これぞ男のロマン!2004年発売、スパイ気分が味わえるペン型ケータイは今こそ復活させるべき1台!?

今月のヘンタイ端末はこれだ!

Haier
P7
販売価格(当時):約5万円

男子の夢を実現 スパイ機能も搭載
太すぎるサイズ 価格が高く失敗作

アップルウォッチなど通話ができる腕時計は今でこそ当たり前のように誰もが使っているが、今から数十年前の昭和時代の男の子たちには夢の製品だった。

そんなスマートウォッチと並んでそのころに実現してほしかったものがペン型ケータイだ。普段は胸ポケットに刺しておき、電話をかけたい時にさっと取り出して耳に当てる、そんな姿はSFの中でだけ実現できるものと思われていた。

ところが2003年に中国の大手家電メーカー、ハイアールがペン型ケータイ『P5』を発売する。ペンというには太いがポケットに留めるクリップ付き。本体カラーは青、赤、黒の3色があり、女性もターゲットにした製品だった。

プレゼン時に役に立つようLEDポインターも内蔵され、ビジネスユーザーへもアピールしたが、世界初のこのペン型スタイルは消費者が様子見してしまい、売れ行きはいま一つだったようだ。

その後マイナーチェンジモデルを投入した後、2004年末に発表されたのが今回メインで紹介する『P7』だ。『P5』はモノクロ画面だったが、『P7』はカラー画面にアップグレードされ、背面のクリップ部分をスライドさせるとカメラが現れ、写真撮影も可能だった。まるでスパイグッズのような機能は、当時大きな話題になったものだ。

とはいえ画面解像度は64×128ドットと低く、表示性能の悪いSTN液晶を採用。写真も30万画素の低解像度では「かろうじて見える」程度で実用性はゼロに等しかった。それでも『P7』は男子の夢を実現した“究極のペン型ケータイ”といえる製品だったのだ。

本体サイズは長さが150mm、縦横は27×18.2mmで初代の『P5』より細く長くなったものの、ペンというにはやはり太すぎる。本体上部にはストラップ穴があり首からぶら下げたほうが、ポケットに刺しておくより収まりがよい。『P5』にあったポインター機能は省かれたが、ICレコーダー機能を搭載し150分の録音が可能だ。

バッテリーは600mAhと小型だが、通信方式は消費電力の低い2Gなので待ち受け約6日、連続3時間の通話が可能だ。このサイズながらバッテリーの交換も可能で長時間通話する人は予備バッテリーを持ち歩くのもいいかもしれない。充電端子は専用コネクタだがこの時代のケータイなら当たり前のことだった。

この『P7』も市場での反響をよそに実のところ売れ行きはさっぱりだったようだ。より大画面・大型バッテリーを搭載したケータイのほうが実用性はあったし、3888元(約5万円)の価格も機能の割に高すぎた。その結果、後継機が出ることなくペン型ケータイはわずか3機種で歴史を閉じてしまった。

とはいえ今の時代なら、Bluetoothでスマホと接続もできる“ペン型子機ケータイ”として需要はありそうだ。ペンに向かって話しかけグーグルアシスタントを起動する、そんな使い方もできるだろう。ハイアールにはぜひペン型ケータイを復活させてほしいものだ。

山根康宏(やまねやすひろ):香港在住のジャーナリスト。世界の携帯電話事情を追い求め、1年の約半分を海外で過ごす。携帯電話1500台、SIMカード500枚以上を所有するコレクターでもある。

『デジモノステーション』2019年3月号より抜粋。