関係性を探る。火を扱うことは、動物の中でも人間だけが許された行為であり、ミヤさんが「焚き火は嗜好品」と、表現するのも頷ける。

マナーを知って楽しい焚き火を

一方で、焚き火を乱暴に扱ってはいけない、と警笛もならす。キャンプブームが進むなかで、やたらに炎を大きくする行為や、直火OKな場所でも、焚き火の後始末をせずに、そのまま帰宅してしまう人がいるという。

また、食材を入れてきたダンボールをちぎって燃やし、燃えきれずに紙クズが飛び散ることも……。火を熾すと人が集まってくる、コミュニティの場所になる。火をコントロールできる“焚き火紳士”な大人になろう。3人からのお願いだ。

焚き火での火の粉トラブルもあるある話。YURIEさんは焚き火をするとき、「化繊のものを着てこない。ウールとかブランケットとかで、洋服を守る。お気に入りの服が穴が空いたら、それだけでテンションがすごい下がるので(笑)。ダウンシューズとか要注意ですよ。もう、すぐに穴が空きます」と、注意を払っているという。ミヤさんも「人のテントの近くで焚き火をしない。火の粉で穴が空きます」とも、トラブルを未然に防ぐ心構えを語ってくれた。

大人が“焚き火のお作法”を守れば、子どもにも伝わるもの。イルビフには「子どもと焚き火を始めたい」という人も訪れるそうで、「焚き火をやりたいんですがちょっと心配です……」と、よく聞かれるそう。その時には「花火やったことありますか?」と尋ね、やったことない人には、より丁寧に、焚き火について説明しているという。

「焚き火は生きていく力。何かあったときに役立ちますよね。男性には火を熾すのが上手くなってほしい。おどおどせず、スマートに火熾ししてほしいと思います」。YURIEさんの言葉は、父親たる我々にとっても「いっちょ頑張ろう!」という気持ちにさせてくれる。

よく燃える焚き火台とは“二次燃焼”するもの

焚き火をするうえで、欠かせない道具が「焚き火台」。環境保全はもとより、キャンプ場への配慮・負担軽減からも、焚き火台を使うことが当たり前になってきた。

もちろん直火OKの場所は全国にいくつもあり、人気なのも事実。直火は「焚き火した後の片付けがきちんとできる人向け」ということを知っておこう。一方の焚き火台は、ギアとして愛でる楽しさが備わっている。ひとえに焚き火台と言えどもその形状はさまざまで、燃焼効率や持ち運びやすさ、使い勝手が大きく異なる。

これまで焚き火台といえば、大手キャンプブランドが販売する“みんなが持っているアイテム”が主流だった。だが、ガレージブランドの台頭で、焚き火台市場に大きな変化が生まれた。

ポケットサイズのコンパクトなものから、軽量化にとことんこだわったもの、はたまた燃焼効率に優れたものなど、今や、焚き火台の選択肢はとても広い。なかでも「二次燃焼系」と呼ばれる焚き火台に注目が集まっており、コアキャンパーたちの多くが流行に先立って使い始めているのだ。

Solo Stove
Solo Stove Campfire
価格:1万2960円

二次燃焼系焚き火台の代表格「Solo Stove」には、「Titan」「Titan」「Campfire]のサイズ展開があり、Campfireはファミリー向けの一番大きなモデル。サイズは高さ約23.5cm、直径幅約17cm。

2重壁(ダブルウォール)の中の空気が温まり、煙突効果で上昇する。その熱風が庫内の未燃化ガスに吹き付けられ、強力な二次燃焼が生まれる。

人気のガレージブランドSanzoku Mountain(サンゾクマウンテン)の「Mouncos」。YURIEさんも愛用。

白い煙すら出ないきれいな灰になる

では、この二次燃焼系とはどんなものか。多くの製品が円柱型をしており、ぐるりと囲む周囲の構造が外壁と内壁に分かれている。「側面が二重構造になっています。ダブルウォールです(ミヤさん)」。「ダブルウォール内部の空気は熱せられているが、一度も火に触れていない空気です。それがメイン庫内の炎とぶつかり、ダブルウォールの中の空気も炎に変わります(ホリケンさん)」。その結果、高い火力を保つことができ、薪がきれいな灰になるほど燃えつきる。

焚き火をしたことがある人なら誰しも薪が燃えているときの“白い煙”を体験したことがあるはず。この白い煙にはさまざまな可燃性物質やガスが残っており、本来ならば燃えるべき存在。一般的な焚き火台だと白い煙のままだが、二次燃焼系の焚き火台ならば、それすら燃やしてしまう。すなわち、高燃焼効率による、無駄の少ない焚き火が楽しめるというわけだ。

イルビフでは、2台目の焚き火台として二次燃焼系を購入する人が多いという。それでは1台目の焚き火台には、どのようなタイプを選ぶ人が多いのか。店舗に並ぶ、バリエーション豊かな焚き火を前にして、焚き火台事情を語ってくれた。

「単純に火を起こすだけならば、ディスク型の焚き火台もありますし、コンパクトなものも人気です。ディスク型は薪の形を自由に組むことができます。使い手を選びますが、薪を組む自由さがあります」。ホリケンさんはそう話しながら、ペトロマックスのファイヤーボウルに、薪をくべていく。

人気のスノーピーク「焚火台」には、パッと広げて、サッと折りたためるイージーさがあり、定番のコールマン「ステンレスファイアープレイス」は井桁式の形状から、薪を放り込めばすぐ燃えると、ビギナーにも安心のつくり。そのほか、コスパに優れ、オプションパーツも豊富なユニフレームなどを最初の焚き火台として選ぶ人は多い。

キャンプにハマり、焚き火を続けていくうちに、新しい焚き火台が欲しい……そう思ったときから焚き火のステップアップがスタートする。「道具沼」とも揶揄されるが、焚き火台にはそれぞれ個性があり、道具としての楽しみがある。いくつもの焚き火台に触れて、その時々で、愛用品を変えるのもよくわかる。なぜならそれは“趣味”だからだ。

流行を追え!焚き火台のトレンド偏移
ソロ系
ソロキャンプブームで、おひとりさま用の焚き火台に人気が集まる。このころから個性豊かなガレージブランドが出はじめ、コンパクト焚き火台が数多く生まれた。写真は笑’sの「B6君」。


UL系
バックパッカーや沢登りの人たちが求めた、ウルトラライト系の焚き火台。耐熱クロス(布)を使った製品が、最初に普及し、その後、鋼メッシュが登場する。くるくる巻いて収納できる。


二次燃焼系
ソロ系、ウルトラライト系と、時期をかぶるように登場したのが二次燃焼系。小枝や松ぼっくりを燃やすウッドストーブが源流で、燃焼効率の高さから、またたく間に注目されるようになった。

楽しみ方は人それぞれ。自分流を見つけよう


焚き火談義を進めていくと、ホリケンさんが「焚き火と言う言葉を頭につけると美味しく聞こえます。焚き火カレーとか焚き火おでんとか(笑)」と、話したのをきっかけに、焚き火と相性がよいのは何か、を探す話題になった。

ミヤさんは「焚き火お酒との相性が抜群です。焚き火と酒。お酒はシングルモルトがいいです。ストレートで。焚き火はお酒を飲むためにします」そう語れば、YURIEさんは「焚き火でマシュマロを焼いて、ホットワイン飲みながらおしゃべり。リラックス効果があります。焚き火の音も好きです、パチパチという」と、話をつなぐ。

焚き火にはそれぞれの楽しみ方があり、基本的に自由。焚き火をしたことがない人に向けては、「最初はバーベキューからでもいいと思います。初期投資にしても、熱源というところからでもバーベキューコンロでいいと思います。もちろんバーベキューは炭ですが、そこから火を楽しむきっかけになればと思います。そこから炎を見てみてみたいなら焚き火台で(ホリケンさん)」とも。

大人の火遊びこと焚き火。スペシャリストたちのように、スタイルを求めるもよし、手軽にバーベキューから始めるもよし。冬でもフィールドに出て、どんどん焚き火をしよう。経験の先にはきっと、自分なりの焚き火を楽しむ何かが見つかるはずだ。

【DATA】
火とアウトドアの専門 iLbf(イルビフ

住所:埼玉県三郷市彦成4-4-17 みさと団地南商店街104区画
【パパの正しい火遊び】

不倫に浮気にパパ活に……、ワイドショーを賑わせている火遊び系ニュースなんて、正直どうでもいい。ぼくらが気になる“火遊び”は、字のごとく、焚き火や薪ストーブといった、火をいじる遊びのことだ。とはいえ、冬のキャンプ場は0度を下回ることもザラ。万全の防寒対策で臨むことが父親には求められる。最近では火遊びに特化した道具がいろいろあるし、冬キャンプならではのノウハウも知っておく必要がある。大切な家族を冷えさせないためにも、正しい火遊びについて知っておこう。

『デジモノステーション』2019年2月号より抜粋。