大画面は正義!そしてコンパクトになる / 世界初の内折り式スマホ「Galaxy Fold」を1か月使ってわかったこと

噂ばかりが先行してなかなか出てこなかったサムスンの折りたたみ式スマホ「Galaxy Fold」が日本を含む世界各国で発売された。スマホを折りたたむ必要はあるのか?20万円を超えるスマホを買う人はいるのか?といった事前のネガティブな報道とは裏腹に、各国では売り切れが続出するほど人気の製品になっているという。筆者もGalaxy Foldを1か月使ってその魅力にハマった一人だ。

誰もが振り向くGalaxy Foldは「見せスマホ」だ!

朝食を終えあわただしく家を出て、Galaxy Foldを片手に持ったまま地下鉄の駅へ急ぐ。筆者の香港生活はそんな姿から始まる。交差点が赤信号の時にGalaxy Foldを目の前に出せば顔認証ですぐさま画面ロックが解除され、今日の取材予定を再確認しつつSNSのタイムラインを再確認する。信号が青に変わればスマホを手に握り小走りで駅へ。地下鉄に乗り込むと今度はGalaxy Foldを両手で持って画面を開く。ちなみに香港の地下鉄は日本ほどの混雑はない。取材先までの10分間はGalaxy Foldの開いた画面でWEBニュースを読みつつ、メッセージが入れば画面をすぐさま分割表示してブラウザの横にメッセージ画面を開く。一度に2つのアプリを使うのもこの広さがあれば問題ない。やがて駅に着き取材先へ向かい、発表会が始まればGalaxy Foldのカメラで写真撮影を行う。スマホにもタブレットにもなり、そしてカメラとしても使えるGalaxy Fold無しでは筆者の生活は成り立たないほど便利な存在になっているのだ。

Galaxy Foldは今のスマホやタブレットに満足している人には全く不要な製品だ。片手で持てるコンパクトスマホがいい人には重すぎるし、10インチ以上の大きい画面で電子書籍を楽しんだりペンで書き込みがしたいという人にとっては小さすぎる。それに対して「スマホの画面は小さすぎる」「タブレットは持ち運ぶのが大きすぎる」と悩んでいる人にとって、Galaxy Foldはその両方の要求を1台で済ませることができるのである。価格は確かに高いが、今やハイエンドスマホは10万円を超える時代だ。日本でのGalaxy Foldの価格は24万円だが、14万円のスマホと10万円のタブレットが合体した製品と考えれば許容できないこともないのではないだろうか? なお筆者が計算してみたところ、2年間使うと考えれば1日当たり約370円。毎日コーヒー1杯を我慢すれば買える値段なのだ。

1台2役のGalaxy Fold。コーヒーを我慢すれば買うことができる。

Galaxy Foldを使って一番のメリット、いや悩みは人に話しかけられることが多くなったことである。取材先はもちろん、電車の中でGalaxy Foldを閉じたり開いたりしていると、知らない人などから「それって噂のあれですか?」のように聞かれることが多いのだ。中にはこちらのスキを伺って、転売すればかなり儲かるGalaxy Foldを盗んでやろう、なんて下心を隠して近づいてくる連中もたまにはいる。だが多くの人は筆者がGalaxy Foldをパタパタと開閉する姿を見て純粋に興味を持ってくれるのだ。スマホが開く、タブレットが曲がる、なんて製品はいままでどこにもなかったのだから当然だろう。

Galaxy Foldの開閉操作には誰もが興味を惹かれる。

内折り式なら手軽に持ち運べる。外側画面が狭い理由も納得

実は世界初の折りたたみスマホはGalaxy Foldが初ではない。Galaxy Foldは折りたたみディスプレイに問題があり、2019年4月に発売予定が延期され9月にようやくお目見えしたのだ。日本の発売は10月だった。一方中国のRoyoleは4月に「FlexPai」という折りたたみスマホを発売。名実ともにこれが世界初の折りたたみスマホなのである。しかしGalaxy FoldとFlexPaiはディスプレイが曲がる構造が全く真逆の構造をしている。Galaxy Foldはディスプレイを内側に谷の形に折り曲げる。それに対してFlexPaiは外側に山の形に折り曲げるのである。つまり曲げる方向が反対なのだ。筆者はFlexPaiも所有しているため使い比べたが、どちらにも一長一短がある。

Galaxy Foldは開くと7.3インチ。FlexPaiは開くと7.8インチ。FlexPaiのほうがサイズは大きい。また閉じてみるとFlexPaiはその大きいディスプレイをほぼ半分に折るため、閉じても普通のスマホのようなディスプレイサイズで使える。しかも裏でも表でもどちらでも使えるのだ。一方Galaxy Foldは閉じるとディスプレイは隠されるため、外側に4.6インチのディスプレイがついている。このディスプレイは最近のスマホとしてはだいぶサイズが小さく、閉じた状態では開いた時ほどの作業はできそうにない。

FlexPai(左)とGalaxy Fold(右)の比較。

こうして比較するとFlexPaiのほうが優れていると思うだろう。ところが実際に使ってみると、その使用感は大きく逆転するのだ。まずFlexPaiは閉じても両面がディスプレイなので、そのままポケットに入れると傷が付いてしまいそうでどうしてもカバーが欲しくなってしまう。純正の海苔巻き型カバーが用意されているが、それを装着すると開いた時にカバーを外すのが面倒になる。また閉じて裏表が使えるとしても、両面を使うメリットが今のところはないのだ。開いた時は便利なのだが、閉じたときの使い勝手が思ったほど高くはない。

閉じたときのディスプレイの扱いが気になるFlexPai(左)。

Galaxy Foldは閉じると大きいディスプレイが内側に隠れるため、傷が付く心配は一切不要だ。そのため閉じてそのままポケットに入れることにためらいを感じることはない。ケースを付ければ外側も守られるためなおさら安心だ。Galaxy Foldにはカーボン調デザインのケースも付属しているので買ったその場から傷の心配から解放されるのである。もちろん外型の4.6インチディスプレイの部分には保護フィルムを貼っておいたほうがいいだろうが、大きい面積ではないので貼るのも簡単だ。FlexPaiのように外側に折りたたむディスプレイに保護フィルムを貼るのは大変だろうし、保護フィルムもはがれやすいだろう。

Galaxy Foldは閉じて片手操作が可能。内側画面に傷が付く恐れもない

閉じたときに狭いと感じたGalaxy Foldだが、4.6インチのサイズなら片手で持って指先1本でほぼすべての操作ができる。つまりGalaxy Foldは閉じたときに片手操作ができることがしっかりと考えられているのだ。ディスプレイメーカーでもあるサムスンが、折りたたみスマホという世界中が注目する製品の外部ディスプレイをあえて小型化したのは、実際に利用するユーザーのことを考えたからなのだ。もしも外側のディスプレイが最近のスマホのように大きかったら、せっかく閉じても操作するたびに両手持ちしなくてはならなくなってしまうだろう。

3分割画面は便利だが、分割表示アプリが欲しい

開いた時の7.3インチサイズはタブレットとして最小限かもしれないが、ベゼルのほぼないデザインのため思ったよりも大きく感じられる。この大きい画面は単一アプリ表示で使うのではなく、2つ、あるいは3つのアプリを同時表示すると真価を発揮してくれる。アプリの分割画面の呼び出し方も画面からワンタッチであり、一度慣れればスムースに行えるだろう。スマホでも2つのアプリを表示できるが、スマホの画面では狭すぎて使おうという気にならな人が多いのではないだろうか。タブレットの画面なら分割表示は十分実用的だ。

さすがに3つのアプリを起動すると、2つめと3つめのアプリが上下に縦に並ぶためやや見にくいかもしれない。しかし3つめのアプリは目的地の地図を出しておいたり、住所や電話番号を表示するなど付箋紙的な使い方をするのもいい感じだ。子供の写真を常に出しておくといった使い方もいいだろう。このあたりはパソコンの画面で複数のアプリを常に使っている人ならイメージしやすいかもしれない。外出が多い人なら、最近主流のモバイルペイメント用のQRコードを表示しっぱなしにしておくのもいい。コンビニに入ってもGalaxy Foldなら即座にQRコード支払いができるというわけだ。

複数アプリを同時に起動。最大3つのアプリを表示できる。

ネット上でのGalaxy Foldの評判を見ると、折りたたみディスプレイの折り目が目立つという声も聞かれる。だが使ってみるとほとんどそれは気にならない。たとえば新聞を読むときに、折り目があってもそれほど気になることは無いだろう。Galaxy Foldのディスプレイの折り目は何も表示していないと目立つように思えるが、実際にWEBページや動画を表示している分には気にならない。そもそも24万円もする端末を実際に買った人たちは、そこが気にならないから買っているはずである。原宿にあるショールーム「Galaxy Harajuku」には実機が置いてあるので気になる人はぜひ見てみるといいだろう。そして実機を触れば「値段が安ければ欲しいのに」なんて思う人が続出するに違いない。iPhoneが10万円を超えているだけでも高いと感じるのに、20万円を超えるスマホを買うのはかなり勇気がいるだろう。

またディスプレイの耐久性は20万回とのことで、よほど激しく使わない限り5年くらいは持つ計算だ。これは1日100回の開閉を繰り返した場合である。むしろ心配なのはディスプレイ表面の傷のほうだ。折りたたみディスプレイは表面をガラスにできないので、今のスマホよりもかなり表面は柔らかいと考えたほうがいい。それは10年以上前の初期のスマホの感覚に近い。保護フィルムもいくつか販売されているが、できればフィルムを張った状態で販売してほしいもの。なおGalaxy Foldに名刺やレシートを挟むなんてことも厳禁だ。ちょっと厚みや凹凸のあるものを挟んでしまうと、閉じたときにディスプレイがへこんでしまう恐れがあるのだ。ディスプレイ表面の弱さ、ここがGalaxy Foldの一番のウィークポイントなのである。

ディスプレイの折り目は実際のところ気になるほどではない。

そのためGalaxy Foldは労りの心をもちながら、やや大切に扱ったほうがいい。まあ普通の人ならスマホを投げ回すなんてことは無いだろうし、これだけ高い端末だから丁寧に使うだろう。しかし筆者も飛行場で人とぶつかった際にGalaxy Foldを落としてしまったが、いつ何時何がおきるかはわからない。幸いにしてケースを付けていたこともあり傷はつかなかったが、Galaxy Fold専用の破損保険のようなものも提供してほしいものである。

このようにおおむね満足して使っているGalaxy Foldだが、1つだけ実現してほしい機能がある。それはアプリ側の2画面対応だ。たとえばゲームアプリなら、画面の半分をゲーム画面に、もう半分をゲームコントローラーに、といった具合だ。せっかく大画面なのだから、複数のアプリを動かすだけではなく、1つのアプリで大きい画面を有効に使えるものが出てきてもいいはずではないだろうか。来年にはGalaxy Foldの後継モデルも出てくるだろうから、そんなアプリをサムスン自らが開発して製品にプリインストールしてほしいものである。

ワープロなら入力画面とキーボード画面のようなアプリ内分割機能が欲しい。