折って眺めて祈りたくなる『折る土偶ちゃん──作って発掘・縄文おりがみ──』|親と子のブックシェルフ

本は、未知なる世界へと連れていってくれる身近なアイテム。とはいえ、毎日たくさんの本が発売され、さらにはかつての名著とも併せると……その数は果てしなく、どう選んでよいものやら。“わが子のため、自分のため”に連れて帰ってあげたい1冊──。今回は『折る土偶ちゃん──作って発掘・縄文おりがみ──』をどうぞ。

「ブーム!」と言いたくなるくらい、ここ数年来、なにかと縄文時代がフィーチャーされている。一万年もの持続可能な社会を形成したこと、実用だけでなく感情を揺さぶるもの(土器や土偶)を作っていたことなど、あらゆる観点から縄文時代への興味が尽きず、土偶愛に邁進している“土偶女子”なる人たちも多いとか。当然、土偶にまつわる本もいろいろあるのだが、なかでも土偶をいっそう身近な存在にしてくれて、しかも子どもたちといっしょに学べて遊べるのが、『折る土偶ちゃん──作って発掘・縄文おりがみ──』だ。

“折る”とあるように、これはまさしく土偶の折り紙。「ポテッと丸みを帯びた土偶を折り紙で再現できるの!?」と驚かされるが、この本ならできちゃうんです。その証拠にカバーを飾るのは5体の土偶折り紙たち。

こんな複雑な折り紙なんてとてもとても……と躊躇しがちだが、この本なら大丈夫。正方形のカタチは折り紙そのもので、なんと1ページ1ページ(1枚1枚)、ペリペリとはがせるというギミックが。折り図と折り線(谷折り、山折りといった)が記されており、そのガイドに従えば初心者でもかわいい土偶ちゃんが折れる……はず。ほら、ちょっとイビツだけれども「ストレッチ土偶」ができたような……。

でもせっかくだから、いきなりペリペリとページをはがすのではなく、1冊の本として、じっくり眺めてみてほしい。

土偶と聞いて、まっさきに思い浮かぶ「遮光器土偶」や、国宝にはじめて認定された「縄文のビーナス」、さらにはグラマラス土偶など、その種類は実にさまざま。ここで紹介されている(というよりは、折ることのできる)土偶は全20体。ストレッチしていたり、体育座りをしていたり、顔がハート型だったりと、その造形は独特でフリーダム! それらの特徴を、土偶女子代表として多くの著作を持つ譽田亜紀子さんが解説してくれる。もちろん“リアルな写真”もあるため、プチ土偶図鑑としても役立つのだ。

縄文の美しさを最初に広めたのは芸術家・岡本太郎だった。火焔型土器を見て「心身がひっくり返るような発見をしたのだ。<中略>ものすごい、こちらに迫ってくるような強烈な表情だ」(『挑む/夢と誓い』より引用)といった。考古学的資料であった土偶に、美術的価値を見出した岡本太郎。土でできた土偶を、紙の土偶ちゃんへとアレンジする、この『折る土偶ちゃん』にも、そうした新しい価値観を感じさせられるかも。

『折る土偶ちゃん──作って発掘・縄文おりがみ──』(朝日出版社)
譽田亜紀子 文
COCHAE 折紙
価格:1782円(税込)